【インタビュー】LOVEBITES、ヘヴィメタルのエッセンスを凝縮し超絶技巧満載の1stフル・アルバム『AWAKENING FROM ABYSS』

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■洋楽リスナーにも楽しんでもらえる音楽をやっていきたいし
■“ガールズ”という枠に捉われずに
■純粋にメタルバンドとして捉えられるバンドになりたい


──ベースはいかがでしたか?

miho:ベースは基本的に、どっしりと後ろにいるベースになっています。メタルはギターとかドラム、ボーカルに目立って欲しいジャンルだなというのがあって、そこでベースも前に出ると崩壊してしまうので。だから自分は一歩引いて、他のパートを支えることに徹することにしました。ただ、「Burden Of Time」は元々私が作った曲なんですけど、Mao君と共作になっていて、Mao君にとんでもないフレーズを持ってこられて、弾けない、弾けない…みたいな(笑)。自分で作った曲のはずだったのに、すごく難しいという(笑)。しかも、この曲はファスト・チューンではないから、聴くと難しそうには聴こえないんですよね。そういう地味に難しい曲です(笑)。でも、ギター・ソロの後ろで今まで弾いたことのない、ちょっとジャジーなフレーズを弾いていたりして楽しかったです。あと、全体的に動きまくっているのは、9曲目の「Inspire」ですね。ARAKENさんが作られた曲で、ARAKENさんとプロデューサーと私の3人でベースを考えたんです。この曲はベース・ソロっぽいパートもあって、アイアン・メイデンの「アイアン・メイデン」を意識したフレーズを弾きました(笑)。

――良いですね(笑)。アイアン・メイデンが好きだということもあり、今後はベースが前に出た曲も出てくる予感がします。

miho:そうですね。それは、今後にご期待くださいということで(笑)。

――楽しみです。音色からすると、基本的に指弾きでしょうか?

miho:全部、指弾きです。私はスティーヴ・ハリスが好きなので。でも、スティーヴ・ハリスのスタイルは、オールドスクールなアイアン・メイデンならではなのかなと思うんですよね。サウンド面に関していえば、アンスラックスのフランク・ベロとかが好きで、ハリスまでいかないけど“パリッ”とした音で、印象的なベースのリフがあって…というスタイルを目標にしています。

mi-ya:ギターは、バッキングはほとんど私が録ったんです。メタルはギター・ソロにスポットライトがあたりがちで、“ワァーッ”とただ手グセを速弾きしたり、よく分からないことを弾く人がいるけど(笑)、私が昔読んだ教則本に「ギタリストはソロも大事だけど、カッコ良いバッキングがあってこそなんだよ」と書いてあって。それが刷り込まれていて、それを常に意識しています。バッキングで一番大変だったのは、「The Hammer Of Wrath」です。とにかく速くて、普通に疲れるんです(笑)。難しいんじゃなくて、持久力が必要という(笑)。あとは、特に苦労した曲はなかったですね。ギター・ソロは、私は速いのはあまり得意じゃないので、速いのはmidoriに任せているし。

――ええっ、2人とも速くないですか?

一同:速い(笑)。でも、mi-yaは、そう言うんですよ。

mi-ya:いや、私は速弾きは苦手意識があって、ソロを作る時は歌メロとかに関係性のあるメロを持ってきたりしました。そういう構築の仕方が好きだし、“泣き”を大事にしています。今回のアルバムも弾いていて一番楽しいのは「Edge Of The World」のバラードのところです。ゆっくりしたソロですけど、テイク数でいうと一番多く録りましたね。ニュアンスにこだわって、何度も弾いたんです。まだ若干いけるだろうというところもあるけど、何度も弾いたので良いテイクが録れたんじゃないかなと思います。速いソロのほうが意外と時間は掛からなかったですね。

midori:私は基本的にソロ担当という感じで、mi-yaが話したように、ソロの役割はmi-yaが“緩”で、私が“急”みたいな。ただ、LOVEBITESの曲はギター・ソロがめっちゃ長いですよね。なので、それぞれのソロの中でも緩急をつける必要があって。“ブワァーッ!”と弾き倒すだけじゃ面白くないので、耳に残るようなフレーズを入れ込むようにしました。でも、ほとんどの曲のソロを半々で弾いていて、私は“急”にならないといけないし、mi-yaは自分では遅いというけど、速いんですよ(笑)。しかも、スウィープ・ピッキングとか、スウィープ・タップとか個人的には音数を稼ぎやすいと思うものが多くて(笑)。2人で同じようなことをしても面白くないから違うことで音数を増やそうと思うと、レガートでいくか、フル・ピッキングでいくか…くらいしか選択肢がなくて。なので、結構しんどいという(笑)。


――2人ともテクニカル&エモーショナルでいながら個性の違いが味わえて楽しめました。「Scream For Me」のアウトロの掛け合いなどは圧巻ですし。

midori:そこは、一番練りましたね。すごくラフに弾いているように感じるかもしれないけど、そんなことはなくて。先にmi-yaが自分のセクションを録って、私が後から間を埋めたんですね。mi-yaのソロからうまく繋がって、良い感じで次に繋がっていくソロで、なおかつmi-yaとは違うことをやるとなると簡単そうで難しくて。

一同:先にやったモン勝ちだね(笑)。

midori:そう(笑)。でも、この曲のソロを練り込むのは面白かったです。

miho:midoriもmi-yaも凄いですよね。「Shadowmaker」のMVとかを見ながら、“2人とも、よう指が動くなぁ”と思いました(笑)。

mi-ya:アハハ(笑)。CDはイヤフォンとかでしっかり聴く人が多いから、ライブではレガートでいったりするところも、レコーディングはフル・ピッキングで弾くようにしたんです。

midori:私も元々はレガート派ですけど、フル・ピッキングで弾いたほうが攻撃的に聴こえるので、レコーディングではフル・ピッキングを多用しました。そういえば、「Shadowmaker」は仮ソロを作っていったら、「この部分は音数、倍で」と言われまして(笑)。倍は無理やろうと思いながら、本当に倍にした結果ああいうソロになりました(笑)。あと、「The Apocalypse」という曲でボトルネックをやっていて、それは楽しかったですね。プロデューサーに、これはボトルネックでやってみたらと言われて、初めてやったんです。基礎とかも分からなかったので、YouTubeでデレク・トラックスとかを見て“すごい!”と思って(笑)。いろいろ研究してから録りました。

asami:歌に関しては、曲によって声質や歌い方を変えていて、そこでいろいろ苦労しました。Aメロを歌った瞬間に、「あっ、これじゃない」とかいって、もう一回録り直すというのを結構やって、曲と歌詞に合わせた声で歌うようにしたんです。なので、今回のアルバムの歌はいろんな色があるんじゃないかなと思います。

――ありますね。asamiさんはR&Bやソウル系のシンガーだと聞いて、メタリックなオケとソウルフルな歌のマッチングを活かしているのかなと思ったんですね。そうしたら、すごくパワフルな歌を歌われていて驚きました。

asami:歌い方は試行錯誤の連続というか。私はメタルを通ってきていないので、メタル・シンガーを参考にしようと思っても、誰を聴けば良いのか分からないんですよ。だから、どういう歌い方をすれば良いかは、全部自分で考えています。正直、前作のEPを録った時はちょっと迷いもあったし、まだ掴めていないところもありました。でも、このバンドで歌っていくうちに、こういう感じなんだろうなということが徐々に分かってきて、今回はそれを活かせたかなと思います。自分の中で迷った時は、周りの人に意見を聞いて判断してもらったりしましたし、全部の音が消えて声しか残らないところの歌い方とかは結構詰めました。もう何も迷わず、自分のままで“パンッ!”と歌ったのは「Edge Of The World」くらいでしたね。

――分かります。それに、「Liar」や「Inspire」の出だしなどでもR&Bなどに通じるエモーションを披露されていますね。

asami:自分がここに来た意味じゃないですけど、あまりにもメタルに寄せ過ぎてしまうのは違う気がして、私にしか出せない歌も残していきたいなというのがあって。だから、今あがった曲みたいに自分のルーツを活かせる曲は活かしたし、それは今後も保っていきたいと思っています。

――そうあって欲しいです。歌唱力は圧倒的ですし、「Don’t Bite The Dust」のエンディングでは2オクターブ上がっていくフェイクなども披露されていますね。

asami:そこは最初に提案された時に、“はいっ?”と思いました(笑)。ディレクターに、1オクターブで止まったら面白くないよねと言われて。今までそんなことはしたことなくて、どこまで行けるかなという挑戦でもあったんですけど、やってみたら意外といけました(笑)。あと、LOVEBITESの曲は全体的にキーが高いんですけど、高いところにいくからといって耳障りな声にはしたくなかったんです。なので、ハイトーンにするにしても聴いている人が“ウェ~ッ”とならない歌い方を心がけました。聴いてくれる方はそんなに高い声だと感じないかもしれないけど、実は結構高い声も出しています。

――やりますね。歌に関しては、歌詞が全曲英詩ということも特色になっています。

miho:私はこのバンドを結成した時に、英詩でいきたいと思っていたんです。絶対に英詩じゃないと嫌だったというわけじゃないけど、asamiは留学経験もあって英語が話せるので、じゃあ英詩でいこうと決めました。今年の5月に出したEPには日本語の曲も1曲入っていたんですけど、アルバムは全曲英詩で世界を見せています。

――たしかに、asamiさんは発音がちゃんとされていて……。

asami:本当ですか?

一同:反応、速っっ!(笑) クイ気味にいったね(笑)。

asami:アハハ(笑)。私の中では、“ああ…”というところが沢山あるから。たとえば、英語の“th”とかを発音する時は、どうしても空気が抜けてしまうんですよ。それを力強く歌うというのが、ものすごく難しくて。力強く歌おうとすると日本語っぽくなってしまったりして、その葛藤はずっとありましたね。

――でも、“無理して英語で歌っている感”がないので聴きやすいですし、カッコいいです。『AWAKENING FROM ABYSS』は完成度の高い楽曲群に加えて、テクニックの聴きどころも多い一作になりましたね。さらに、11月から12月にかけて東名阪ツアーも開催されます。

miho:私達はまだ東京でしかライブをしたことがなくて、今回は名古屋と大阪にも行けるので、早く各地の皆さんにお会いしたいなと思っています。メタルバンドにふさわしい、とにかくハードなライブをするので期待していて欲しいですね。それこそharunaの足がちぎれるくらいのライブをお見せします(笑)。

haruna:ちぎれないように、がんばります(笑)。ライブはCDの完全再現を目指したうえでパフォーマンス的なところも入れて、魅せるドラムを披露しようと思っています。星の形をしたシンバルとかもあるので、上手く活かしたいですね。演奏とパフォーマンスを両立させて、聴いて楽しくて、見て楽しいライブにしたいなと思っています。

mi-ya:楽曲というのはレコーディングしたらでき上がりではなくて、ライブで演奏して、お客さんと一緒に盛り上がることで、本当の意味で完成するものだと思うんですよ。なので、『AWAKENING FROM ABYSS』の曲達を、ちゃんと完成させるという意識で東名阪を廻ります。あとは、私は大阪出身で、今回の心斎橋 アメリカ村 DROPはずっとお世話になっていたハコなので、凱旋ライブ的なところがあって。前回出たのは前にやっていたバンドのワンマンで、そこにまた帰ることができて本当に嬉しいです。といっても大阪だけに重きを置いているわけではなくて、東京と名古屋でも凄いライブをするので楽しみにしていてください。

midori:これだけパンチのある音源ができたので、聴いてくれた人のライブに対する期待値も上がると思うんですよ。それを超えていけるようにしたいですね。それに、harunaも言ったように魅せるという部分もしっかりやって、観応えのあるライブをしたいと思っています。

asami:LOVEBITESの初ツアーなので、とにかくインパクトのあるライブをしたいですね。みんなに、本当に来て良かったなと思ってもらえるようなライブを毎回することを目指します。私達の中にはいろんな場所でライブをしたいという想いがあるので、今度のツアーをそこに向けた第一歩にするために、必ず成功させたいと思っています。

――ライブも楽しみです。もう一つお聞きしたいのですが、ここに来てガールズ・メタルバンドが増えて一つのシーンが形成されつつあります。そういう中で、LOVEBITESはどんな存在を目指していくことになりますか?

miho:いろんなタイプのガールズ・メタルのバンドがあると思いますけど、うちは洋楽指向でいきたいというのがあって。洋楽リスナーにも楽しんでもらえる音楽をやっていきたいし、“ガールズ”という枠に捉われずに純粋にメタルバンドとして捉えられるバンドになりたい。そういう存在になることを目指していきます。

取材・文●村上孝之

リリース情報

LOVEBITES 『アウェイクニング・フロム・アビス』
2017.10.25発売
【デラックス・エディション】 DVD付き / 見開き紙ジャケット仕様
¥3,800+税 / VIZL-1256
【通常盤】 初回プレス分のみオリジナル・ステッカーをランダム封入
\3,000+税 / VICL-64863
【CD】
1. The Awakening / ジ・アウェイクニング
2. The Hammer Of Wrath / ザ・ハマー・オブ・ラス
3. Warning Shot / ウォーニング・ショット
4. Shadowmaker / シャドウメイカー
5. Scream For Me (Awakened Version) / スクリーム・フォー・ミー〔アウェイクンド・ヴァージョン〕
6. Liar / ライアー
7. Burden Of Time / バーデン・オブ・タイム
8. The Apocalypse (Awakened Version) / ジ・アポカリプス〔アウェイクンド・ヴァージョン〕
9. Inspire / インスパイア
10. Don’t Bite The Dust (Awakened Version) / ドント・バイト・ザ・ダスト〔アウェイクンド・ヴァージョン〕
11. Edge Of The World / エッジ・オブ・ザ・ワールド
12. Bravehearted (Awakened Version) / ブレイヴハーテッド〔アウェイクンド・ヴァージョン〕
【DVD】
Don't Bite The Dust (video clip)
Shadowmaker (video clip)

ライブ・イベント情報

<AWAKENING FROM ABYSS TOUR 2017>
11/17(金)東京 渋谷 TSUTAYA O-WEST
12/6(水)愛知 名古屋 APOLLO BASE
12/7(木)大阪 心斎橋 アメリカ村DROP

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