【音踊人 44】音楽との出会い〜最高のライブバンド、Xmas Eileen(なおりん)

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私たちは様々な方法で新しい音楽と出会う。
好きなバンドの対バン、フェスのステージ移動の通りがかりに、レコード店の店頭で、テレビの番組で使われているのを聴いて、人からの紹介…その中に人生の転換点となるような出会いもあるかも知れない。

私の人生を変える出会いはFACTのslip of the lipがMTVで流れてきたあの時だ。
音楽は子供の頃から好きだったが、大きな音や叫ぶような歌をあまり聴いたことがなかった。だが、あの曲が私に与えた衝撃は、今までの自分の好みなんて吹き飛ばしてしまった。CDを買って、カセットテープなら伸びてしまうくらい何度も聴いた。

2013年、初めてライブに行く機会が訪れた。
FACTばかり聴いてライブに来た私には、対バンは自分が知らないバンドばかりだった。SiMのRumで歌詞もわからないのに涙が止まらなくなり、唯一聴いたことがあったHUSKING BEEでホッとし、ようやく観れたFACTではもみくちゃになって、頭の上を人が通って行くことを初めて体験した。そしてアーティスト写真を観て、一番興味が持てなさそうだと思ったMAN WITH A MISSIONの格好良さに心を奪われた。対バンという言葉すらよく知らなかった当時の私は、この一度のライブで新しい音楽にたくさん出会った。この日は悲しい出来事があった後で、FACTがその方に捧げた曲は今までCDで聴いていたものと全く違う曲に聴こえた。CDを聴いているだけではバンドの素晴らしさを全て知れるわけではない、ライブというのものはただの生演奏の機会ではないと気がついた日でもあった。

どうしてもまた「ライブ」を体感したいと次の機会を探し、地元札幌から飛行機に乗ってどこでも行くようになった。フェス会場を散策して聴こえてきた歌に惹かれ、ツアーの対バンで観て、ライブの後のフライヤーで知り、爆発的にたくさんの素晴らしい、色んなジャンルの音楽と出会ってきた。

2014年7月1日、あるバンドがTwitterで「仲間」と言って紹介したMV「Kiss me Kill me tonight」で出会ったバンドがXmas Eileenだ。


「重めのミクチャーで覆面系バンドなのね。そのうち機会があったらライブで観てみたいな。中の人は割と有名人の企画バンドなのかな?」これが、最初の印象。そんな印象だったからその後に発表されていくMVを観ながらも、遠征してまで観ようとは思わず、初めて行ったライブは知ってからちょうど1年後、2015年の7月<SORRY WHO AM I>ツアーの札幌公演だった。

踊ったら迷惑に思われるかな…? なんて初見のバンドは雰囲気がつかめるまで様子を見てしまうことがある。他の地域はわからないが、北海道民のお客さんはそういう人が多いと思う。曲ごとの決まりごとみたいな振り付けなども、わからなくて置いて行かれたような気持ちになることもよくある。別にどんな風にライブを観たって自由だ。直立不動でも踊り狂っていても、人に故意に嫌な思いをさせなければ何でもいいと思う。だが周囲も気になるし、人と同じことをやる一体感も楽しい、ということを知っているから、つい様子を伺ってしまう。

Xmas Eileenは誰もが楽しめるライブバンドだ。
ステージ中央にいるパフォーマー(performance/chorus)が、手拍子するタイミングや「こんな風にのってみて」とお手本を見せてくれる。恥ずかしくて自由に楽しむことができない人も、初めてライブに来た人も、ライブに慣れているけれども様子をうかがっている人も、みんな彼の真似をするだけでライブを「観ている」お客さんから、「参加している」お客さんに変わる。パフォーマーを見ていなくてもDJもその役をやってくれている。多くのライブでサポートを担当しているベースも常に楽しそうな笑顔で、ギターやヴォーカル2人はステージ前ギリギリまで客の近くにいてくれるし、セットから離れられないドラムはいつも一生懸命歌いながら叩いている。とにかく何もわからなくても一曲も知らなくても、ステージ上とフロアが一緒に楽しむことができる。それは曲のかっこよさが大前提なのだが、もちろんそこは全く問題ない。その、楽しさは他では経験したことがないくらいのレベルだったので(札幌公演は怪我のために下半身は微動だにできなかったという若干の個人的な悔しさもあり)、秋に大阪まで2度ライブを観に行った。バンドに、楽しさや音の良さだけではなく、どういう思いを持って音楽をしているのかということを重要に思っている私だが、あの楽しさは格別だった。そして彼らのバンド名であるクリスマスの日、大坂でのワンマン公演に参加した。この時も、年末に楽しいライブに行こうというだけの思いだった。

ライブ前にメンバーのインタビュー動画が映された。誰かの企画バンドだと思われたくないという考え、いつかバンドが終わる時の話、音楽業界に対する考えの話…。バンドの行く先は?との問いに対し、ライブ中によくステージダイブをするDJが「お客さんの上」と答えた。思わず笑って聞いてしまったのだが、「いい答えだね、お客さんがいないと成立しないから」そう返したVo.右の言葉にハッとさせられた。このバンドは楽しいだけではない、もっともっと真剣に向き合って応援していくべきバンドなのだ、と思った。その思いを持ってから聴いた「Don’t say Good-Bye」の歌詞、「何を失くしったって後悔するんだきっと 何を手にしたって後悔するんだきっと」が心にしみて涙が出た。この歌詞は今でも一番好きな言葉だ。

『WORLD COUNTDOWN』というミニアルバムのツアーを経て、昨秋から今年2017年の1月まで『ONLY THE BEGINNING』というアルバムのツアーを行っていた彼ら。10月のツアー序盤、主にMCを担当するVo.右は何度も「終わり」の話をした。2014年のワンマンでも話していたのだから、この「バンドが終わる時」の話はとても重要なことなのだと思う。

確かに人間はいつか終わりの時が来る。生命が終わらなくても、環境や家族やいろんな事情でバンドは続かなくなる。私も終わっていったバンドを見てきた。自分の大切に思う、生活の一部のような曲を作ったバンドがなくなっていくのは本当に悲しい。アイリーンに出会う大元のきっかけとなったFACTも解散してしまった。解散ライブを昨日のことのように思い出すし、メンバーが前向きに新しい活動を続けていることを応援していても、やはりFACTがもうないという事実に悲しい気持ちになってしまう。だから、真剣に応援したいと思っているアイリーンに「終わり」の話をされるのはとても苦しかった。辞めるつもりだったらこんな熱さでライブはできない、と感じても、それはただの私の願望が反映された妄想に過ぎない。企画バンドではない、と言いながら、実はいつか計画的にバンドを辞めようと思っているのではないかと思ってしまい、どこか不安だった。

11月、イベントでサポートベースについて紹介した言葉に、メンバー間の強い絆を感じた。この絆を持っているバンドが、いつか計画的に辞めてしまおうなどと思っているとは思えなかった。そしてその頃「終わりの話」より、「上」や「未来」「自信」を感じさせる言葉を何度も聞くようになった。どこかで感じていた不安はだんだんと薄れていき、今後の活動への期待感は大きくなり、「上」を目指して必死にやっているんだ、終わる時は来ても辞めるつもりなどないんだ、という考えは確信に変わった。ツアーファイナルのMCで次に目指す目標の話でフロアから「武道館!」と声をかけられた時、Vo.右は次のように答える。

「目指してなかったら失礼。みんなの前に立てないでしょ」と。

具体的に武道館でライブをすることが目標なんじゃない。今よりも上のステージを目指して向かっていく決意。ファンへの誠意。いつか誰もが認める上に立つんだという、その揺るがない自信があるのかはわからない。だが、自分も仕事で今よりもより多くの努力が必要な目標を持つことがある。その目標に、時には奮起し、時には少し後悔を感じながら、それでも自分が思う「今より上」に向かうために何とか進んでいこうとしている。それと同じように彼らも努力しているのだと思うと、ステージ上の彼らは何より励みになるし、いつまでも見ていたいと思う。光の中に輝くメンバーの姿に、いつか大きなステージに立つ姿が見えて涙が出る。

少し前、あるバンドのフロントマンと、バンドにはほんのちょっとの「ダサさ」が必要、という話をしたことがある。「かっこいい」だけではダメで、ほんの少しのダサさに愛おしさを感じて応援していってしまうという話だ。ダサいという言葉は印象が良くないかもしれないが、苦労もなく曲を作って、練習もせずに上手に弾いて、いつでも最高の声ですまして歌えるというより、泥臭い努力を感じた方が、バンドへの思い入れが深まってずっと応援したくなってしまう。大変さのアピールなどに同情するのではない。たった数ヶ月の間のツアーの中で、上を目指しながら変わっていく表情や音や声に感動するのだ。

昨年、大阪城ホールでのビクターロック祭のオープニングアクトだった彼ら。入場開始直後、開演前で客もまばら、彼らを知っている人は決して多くはなかった。だが、短いライブの間に前述したパフォーマーやDJの姿を見て、他アーティストのグッズを上げて振っている姿がだんだん広がってきた。こうやって観た人に彼らの音楽の楽しさが伝わっていき、いつかこの会場を埋めるに違いないと思う。

出会った時は漠然と夜のイメージだったXmas Eileen。今、私は、キリッと引きしまった朝の空気の中で「Future Song」を聴いて出勤する。これほど希望の朝の空気が似合う曲もないと思うのだ。

私たちは、様々な方法で新しい音楽とであう。
この拙い文章で最高にかっこいいバンド、Xmas Eileenに出会ってくれえる人はいるだろうか。いや、こんな文章が何の役に立たなくとも、一度彼らを観さえすれば、こんなに夢中になる人間がいることが嘘ではないとわかるはずだ。もうすぐ、次のツアーが始まる。ぜひ全身で上に向かう彼らを観て「新しい出会い」をして欲しい。

ライブスケジュール

3月12日(日)Music / Art / Tokyo @スタジオコースト w/THE BACK HORNほか
3月18日(土)ビクターロック祭り@幕張メッセ
3月24日(金)YOSHI ROCK FESTIVAL 2017@リキッドルーム
4月15日(土)Zephyren presents A.V.E.S.T project vol.10

◆Xmas Eileen オフィシャルサイト


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