【インタビュー】千聖、過去と未来を繋ぐソロデビュー20周年ベスト

■千聖としての活動はこれで一区切り

──新曲「Can you Rock?!」はこのベスト盤のために書き下ろしたナンバーですよね？

千聖：そうです。17年ぶりに千聖として書き下ろしましたね。最初、タイトルは「I can Rock!」だったんですよ。“俺はロックできてるぜ！”って感じだったんですけど、それよりも問いかけのほうがいいかなって。直訳すると“ロックできてるか？”ですが、“今もとんがって生きてるか？”、“ものごとをちゃんと自分で捉えて生きてるか？”っていうニュアンスです。みんなに対してもそうだけど、自分に対して問いかけてる部分もあって、“日和って生きてないか？”っていう意味もある。めんどくさくなってテキトーになってしまう生活はごめんだっていうのが自分の中にあって、希望を持って前に進んでいく感じを音楽で表したかったんです。

──千聖さんらしいアッパーで爽快感がある曲です。

千聖：20周年を振り返るのにちょうどいい曲になったんじゃないかな。作り方自体もCrack6とは少し違って、1stのアレンジをT2yaが手がけたみたいに山田巧くんに自分のギターとヴォーカルとBPMだけ渡してアレンジを丸投げしたんです。攻撃的な打ち込みがカッコいいし、こういうところがソロでコラボする醍醐味なんです。バンドは家族みたいなものなので、家族構成を崩すわけにいかないですからね。

──確かに。それと「Can you Rock?!」の歌詞に千聖時代のヒット曲「VENUS」や「KICK!」のオマージュが入っているのも聴きどころ。「DANCE WITH THE　WILD THINGS」のように台詞が盛り込まれていたり。

千聖：そこは遊び心ですね。おっしゃった台詞の部分は「DANCE WITH THE WILD THINGS」ではオスカー・ワイルドの名言を引用してたんですけど、今回は（F・スコット・）フィッツジェラルドが出てきます。「This Side Of Paradise」という曲のタイトル自体、フィッツジェラルドの小説からつけているので、彼の墓碑に書かれていた言葉を引用させてもらいました。音源だけではなく、今回のアルバムはジャケットのデザインも2ndアルバムと3rdミニアルバムを手がけてくれた前田さんというデザイナーの方にお願いしているんですよ。

──こだわりまくってますね。

▲『千聖〜CHISATO〜 20th ANNIVERSARY BEST ALBUM「Can you Rock?!」』初回限定盤

千聖：手につけているグローブも2ndアルバムと同じもの。それと当時はビザール・ギターという変な形のギターを使っていたので、今回も手に入れて撮影しました。中ジャケにはもっといろいろな変わったフォルムのビザール・ギターが写っているんですけど、そこも当時の千聖の姿勢を崩していないですね。20年前のディテールにこだわりつつ、新曲は未来に向いています。

──最後に6月18日からスタートするアニヴァーサリーツアー＜千聖 vs Crac6 TOUR 2017＞はどんな内容？　そして今後も千聖として活動することはありえるんでしょうか？

千聖：まずCrack6があるので、千聖としての活動はこれで一区切りにしたいと思っています。これだけ千聖色が強くなるツアーはもうないんじゃないかな。

──見逃せないですね。もう演奏しない曲もあるということですよね。

千聖：あるでしょうね。“千聖DAY”に関してはベストから漏れた曲も演奏するのでぜひ見にきてほしいですね。“Crack6 DAY”は逆にリクエストライヴになると思います。Crack6で千聖の曲もやると思いますよ。

──ギターを含めたヴィジュアルも違うんだろうし、この試みはレアですね。

千聖：はい。内容も含めて面白いライヴにしたいですね。

取材・文◎山本弘子