【連載】中島卓偉の勝手に城マニア 第64回「向羽黒山城(福島県)卓偉が行ったことある回数 1回」

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福島県で有名な城と言えば会津若松城、白河小峰城、二本松城とになってしまうが、本当の意味で城マニアが唸る城、唸るようにアクセルを空吹かししてしまう城、田舎の駐車場の広いコンビニに集合して集会の前に空吹かししてしまう城、それはもう向羽黒山城であろう。これまたtvkのミュートマ2のロケで来れてしまったのである。というより私はこの城に行きたくて仕方がなく、番組の天才ディレクター&カメラマンの菊谷さんに兼ねてから向羽黒山城に行きたいです!とお願いしていたのである。


念願叶いめでたくロケ。しかもロケ当日は雨だったにもかかわらず寸前で晴天に。山城だけに土塁や空堀が登りづらくなるので降らないでくれるに越したことはない。そうなのだ、城マニアは場内の道をただ登り歩くだけじゃなく土塁や空掘りの中までも歩くことが基本なのである。場合によっては登れそうな石垣、進入禁止の区域までダマテンで行ってしまうのである。本当にすまん。死んだら自己責任だ。これを読んでいる育ちの良い正義感しかないような、全て正しいことが正しいんだからという人間は絶対に真似するのはよそう。


東日本最大級の山城とまで呼ばれている向羽黒山城。築城はエロエロと、いや、いろいろと説があるがおそらく蘆名氏が1568年に築城で間違いはないだろう。そこから伊達政宗公、蒲生氏、上杉氏と城主が変わり、改修していきながら1601年、関ヶ原の戦いで上杉が敗北したことにより廃城になった。私の推測、イマジンで言うと、おそらくこの城を今の形にしたのは上杉氏だったと思う。と言うのも上杉氏の本城の春日山城と非常によく似た作りをしているのだ。政宗公も蒲生氏もそんなに長くこの城で暮らしてはいないのでそんなに遠くないイマジンだと断言したい。



現在は城全体が公園として整備されており、ハイキングコースにもなっている。実に整っている。CDで言うときつめのコンプ、いやタイトなコンプ、だ。車でも城の中まで登れるようになっているので本丸まで到達するのにさほど苦労はしない。だがこの道路が今ももしなかったら相当な体力が必要な城だ。良くも悪くも城内に通った道路のおかげで城の縄張りが分断されてるのは否めない。よって城の良き部分が箇所箇所に飛び飛びになっていて一気に見学するのが困難な城である。1日で、1回で城を制覇するのはなかなか難しい。その代わりいつ来ても新しい発見がある最高に上がる城だ。ロケでも菊谷さんと話し合った結果、やはりまずは一ノ曲輪(本丸)をわかりやすく撮影し、ニノ曲輪の全部を時間が許す限り、という流れに。よって初めての来城の場合はニノ曲輪と本城への登り口に駐車スペースがあるのでここにアストンマーティンかセルメデス・ツンベを停めて見学をスタートさせてほしいと思う。




ちなみに引き続きイマジンしていただきたいのだが、この駐車スペースのニノ曲輪と一ノ曲輪の山の間の谷は大堀切の跡だそうだ。道路にしてしまっているのでわかりづらいが確かにかなりの大堀切だったことが伺える。三ノ曲輪からニノ曲輪まで登って来て、いざこれから一ノ曲輪を目指すかとなったこの場所にある深い谷が大堀切だった、凄まじい防御である。まずは一ノ曲輪を目指すべく登り始めるとすぐ右側にこれまた大きな竪堀が見えてくる。この竪の切り方、ため息が出るほど美しい。上を覗くと山頂のすぐ下まで伸びていることがわかる。完全にボブスレーのコースとしか言いようがない。よく見ると登城口に沿ってもう1本の竪堀も伸びている。いきなりここで二つの竪堀、二つのボブスレーのコースが!いやむしろダブル浅野!ソバージュに肩パットでお出迎えである。

個人的に空堀は横よりも竪堀の方が唸る。それはまず縦に掘ることの方が大変だし、そもそもが攻める気が失せるので威嚇としても最高だと思うからである。竪堀をたくさん施した城は本当にエロい。実にセクシーだ。しかもここまでかなりの高さを登ってきたというのにまだこんな場所に堀があるのかと脱帽。更に登って行くといくつもの虎口、そして空堀、土橋、堀切がどんどん登場する。こんな山の上で?こんな山の中で?本当に開いた口がふさがらない。本城である一ノ曲輪まで登るとわかるがここは見晴台と言った感じでさほどスペースはない。もっとも二ノ曲輪からでも城下は綺麗に見渡せる。だがここからの眺めも最高だ。城の搦手には阿賀川が流れ、ここを天然の水掘りとし、西にもいくつもの堀切を施している。向羽黒山自体が横にも縦にも長い山なわけだがそれを全部城にしていることがこの一ノ曲輪の景色から見渡せる。



降りる時に城内を整備してるお爺さんの方々が何人かいらしたが、木を切ってくれるだけでも城の縄張りがはっきりと見えてくるのでとてもありがたい。感謝である。ちょっとだけ会話をさせてもらったが福島弁がかなりきつくてほぼなんて言ってるのかわからなかった。よって僕も菊谷さんも何を聞かれても「ええ!ええ!そうです!城の撮影で!そうです!神奈川のテレビです!ええ!ええ!そうなんです!」とだけ伝えておいた。方言は国の宝である。今でこそ博多弁はポップだが私が中学卒業と同時に上京した1994年は本当に通用しなかった。「は?」とよく言われたものである。

今度は二ノ曲輪である。向羽黒山城の一番の見所はニノ曲輪周辺の空堀、竪堀、土塁、虎口、食い違い虎口、土橋だと断言してもいいくらいこの辺りのディティールと仕上がり具合は半端ない。とにかく凄い。初めて来る場合でも絶対にここは見ておいてほしい。だが三ノ曲輪からニノ曲輪を登るコースとなるとかなりの体力が必要となる。もちろん下から登り見上げた方が圧巻なわけだがここを超えて一ノ曲輪まで登るとなると3時間コースの見学になってしまうのでここはあえてニノ曲輪からある程度のところまで降りて見学されることをお勧めしたい。

今書いた通り、ニノ曲輪の下周辺は空堀や土塁が凄まじい。保存状態もめちゃくちゃ良い。木も切ってくれているのでめちゃくちゃ見やすい。竪堀も長いし深いしボブスレーでダブル浅野で肩パットだ。超ソバージュだ。前髪だけカールの立ち上げにも成功している。この斜面をポルポル~か、ベンベ~で落ちて行ってほしい。まさに「テルマ&ルイーズ」みたいではないか。この映画見てないお前うんちなんじゃねえの?若かりし頃のブラピも出てるってのに?ニノ曲輪周辺は城マニアならここで一週間キャンプがしたくなるほど素晴らしい作りとなっている。この急斜面に対してこれほどの土塁、これほどの深さのある空堀、土橋の高さも歩いていて怖いくらいだ。一ノ曲輪の撮影を終え、ニノ曲輪周辺に足を踏み入れた時、この凄まじい様を目の当たりにした時、城に全く興味のないマネージャーの砂田は言った。「おえ~~~……。」興味のない砂田でもおえ~と言ってしまうくらい凄いと言うことで伝わるだろうか、伝わったな!

城の麓、いわゆる城内の入り口に向羽黒山城の復元予想絵図も展示されている。そこにこの周辺のご当地キャラ?が、どでかく展示されている。顔がテレビになっていてキン肉マンで言うところのMr.VTRみたいだった。近所の方、いくら検索してもそのキャラクターの名前を調べることが出来なかったので今度教えてほしい。ついでに私のファンが私を広げない理由も教えてほしい。私の城ファンは私を広げてくれるのに私の音楽ファンは私を19年間広げない理由を教えてほしい。ちなみにそのゆるキャラ隣にある山田製菓さんの饅頭は美味い。

続日本の名城100選に選ばれた向羽黒山城だが、そもそもこれほどの城が最初の100選で選ばれなかったことがおかしかったのだ。もっともっと訪れてほしい。そもそもロケするにあたって菊谷さんがこの街の観光協会的なところへ問い合わせたところ、訛りがきつくてほぼ何て言ってるかわからなかったが、城の撮影が入るのは我々が初めてだったことは聞き取れたようだ。会津若松城にも近いので是非会津若松城と向羽黒山城をセットで、むしろダブル浅野で見学に来てほしいと思う。


帰りに郡山の駅でお土産売り場に立ち寄ったら、柏屋の薄皮饅頭の専門店が入っており、手作りの薄皮饅頭が残すところ三つだけになっていた。明日には賞味期限が切れるというところがまた素晴らしい。いかに保存料や添加物が入っていないかがわかる。これぞ本気の饅頭だ。音程もエディットせず、歌ったままを音源にする私のレコードと同じである。私はこの5年和菓子にハマっていて柏屋の薄皮饅頭が大好きである。郡山に着いたら絶対に手作りの方の薄皮饅頭を食ってやろうと思っていたのだ。一瞬三つ買おうと思ったがさすがに三つは食えないと思い二つをレジに出すと、店員のマダムが二つ分の会計をしてくれたあと、マダムはパッとレジの外に出て最後に残った薄皮饅頭を取り「これも持ってって!お金はいいから!」とサービスしてくれた。良いんですか?と聞き返したがバーっと福島弁で話して来られた。ほとんど聞き取れなかったがきっとこう言っていたと思う。

「いいの!いいの!でもね、内緒にしといてね、もう最後の一個だからさ、それと賞味期限短いからね、明日までだけど、今日中に食べた方がいいから、明日はね、ちょっと硬くなっちゃうのね、だからさ、今日中に食べて!この後新幹線?東京方面?そうよね、東北の顔してないもんね、だったらさ、新幹線の中で食べちゃって!」きっとこう言われてたと思う。方言は国の宝である。城も方言もジョンレノンもイマジンが大切だ。

最後に「本当にありがとうございます、頂いちゃって本当にすみません!」とお礼をお伝えしたらなんとマダム、私にウインクしてくれた。マダムのウインク。事務所の大先輩、相田翔子姐さんもびっくりだ。マダムはウインクしたことが自分で恥ずかしかったのか鼻の汗をハンカチで何度も拭いていた。そのハンカチの柄はとても可愛らしい1967年のフラワームーヴメントよろしく、黄色の花柄だった。サイケデリックな音楽やファッションが大好きな私はサイケ的な花柄に反応してしまう癖がある。

その後、せっかくなんで郡山で軽くひっかけてから帰るかとなり、ラーメンも食える居酒屋へ入った。隣の4人席のテーブルで一人で新聞読みながら踏ん反り返っているサラーリーマンがいきなり店員に怒鳴りつけた。「おい!いつになったらチャーハン出てくるんだよ!早くしろよ!」良いロケだったのにこういう人を見るのはきつい。そもそも私は空いてもない店内で4人テーブルに一人で座る神経がわからない。カウンターに座らんかい。その後すぐにチャーハンが届き、「まったくよ~」と言いながら食べ始めたサラリーマンはスラックスのチャックが見事なまでに全開だった。チャックウィルソンもびっくりなほどに全開だった。だがしかし、よく見て見ると、というか私はここでデジャヴに遭遇した。というかこういうことがあっていいのか?という事実に出っくわした。むしろこれがサイケデリックということなのか?LSDなんてやってないぞ。無性にTHE HOLLIESに聞きなたくなった。いや、自分が疲れてるだけか?ヒッチコックの脚本みたいで身震いした。

そのサラリーマンの全開になった先にある柄パンの模様はなんと、さっきのマダムのハンカチの黄色い花柄とまったく同じ柄、だった。

あぁ 向羽黒山城、また訪れたい……。

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