【インタビュー】VALSHE、10thシングル完成「キレイに死ぬより楽しく汚く生きていく」

■「VALは本当はどう思っているの？」
■って突然聞かれたときドキッとして

──カップリングの曲についてもエピソードを教えてください。

VALSHE：実はカップリングの「ドミノエフェクト」と「フロムテンペスト」については今までにない作り方をしているんです。タイトルだけは決まっていたんですが、「MONTAGE」のミュージックビデオの中で起こるドラマによって2曲目の内容を決めようと思っていたので、どっちの曲が2曲目にハマるかわからないなって。「MONTAGE」の大きな世界観ありきで、全てのレコーディングを時系列でやらせてもらいました。

──初回限定盤Aの2曲目に収録されている「フロムテンペスト」はドラマティックで陰りのあるバラードですね。

VALSHE：これは「MONTAGE」の片方の分岐点に当たる楽曲になっています。この曲を作った経緯も昨年の自分の心境と関係しているんですね。ある時ある人とゴハンを食べながら話していて、「で、VALは本当はどう思っているの？」って、突然聞かれたことがあったんです。すごくドキッとして「本当はこう思ってます」って答えたんですけど、“バレた！”というより“気づいてくれていたんだ”って嬉しかった。それを機に自分の気持ちを隠すのをやめて本音で話すようになって、「誰かを傷つけることになるかもしれないけど、こう思ってるんだ」って。

──“テンペスト”は“嵐”という意味ですよね。

VALSHE：そうです。自分にとっては見抜いたその人が嵐のように思えたんです。「フロムテンペスト」の立ち位置は隠していたものを嵐によってひっぺがされて、それが追い風に変わって最後は舟に乗って進んでいくという。この曲も自分の状況が反映された内容になっていますが、自分のように本当は見抜いてほしいと思っている人や嵐が来ればいいのに、って思っている人は意外と多いんじゃないかなって。ヴォーカル押しの音作りで声を重ねないで1本でまっすぐ届くように歌いました。この曲もとても気に入っています。

▲10thシングル「MONTAGE」初回限定盤B

──初回限定盤Bに収録されている「ドミノエフェクト」のほうは色に例えるとショッキングピンク。遊び心たっぷりのテンションが上がる曲ですが。

VALSHE：「ドミノエフェクト」は言葉選びもサウンドもいちばん楽しんで作った曲ですね。“この部分、お客さんに歌ってほしいな”ってコーラスを考えたりしました。いつもコンセプトや気持ちが先行して曲を作っているので単純に音楽を楽しみたいなって。結果、ライヴで盛り上がる曲になったので正解だったなと思います。

──タイトルに込めた意味というのは？

VALSHE：“ドミノエフェクト”はもともと政治用語なんですけど、何かが起こったのをキッカケにバタバタといろんなことが起こっていくという。歌詞に“同調圧力”という言葉が出てきますよね。ポンッて突いたら“この人もあの人もそう思っていたんだ”と思うことがよくある中、そういう現象を安全な場所で楽しんでいる主人公という立ち位置で面白おかしく描きたいなと。

▲10thシングル「MONTAGE」Musing盤

──まったく異なるタイプの曲が2曲目に収録されていますね。共通する3曲目「方舟」は美しく切ないバラードとなっています。

VALSHE：「MONTAGE」から始まって「フロムテンペスト」、もしくは「ドミノエフェクト」を経由して終着点の曲が「方舟」です。

──この曲は旅立ちを歌っているのか、死を歌っているのか？

VALSHE：後者ですね。悲惨な死ではなく、どんな選択をしても誰もが最終的に行き着くところ。「MONTAGE」で訴えているメッセージの答えが「方舟」には描かれていると思います。

──透明感があって優しい歌い方をしているのが印象的です。

VALSHE：これまでと大きくヴォーカルワークを変えて臨みましたね。

──「方舟」が最後に来るとやっぱり、死生観を表現したシングルでもあるのかなと思います。

VALSHE：このシングルを作る時にこれから自分がどういう活動をしていくのか考えていた一方で、身近な人が亡くなるという体験をしたんです。デビューしてから、そういう経験をしたのは初めてだったのでいろいろ考えさせられる時期でもあり、この曲にはそういう想いも投影されているかもしれないですね。

──話を聞いていると本当にいろいろなことがあったんですね。

VALSHE：そうですね。こうして作品に昇華できて良かったなって。

──最後に2017年はどんな活動をしていきますか？

VALSHE：2017年、VALSHEは“可能性”というテーマを掲げて活動しようと思っています。これまで挑戦してきたことも大切にしながら「VALSHEには何ができるんだろう」ということをもっとチームの人たちと一緒に考えて、7年目だからこそできることに目を向けていきたいですね。VALSHEはイラストというヴィジュアルで活動してきた時期が3年、顔を出して活動して3年ですが、この6年を持って7年目には何か面白いことができるんじゃないかって。すでに発表されているフェス（「ちゃんげろソニック2017」）への出演やスマホアプリ（「トリックスター 召喚士になりたい」）での声優出演など、いろいろな可能性の種を蒔いて、芽吹かせる1年にしたいですね。

──「MONTAGE」は可能性を切り開く第一弾シングルですね。

VALSHE：そうですね。ピンクヘアの可能性も誰も予想していなかったでしょ？って（笑）。

取材・文◎山本弘子






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