【ライブレポート】Hi-STANDARD、「帰ってきたよ、シェルター!」

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Hi-STANDARDが12月11日(月)、全国ツアー<Hi-STANDARD「THE GIFT TOUR」>の12本目にしてセミファイナルとなる東京・下北沢SHELTER公演を開催した。同ステージのレポートをお届けしたい。

◆Hi-STANDARD 画像

Hi-STANDARD、18年ぶりの全国ツアーの日程が発表されたのを見てニンマリした人は多いだろう。なぜなら、そこに“下北沢SHELTER”の文字が並んでいたから。SHELTERというライブハウスはハイスタにとってスタートの場所なのだ。この日、MCでも話していたのは、SHELTERの昼のオーディションになんとか受かったものの、来てくれるのは身内ばかりで、どうにか友だちにチケットを売ってしのいでいたというもの。多くの人に知られるようになる前、下積み時代から出演を重ねていたこのライブハウスに対する3人の思い入れは強い。観客にとってもそうだ。しかも、対バンにHOT SQUALLとDRADNATSという、ハイスタ直系のメロディックバンド2組がいることがうれしいじゃないか。会場には32倍というチケット争奪戦を勝ち抜けた約250人の観客が詰めかけた。




▲HOT SQUALL

18時半の開場時間から数分で場内は満員状態。開演時間前からフロアは恐ろしいほどの熱気に包まれた。何もしていないのに汗が額を流れる。ハイスタの前に登場したHOT SQUALLとDRADNATSは対象的なライブとなった。ホスコはオープニングの「YURIAH」から、思いの丈をぶちまけるかのようにメロディックチューンを一気に畳み掛ける。チフネシンゴ(G/Vo)は「18歳の頃からこの瞬間を楽しみにしてたんだよ!」と喜びを表し、アカマトシノリ(Vo/B)は涙を流している。30分という短い時間、言葉の代わりに曲に想いを詰め込み、汗と涙を撒き散らした。




▲DRADNATS

続いて登場したDRADNATSはホスコとは対照的にカラッとしたパフォーマンスを展開。「ハイスタのリハを見ながらビール飲んでた」というYAMAKEN(B/Cho)の話に笑いが起こる。もちろん、ハイスタに対する彼らなりの敬意だ。ハイスタにずっとやっと欲しい曲があったのにいつまで経ってもやってくれないから自分たちでやりますと言って始めたハイスタのカバー「Spread Your Sail」にはフロアも大暴れ。絶妙な選曲とぶっとい演奏が素晴らしかった。

2バンドともコーラスワークが巧みで、さすがハイスタ直系といったところ。彼らの活動は順風満帆だったわけではない。様々な苦労もあっただろう。だけど、活動は止めなかった。仲間のバンドが活動を止めるのを横目で見ながら、ひたすら自分たちのやるべきことを続けてきた。いい曲を作ることは大事。いいライブをすることも大事。だけど、何があってもバンドを続けるということが一番大事なのかもしれない。そうじゃなきゃ、この瞬間は絶対に味わえなかったのだから。

   ◆   ◆   ◆




2組の熱演を受けてHi-STANDARDステージに現れるのを合図に、観客が雪崩を打ってステージへ押し寄せる。難波の「帰ってきたよ、シェルター!」の挨拶のあとにプレイしたのは「Pacific Sun」。まさかのインストナンバー投下にフロアは一気に荒れる。しかし、さすがこのライブハウスの客だけあって、暴れ慣れている。「大丈夫?」とフロアの様子を気にする難波に対して「もっと来いよー!」と返している。

今ツアーでよく聞かれるのは「帰ってきました!」というMCなのだが、この日は特に多かった。それはハイスタが帰ってきたということに加えて、SHELTERに帰ってきたという思いが強いから。ここでのライブは2000年2月20日のMOGA THE ¥5との対バン以来、17年10ヶ月ぶり。あのときは会場の排水管が壊れて、フロアが水浸しになった日だった。そのとき以来だ。





ここまでの公演でハイスタが見せてきたのは、度肝を抜くような圧倒的なパフォーマンスだった。当然、「奇跡のようだ」とか、「湯みたいだ」とか、そんな感想が多かった。だけど、今日はそうじゃない。“奇跡”でも“夢”でもない、“日常”だった。今日“も”SHELTERにハイスタのライブを観に来た、そんな感覚。

そんな感覚にさせたのは、場内の熱気のせいでもあるだろう。今ツアー初披露の「Tell Me Something Happy News」や「Standing Still」「Can I Be Kind To You」といった曲を投下していくうちにフロアからは湯気が立っていた。とにかく暑くて、メンバーもしきりに観客のことを気にかけ、声をかける。しまいにはライブ中盤に、空気の入れ替えのために入り口とバックヤードの扉を開け、5分ほど休憩することになった。近隣の迷惑にならないように、ステージもフロアもみんな騒がずに大人しくしているという異常な時間が続く。ときおり、ドラムを強く叩きすぎた恒岡が横山に注意されてはいたが。

ライブ再開後はこれまた今ツアー初登場となる「Tinkerbell Hates Goatees」の心地よいボッサグルーヴでエンジンを掛け直し、「Dear My Friend」「Teenagers Are All Assholes」と『MAKING THE ROAD』の収録曲で畳み掛けた。本編最後は「Another Starting Line」「The Gift」で締め。実は活動再開後の曲の2連発で本編を終えたのはこれが初めて。ツアーが進むにつれ、オープニングの選曲で意表を突くことや、重要な流れで10年代の楽曲を持ってくることが増えた。これはツアーを経て、バンドと新曲が成長していると判断してのことだろう。同じ東京とは言え、初日と今日とじゃ全然違う。




これを成長と言うのかは分からないが、恒岡の高い積極性もツアーが進むに連れて際立ってきている。頻繁にMCに参加するようになったのはもちろん、この日のアンコールでは最初に一人でステージに現れ、一人喋りを始めたのだ。90年代にこういったことは全くなかった。

恒岡はひとしきり喋った後、今日が誕生日だという女性のために、自ら音頭を取って観客とともにハッピーバースデイを歌い、その流れで横山がメインをとる「My Girl」をその女性に向かって披露し、アンコールへ突入。

ふと気づくと、演奏中にも関わらず、入り口の扉が開いていた。人が出入りしているわけでもない。そうだ、これはSHELTERとハイスタスタッフの粋なはからいなんだ。この日、チケットを取れなかったファンがせめて会場の外に行くだけでも、という思いでSHELTER周辺に集まっていた。そんな彼らのために、スタッフが音漏れを聞かせてあげていたのだ。




アンコールラストはなんと「Making The Road Blues」。横山は「期待はずれかもしれないけど」と演奏前に言っていたけど、いやいやとんでもない! まさかの選曲に、フロアは最後の大暴れ。こうして真冬の灼熱ライブは幕を閉じた。

感傷は1ミリもなかった。ただ、強烈なライブをするパンクバンドがライブハウスをパンパンにした、それだけだった。それだけだったことがうれしかった。ハイスタのいる風景がライブハウスの日常に戻ってきたからだ。汗だくになりながらローソンで買ったビールが旨かった。

取材・文◎阿刀大志
撮影◎Teppei Kishida (Hi-STANDARD)/半田安政 Showcase (HOTSQALL / DRADNATS)


■<Hi-STANDARD「THE GIFT TOUR」>2017年12月11日(月)@東京・下北沢SHELTERセットリスト

01.Pacific Sun
02.Growing Up
03.All Generations
04.My Heart Feels So Free
05.Tell Me Something,Happy News
06.Pink Panther Theme
07.Time To Crow
08.Standing Still
09.Lonely
10.Can I Be Kind To You
11.Starry Night
12.Tinkerbell Hates Goatees
13.Dear My Friend
14.Teenagers Are All Assholes
15.Fighting Fists,Angry Soul
16.Another Starting Line
17.The Gift
encore
18.My Girl
19.Stay Gold
20.Making The Road Blues



■全国ツアー<Hi-STANDARD「THE GIFT TOUR」>

▼東京
10月26日(木) TSUTAYA O-EAST
GUEST:HAWAIIAN6
▼愛知
10月28日(土) 日本ガイシホール
GUEST:04 Limited Sazabys
▼福島
11月02日(木) 南相馬 BACK BEAT
GUEST:RADIOTS / COUNTRY YARD
▼新潟
11月04日(土) 朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター
GUEST:HEY-SMITH
▼北海道
11月18日(土) 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ
GUEST:BRAHMAN
▼北海道
11月19日(日) 札幌 KLUB COUNTER ACTION
GUEST:SLANG
▼宮城
11月23日(木祝) 宮城セキスイハイムスーパーアリーナ
GUEST:WANIMA
▼大阪
11月25日(土) 大阪城ホール
GUEST:10-FEET
▼大阪
11月26日(日) 大阪城ホール
GUEST:MAN WITH A MISSION
▼福岡
12月03日(日) マリンメッセ福岡
GUEST:SiM
▼熊本
12月05日(火) 熊本B.9 V1
GUEST:Dizzy Sunfist
▼東京
12月11日(月) 下北沢SHELTER
GUEST:HOTSQUALL / DRADNATS
▼埼玉
12月14日(木) さいたまスーパーアリーナ
GUEST:マキシマム ザ ホルモン
(問)http://thegift.pizzaofdeath.com


■フルアルバム『THE GIFT』

2017年10月4日発売
PZCA-81 ¥2,500(税抜)
01.All Generations
02.The Gift
03.Can I Be Kind To You
04.Going Crazy
05.Time To Crow
06.My Girl
07.Hello My Junior
08.Big Ol' Clock
09.We're All Grown Up
10.Punk Rock Is The Answer
11.Pacific Sun
12.I Know You Love Me
13.Bridge Over Troubled Water
14.Free
-Bonus Tracks-
15. Friend Song
16. Cabbage Surfin’
※全16曲(内ボーナス・トラック2曲)


■DVD『Live at AIR JAM 2000』

2017年10月4日発売
PZBA-11 ¥2,700(税抜)
01.STAY GOLD
02.STANDING STILL
03.SUMMER OF LOVE
04.MY FIRST KISS
05.STARRY NIGHT
06.MAKING THE ROAD BLUES
07.BRAND NEW SUNSET
08.TEENAGERS ARE ALL ASSHOLES
09.CAN’T HELP FALLING IN LOVE
10.TURNING BACK
11.MAXIMUM OVER DRIVE
12.MOSH UNDER THE RAINBOW
全12曲50min


◆<THE GIFT TOUR>2017年12月14日@さいたまスーパーアリーナレポートへ
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