【インタビュー】GACKTがここまで輝くのは何故か?GACKTがGACKTたるゆえんを紐解く

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3月22日、GACKTのニューシングル「罪の継承 ~ORIGINAL SIN~」が発売となった。TVアニメ『TRICKSTER - 江戸川乱歩「少年探偵団」より-』のエンディングテーマとして書き下ろされた楽曲だが、一見アニメ作品のテーマにはそぐわないと思しきほどのダークさをまとった激しくもヘヴィな作品だ。

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音楽が売れないとあえぐ音楽業界にあって、GACKTは今もなお我が進むべき道を明確に示し、誰に何を迎合することもなく高らかにアーティストとしての自らを磨き込んでいる。彼がここまで輝けるのは何故か?他のアーティストと彼は何が違うのか?GACKTがGACKTたる所以を探るべく、GACKTを直撃、話を伺った。

   ◆   ◆   ◆

■罪を背負って生きているのだとしたら
■ボクらは何をしなきゃいけないのか

──新作「罪の継承 ~ORIGINAL SIN~」は、アニメED主題歌としてオファーを受けて書いた楽曲ですか?

GACKT:曲を作るきっかけになったのは、エンディングを作って欲しいというオファーがあったから。「希望に満ち溢れる未来の感じの曲を」みたいなリクエストがあったんだけど、でも「ボクは商業作家じゃないから、そういうのやってない…」って(笑)。


──見事にやっていない(笑)。

GACKT:今は<LAST VISUALIVE 最期ノ月>というコンセプトライブの世界観があるから、やっぱりダークになるよ(笑)。現在は自分でレーベルもやっているわけだし、もっと自分のコアな部分が前面に出るような曲を突き詰めていった方がいいんじゃないかなということで、今回の曲ができた。「売れそうな曲を出そう」とか「大衆的にどう思われるか」とか全く気にすることもないし、今自分が聴きたい曲/演りたい曲を求めると、どうしてもボクの心の中の闇みたいなものが出てくる。そうなるとこういう曲になってしまうよ。

──GACKTですら、心の闇の部分はまだクリーンになっていないんですか?

GACKT:ならない。生きていくうえで、トラウマやもともと自分の中にあるものは一生変わるわけじゃない。そこを突き詰めて出してみることがボクのやることの一つ。だから、出来上がった曲がリクエストと正反対で「これは違う」って言われたら、それはもう“縁がなかった”ってことだし。でも、監督が気に入ってくれた。これまでも、よくリクエストを受けてきたけど、リクエスト通り上手くいった試しは何ひとつない(笑)。リクエスト通りになんかならなくて『ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-』メインテーマ「REDEMPTION」挿入歌「LONGING」も、「バラードで」って言われたのに激しい曲になった(笑)。その時に出てくるものしか書けないし、だめだったらもう縁がないって思ってもらうしかない。

──でも、今まで縁がなかったことは…

GACKT:ない(笑)。


──リクエストと真逆の作品でもOKになるのは、なぜだと思いますか?

GACKT:聴いて感動するかどうかが大切なわけで。聴いてぐっとくるもの/自分たちの想像よりもかっこいいものが届くと「これいい」ってなるし、すると今度は向こうもイメージを合せてくれたりする。今回の作品も、怪人二十面相が持つ闇の部分…なぜこうなったのかという傷の部分に焦点が当たっているわけ。ボクは“人間は存在することが罪”と思っていて、自分が生まれてから次の世代へ移すこと自体が“罪の継承”だと思うわけ。大局的な人間の本質の話として、そういう点が怪人二十面相のキャラクターにはシンクロすると思ったから、そういう話を監督にしたらそこを感じ取ってくれて「その世界に合わせたエンディングを作ります」って言ってくれたよ。

──存在自体が罪深いもの、ということですね。

GACKT:人間がもたらす悲劇。人間だけが持っている歴史上の悲劇というか、なぜ人間だけがこれを繰り返すんだっていう。クリエイトする能力があるのに破壊を求めてしまうという、すごく不思議な生物。この地球を大きな生命体と見たとき、人間は癌のような存在になっているわけで、“人間なんかいないほうがこの地球は自然な形になる”という主張もあるけど、それもまた極論で、自分たちが罪を背負って生きているのだとしたら、それを認識した上で「ボクらは何をしなきゃいけないのか」を考えなければいけない。

──それが自分の存在理由でもあるのかな。

GACKT:ある映画のワンシーンで「この町から悪人をなくすために警察官になった」というセリフがあって、そしたらその上司が「本当に悪人をなくしたいのならオマエは医者になれ。生まれてくる子供を全部殺せ。そうしたらこの町から悪がなくなる」と答えるシーンがあって…これは極論の本質。昔のボクも、それこそ「人はいなくなったほうがいい」という極論に生きてた。でも、その結論はあまりにもさびしすぎる。

──それは経験を重ねたことで変わってきたことなのでしょうか。

GACKT:考え方が変わった。昔は人間が嫌いだったけど「人も捨てたもんじゃない」って。ただ、こういう局所的なことを言うと、すぐに否定的にとらえられるから、そこを理解した上で前に進むことを選択しないと、次から次へ問題が起きる。

──どういうことですか?

GACKT:例えば、中東の女性の権利を謳っている人から「“女性の権利を守るために一緒に戦おう”ということに対してどう思いますか?」と聞かれて、ボクは「興味がない」と答えた。「何でですか」「女性に権利が認められることに対して興味がないんですか?」って言うんだけど、「それは自国でやるべきであって、他の国の人間が干渉するべきではない」って答えた。どうやって生まれたのか/どうやって育ったのか/どんな歴史があったのか/どんな宗教観があるのか…そんなこともわからない状態で、自分の考えやアイデンティティで他国の女性を判断するという局面的な行為がどれだけ危険なことかわかりますか?って。「その発言が世界的に認められたから」って、それこそ非常に危険。それが戦争を引き起こすことにつながると思いませんか?ってこと。その国にある問題はその国の人たちがクリアするべきであって、他が関与するべきではないというのがボクの考え方。だからボクは静観する。

──なるほど。

GACKT:文化の違い、考え方の違い、宗教の違い、自分たちの考え方を押し付けてそこに攻め入ったりすること自体が違うんじゃないか?日本でも戦後アメリカの影響を受け、女性の権利…男女平等であることを謳っていた。男と女は平等であるという活動をする人たちがすごく増えてさ。でも男と女って、ほんとに平等かな?違うよ。

──そもそも比較できないと思いますが。

GACKT:そう。犬と猫を平等っていうようなもので、同じ人間というカテゴリにいたとしても、作りも構造すら違う生き物。当たり前に与えられる権利は“公平”ではある。“平等”ではない。今の日本人は平等と公平の違いがわかっていない。

──というのは?

GACKT:平等というのは「男と女も60Kgの重さを持たなければならない」となったら、男であろうが女であろうがやらなきゃいけない。「30日間働かなければいけない」となったら働かなければいけない。それが平等。どんだけ働いても働かなくても同じだけお金をもらわなくてはいけない。それってあなたたちが望む平等ですか?ってこと。

──それは違いますね。

GACKT:今の社会ってのは、本来“公平”であるべき。「自分のやったことに対して評価される」…これが公平。だけど公平と平等の意味をはき違えている人たちがすごく多くて、権利は確かに公平に与えられるものだけど、それがそのまま男女平等という言葉になるのは間違っている。男女平等ならば、なんでゲイやレズの人たちは結婚を認められないのか。平等を高らかに謳うアメリカでさえ、それを認めていない州があるわけで、男女関係なく平等なら、誰を愛したっていいし誰と結婚したっていいはずなのに、それは宗教上の問題だって言い出す始末で。

──そこで宗教を持ち出すのは反則だよな。

GACKT:そもそも論点がずれているというか。

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