【インタビュー】NoGoD「ガキっぽいのも良いと思うけど、もうそれだけでは楽しめないんですよね(笑)」

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■今のNoGoDは完全にこういうノリなんだということが分かった
■そういう意味で「Nightmare」を録ったのはデカかったですね


――続いてカップリングの「Nightmare」と「不完全肯定論」について話しましょう。

Kyrie:NoGoDはシャッフル・ビートを活かした曲も結構あるんですけど、いつもわりとオシャレな感じにしたがる傾向があって。シャッフル・ビートで、重くて、硬い質感のものがやりたいなと思って作ったのが「Nightmare」です。作り始めた段階でこのタイトルを付けていたんです。元々はパーティーとか、パレードみたいなイメージがあったけど、なぜか“Nightmare”という言葉が浮かんできて。ダークなパーティーというと、たとえばメキシコの『死者の日』は骸骨が飾ってあったりして、傍から見るとおどろおどろしく感じるけど、お祭りなんですよね。この曲は、そういうイメージだった。それを自分個人の中でどうやって完結させようかなと考えた時に、夢だなと思ったんです。本当に恐ろしい悪夢だなと。そういうことを描いた歌詞になっていて、歌も力強さがありつつ、人間の弱い部分も感じさせるものになっています。


団長:「Nightmare」も新しい感じなので、ぜひ聴いて欲しいよね?

Kyrie:うん。3曲目の「不完全肯定論」はNoGoDのスタンダードなラインだとは思うけど、こういう風にサビが“ポーン!”とポップだと、ちょっとアホっぽくなってしまうことが多いんですよ。なので、今回は敢えてキーを低くして、ポップさとかをメインのメロディーというよりはハモリとかで出して。僕の印象では、イントロとか歌中のダークさと、サビの明るさのギャップが、NoGoDの曲の中でも一番激しいんじゃないかなという気がしています。ただ、そういう風に陰と陽の対比が激しい曲は、僕にとって歌詞を書くのが難しくて。それで、この曲の歌詞は団長にお願いしました。

団長:そういう曲は身体に馴染んでいるので、歌詞を書くことは特に問題なかったです(笑)。歌詞の内容に関しては、今回の3曲が揃った時に「Missing」「Nightmare」「不完全肯定論」という流れのシングルになるなと思って。「Missing」は、ある意味救いのない曲だし、「Nightmare」は迷いに迷って、もがいている曲。そこに、もう1曲同じような雰囲気の歌詞が来るのは嫌だったんです。そうすると、ツラい作品になってしまうから。「Missing」と「Nightmare」は人として何か欠落している歌詞だけど、それを肯定したいなと思って、「不完全肯定論」は“完璧な人間はいないから、ありのままの自分で良いんだよ”ということを、ストレートに綴った歌詞にしました。

K:カップリングで特に印象が強いのは、「Nightmare」のアウトロかな。スローになるんですけど、スネアのタイム感をどこに持っていけば良いのか分からなくて、結構苦労しました。自分では重く叩いているつもりなんだけど、Kyrieに「いや、もっと重く。もっと重く」と言われて。それで、“重いって、なんだろう?”と思い始めてしまって。重くするには、どうしたら良いんだろう…みたいな。それを乗り越えて良い感じになって、良かったなと思います。他人事みたいな言い方ですけど(笑)。あとは、僕はシャッフル・ビートの曲は、どうしてもハネてしまう癖があるんですよ。でも、この曲はタイトなビートだなというのがあったので、ハネないようにしたんです。それがツラくて、死ぬかと思った(笑)。胃がちぎれるんじゃないかなと思いました(笑)。


▲Shinno


▲K

華凛:アハハ(笑)。僕の中では、ちょうど「Nightmare」に取り掛かる前から思っていたことがあって。ここに来て、バンドのグルーヴが変わってきていることを感じていたんです。今までの僕は、もうガンガンいこうぜ…みたいな感じで、わりと突っ込み気味で弾いていたんですね。エンジニアさんやPAスタッフさんとか周りの人にも、その感じで良いと思うよと言われていたし。でも、ここに来てバンドのグルーヴが変わってきたし、自分もシンプルなスタイルにしていこうと思うようになって。例えて言うと、前の僕はオーバースローで投げるように直線的に音を落としていたけど、最近はアンダースローで一度“フワッ”とさせて落とすようなイメージになっているんです。そのほうが、今のNoGoDには合うことに気づいたから。「Nightmare」は、そういうことを意識してシャッフル対策をしました。それに、バンドのグルーヴが変わって来たことの決定打になったのが、「不完全肯定論」のサビだったんです。KとKyrieと僕の三人でベーシックを録っている時に、サビのノリが何か違うという話になって。それで、思い切って、もう外すくらい後ノリでベースを弾いてみたんです。そうしたらきっちりハマって、今のNoGoDは完全にこういうノリなんだということが分かった。そういう意味で、この曲を録ったのはデカかったですね。

Shinno:「Nightmare」は、べらぼうに苦労しました(笑)。録りの現場でイントロのリフのリズムの解釈が僕とKyrieで違っていることが発覚して、ユニゾンなのに揃わなかったんです。それで、「こう?」「いや、違う」「じゃあ、こう?」「いや、違う」ということの繰り返しになってしまって、揃えるのにすごく苦労しました。僕は、普段は敢えて練習しないでギター録りをするんですよ。練習していっても、現場でKyrieにこう弾いてと言われて違うフレーズを弾くことになることが多いから。でも、「Nightmare」は珍しくリフを練習してしまって、それが裏目に出たという(笑)。そんな事故がありました(笑)。「不完全肯定論」は、打ち合わせで苦労したよね?

Kyrie:そう、この曲は答えが見えなかった。こういう風にハードな面とポップな面を持ち合わせている曲は、どこに落とし込むかという答えがすごく多いんですよね。たとえばイントロのリード・フレーズ一つにしても、ゆったりしたものを弾くと歌物っぽくなるし、すごく弾きまくっていたりすると印象は大きく変わってくる。それに、Aメロで一度落としてからサビまで持っていくのか、サビまでずっと硬いままで行くのかというようなこともあるし。とにかく選択肢が多いんです。

Shinno:ギターがジャンルを変えてしまう曲調というのは、すごく難しいんですよ。歌謡曲にもなるし、ロックにもなるというところがあって。「不完全肯定論」は、俺に任せると歌謡曲になるよと、ずっと言っていたんです。

Kyrie:作り込みの段階で僕はそこまでどういう路線にするかということを考えていなかったので、とりあえず二人とも考えておこうということにしたんです。そのうえで、これはちょっと違う、これだと誰かっぽいんだよな…というようなことを、二人で話し合いましたね。

Shinno:それで、結果的にKyrieのデモ通りになったという(笑)。

一同:ハハハ! この曲もかよ!(笑)

団長:歌の面では「不完全肯定論」のサビは、かなり苦労しました。Kyrieが話したようにキーが低いから、声が抜けないんですよ。キーが低いから最初は歌っていて、すごくモヤッとしたし。低いキーでパワーを出すのは、ハイトーンで歌うよりもカロリーを使うんですよね。NoGoDのファンの人は「不完全肯定論」を聴いて、団長はサボっているんじゃないかと思うかもしれないけど、逆にパワーが必要なんです。そういう大変さがあることを感じて欲しいですね。

――色気のある歌になっていて、すごく効き応えがあります。さて、「Missing」は必聴といえるシングルに仕上がりましたし、リリースに併せて行われるツアーも楽しみです。

団長:今回のシングルは3曲全部が新しくて、自分達の中で未知の領域なんですよ。だから、これがファンの皆さんに届いた時に、どういうリアクションがあるのか分からない。それを楽しみにしているので、ぜひ感想を聞かせて欲しいですね。ライヴに関しては、10周年が終わってから去年、すごく自分達を見つめ直すことができたんです。いろんなことを考えながら試行錯誤しつつ、ガムシャラにやって来た10年を超えて、この先に何ができるんだろうということを考えた。そこで、みんなちょっと肩の荷が降りた感覚があって、ライヴバンドとして何ができて、何はするべきじゃないというようなことを精査できたんです。その結果、去年からすごくライヴのクオリティーが上がってきて、今のライヴは過去最高に良い状態に仕上がっている自信がある。なので、今度のツアーではそれをパッケージングして、さらにシングルの3曲が加わって、どれだけ進化できるかというのがあって。それを楽しみにしていて欲しいし、僕自身もすごく楽しみにしています。

K:ツアーは毎回そうですけど、全然想像がつかない……というか、想像しないようにしているんです。僕の中には、フラットな気持ちでライヴに臨んで、その時の感覚を大事にするのがライヴの醍醐味なんじゃないかなという気持ちがあるから。決め込んだことを毎回同じように繰り返すのは、違う気がするんですよ。なので、今回も1本1本真っ白な状態でステージに立って、その場の雰囲気を楽しみたいと思っています。

Shinno:「Missing」は、団長の内面におけるパフォーマンスが見られる曲だと思うんですよ。それがMVに色濃く出たし、ライヴでもそういう部分が出てくると思う。もしかすると、それはNoGoDというバンドとは別の部分として、団長個人の人間らしさが出るだろうなと。そういう意味で、ボーカリストとしての新たな一面を見せられるツアーになる気がしますね。団長の艶っぽさや色っぽさといったものを感じてもらえるツアーになると思うので、楽しみにしていて欲しいです。

団長:そういう部分は、もう自然と出ると思う。なので、一皮むけて大人になった私を見に来ていただければと思います(笑)。

華凛:そこは絶対に見どころになるでしょうね。あとは、今のNoGoDはシンプルな曲をバンド力で良い感じに聴かせられることが強みだなと僕は思っているんです。バンドとして、そういうアプローチを楽しめるところに入ってきた。だから、ライヴに来てくれた人の度肝を抜く自信はあります。僕はライヴで音響が完璧な状態と照明が完璧な状態ではどっちが良いかと聞かれたら、迷わず照明だと応えるタイプなんですよ。ライヴは視覚情報が7割くらいを占めるから。でも、今のNoGoDは、それにも負けないバンド力を見せられると思う。もう視覚にも、聴覚にも強く訴えかけるライブになるのは間違いないので期待していてください。

Kyrie:ライヴというのは、生ものですよね。今のこの五人がそれぞれどういう風にNoGoDというバンドを考えていて、音楽と向き合っているかという気持ち一つで、ステージはすごく表情を変える。それに、ライヴというのは当然僕らだけじゃなくて、お客さんも一緒になって創る空間なので。そういう意味で、出たとこ勝負な部分があるんです。だから、その時その時の空気に合わせて、一期一会のライヴをしたいと思っています。それこそ、弾きまくりたい気分だったら弾くだろうし、逆にそういう気持ちとは別の感情で全く違う弾き方をすることもあるだろうし。そういう中で常にお客さんが期待するレベル以上のパフォーマンスを見せなければならないというのがあって、今度のツアーはそういうことを意識したツアーになると思います。あとは、シングルを携えたツアーというのは難しい面があるんですよね。シングルはワンマン1本の空気を占めるには曲数がすごく少なくて、普通だったら劇的な変化を見せられるわけじゃないから。ただ、新曲は新しいNoGoDを印象づけるにふさわしいものになっている自信はあるので、「Missing」と「Nightmare」「不完全肯定論」という3曲を、一番輝かせられるようなライブをしたいなと思っています。

取材・文●村上孝之

リリース情報

New Single『Missing』
2017.4.21 ON SALE
01. Missing
02. Nightmare
03. 不完全肯定論
04. emotional disorder(live version)★
05. 桃源郷へようこそ(live version)★
★Recorded at TSUTAYA O-WEST, January 6th, 2017

ライブ・イベント情報

<NoGoD-2017- SPRING ATTACK W/O-U>
4/22 名古屋 ell.FITSALL
4/23 大阪 ROCKTOWN
4/26 福岡DRUM Be-1
4/27 広島 SECOND CRUTCH
4/30 長野 JUNK BOX
5/06 東京 shibuya WWW X


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