【インタビュー<前編>】フルカワユタカ、2017年を振り返る「意味が後からついてくるんです」

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フルカワユタカが11月8日、シングル「days goes by」をリリースした。同作はDOPING PANDAインディーズ時代のプロデューサーTGMX(FRONTIER BACKYARD)と再びタッグを組んで制作されたもの。これを皮切りにアルバムリリースや自身主催フェス開催をはじめとする今後の注目展開が続々と発表されており、活動ペースも周囲を巻き込んだアプローチもこれまでにない盛り上がり。先行シングルとしてリリースされた「days goes by」はその起爆剤となるものだ。

◆「days goes by」ミュージックビデオ 動画

前アルバム『And I’m a Rock Star』から10ヵ月ぶりのシングル「days goes by」はフルカワユタカの新境地と言えるサウンドが心地よい。「新しく生み出された感があるものですよね」とは自身の言葉だが、アダルティーでソウルフルな音像、そしてその制作方法には、音楽表現の進化はもとより自身の内面的変化もあったようだ。

BARKSは、活動ペースを上げ続けた2017年の総括を前編、シングル「days goes by」およびアルバムへの予感を後編として、二部構成によるロングインタビューを行なった。あくまでも自然体ながら前傾姿勢でひた走るフルカワユタカの現在進行形をお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■人生としての音楽が
■戻りつつある感覚を維持したかった

──リリースとしては2017年1月のアルバム『And I’m a Rock Star』以来、約10ヵ月ぶりとなります。

フルカワ:『And I’m a Rock Star』って今年でしたっけ? あれ?そっか。

──そうなんですよ。これまでのリリースペースを考えればタームが短いんです。2017年を振り返ると、1月にアルバム『And I’m a Rock Star』をリリースして発売記念ツアーを開催、初夏に自身主催対バン企画<Play With>が2本、さらには11月のシングル「days goes by」リリースに続いて下北沢SHELTER 3DAYSを開催。2018年1月には新木場STUDIO COASTで主催フェスとニューアルバム『Yesterday Today Tomorrow』リリースに加えて発売記念ツアーも予定しているという密度の濃さで。しかも、それらの合間にLOW IQ 01のサポート参加やアコースティックライブも行なってますよね。いったいこの充実ぶりはどういうことなんだ?と(笑)。

フルカワ:そうですね(笑)。年間ライブ2本のみ、みたいな時からずっと知ってるBARKSさんからすれば驚きですよね(笑)。僕もどういうことなんだろうな?っていうのはちょっとあります。

──いや、ただの上り調子ですよね。

フルカワ:そうなんですかね? あんまり深くは考えてないんですよ(笑)。ただ実感としては、例えば8月は市川(LOW IQ 01)さんの現場と自分のアルバム制作の同時進行で、もういっぱいいっぱい。こんなにいっぱいいっぱいなのは、それこそドーパン (DOPING PANDA)の一番忙しかった時以来じゃないか?っていう(笑)。久々に、“ああ、ミュージシャンやってるな”って思ってたんです(笑)。

──はははは。それって、自分で引き寄せたものでしょ? そうなりたいと思い描いたものでしょ?

フルカワ:いや、そりゃそうなんですけど……どこでどうなったか……本当に自然とです。一昨年ぐらいまでの自分は、曲は作るけど発表する機会もないっていう状況で。そんな中で、ドーパンの楽曲を解禁したライブを年間2〜3本やっただけの年が1年半ぐらい続きましたよね。その時は早く音源を出してツアーやりたいなって、もちろん悶々としてたんです。

──はい。

フルカワ:だから去年のインタビューで話しましたけど、ベボベ(Base Ball Bear)のおかげで、人前でまたギターを弾くっていうエンジンに火が点いたみたいなところがあって。「この流れをぶった切っちゃもったいないよね、2ndフルアルバム(『And I’m a Rock Star』)を作ろう」という話になり、そこから市川さんの現場で得た広がりも大きいだろうけど。

──気づいたらそうなってた?

フルカワ:そうそう。また3rdアルバム作ってるな、夏フェスも市川さんと行ってるな、なんかすげえ忙しいじゃん!って(笑)。

──とはいえ、アルバム『And I’m a Rock Star』のツアー以降も、忙しい合間に曲作りを積極的にしていたということですよね。

フルカワ:来年1月リリースのニューアルバムは、「作りたい」って自分から言いましたからね。それもアルバム『And I’m a Rock Star』のツアー中に。実はニューアルバムよりも先に、「2018年1月に新木場STUDIO COASTをやりたい。そういうところに向かっていかないといけないんじゃないか」っていう話をして。逆算して、そこに目がけてアルバム作りたいと。

──ソロ5周年とキャリア20周年を記念して2018年1月28日に新木場STUDIO COASTで開催する<フルカワユタカ presents「5×20」>ありきで、いろいろな物事が進んでいったと?

フルカワ:1月28日はアニバーサリーなんですよ。僕は音源より先にライブでソロを始動したんですけど、それが2013年1月のクアトロ3DAYS(Yutaka Furukawa QUATTRO 3days ~first communication~)だから、ちょうど丸5年なんです。そこに向かって何かやりたいっていう話をしていたら、候補の中に1月28日の新木場STUDIO COASTがあって。タイミングも場所も組み合わせ的にいいねと。

▲<And I'm a Rock Star TOUR>2017年2月10日@東京 SHIBUYA WWW-X

──その話が持ち上がった『And I’m a Rock Star』のツアーまで遡っていただきつつ、2017年を総括することで進境著しいフルカワさんの現在を改めて知りたいんですが。まず、『And I’m a Rock Star』という作品はロックスターの過去も現在も、十八番も全部詰め込まれたアルバムで。それが<And I'm a Rock Star TOUR>を経て自身の中に消化された部分ってあります?

フルカワ:あのアルバム自体は、ベボベのサポートギターとしてツアーを廻った後に、“人に音楽を届けることが当たり前のところに戻らなきゃいけない”という気持ちで作ったというかね。そのために、外へ目が向いてない過去に作ってたデモとか、ベボベのツアー終わりで作った新曲を集めて、記録的なもの、日記的なものをリリースしたかったんだと思うんです。「僕はもう、このアルバムがバカみたいに広がってほしいっていう期待はしてないんです」みたいなことを、その時のインタビューでも話したと思うんですけど。やっぱりアルバムにともなったツアーも、そういう気持ちに変わりはなかったですね。

──「数字云々ではなくて伝わってほしい」ともおっしゃってました。

フルカワ:音源自体はいいものを出したと思っていますからね。そのポジティヴな気持ちのままツアーがつながったというか。冒頭の「アルバムっていつ発売した?」っていう言葉が象徴するように、ベボベのサポートをして、アルバム作って、ツアーやって。以降、今もそのペースが継続的だからフワッとしてるのかもしれないです。

──着実に、地に足のついた活動ができてるっていうことですか。

フルカワ:ああ、着実っていう言葉が合ってる気がしますね、『emotion』の時に比べると。『emotion』のツアーは世間と乖離した感じをもの凄く受けましたから。“ドーパンじゃないとこんなふうになっちゃうんだ”っていう。なんだったら、“ドーパンよりいいもの作ってやる”って思ってましたし、“ひとりになったほうがすごくなるんじゃないか”みたいなヘンな欲もあったし。その期待を見事にぶち破られたのが『emotion』。だから僕的には、1st音源とツアーをセットで一周した後が一番しんどかったんですよ、挫折感があった。動員とか実質的な数字とかはわからないですけど、いちミュージシャンとしては今、だいぶリカバリーしてます。間違いなく着実。まぁ、ロックスターが着実でいいかは別として(笑)。

▲<フルカワユタカ presents「Play With」-with Melancholy A->2017年7月28日@新宿LOFT

──ははは。2016年の初開催に続いて、自身主催対バン企画<フルカワユタカ presents「Play With」>を2017年初夏に行いました。

フルカワ:今年はBenthamとASPARAGUSに出てもらいましたね。この対バン企画は去年立ち上げて、まずベボベとバンアパ(the band apart)に出演してもらったわけですけど、その2バンドとは相当ストーリー性があったんでね。ベボベはメンバー脱退とサポート参加のストーリーがありましたし、バンアパに関して言えばインディーズ時代からのストーリーがあった。で、今年はそこじゃないところで、昨年と同じ時期に、ロフトっていうハコで開催して。それは、自分が絶対にいなきゃいけない場所としての音楽というか、人生としての音楽が戻りつつある感覚を維持したかったからで。

──周囲のバンドとつながっていくことを能動的に継続されている印象もあります。

フルカワ:ありますね。それを自分の冠で行うっていうこともそうだし、ドーパンの時にはなかなか一緒にできなかったASPARAGUSっていうインディーズ時代からの先輩とやるということ、J-ROCKのシーンのBenthamっていう若いバンドとやることは、たすき掛けじゃないけど、去年のテイストの2ndシーズンみたいなカタチでしっかり出来たかなと思っています。

◆インタビュー(2)へ
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