【ライブレポート】Hi-STANDARD、<THE GIFT TOUR>ファイナル「今一番、楽しい。バンドっていいね」

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Hi-STANDARDが12月14日(木)、さいたまスーパーアリーナにて全国ツアー<Hi-STANDARD「THE GIFT TOUR」>のファイナル公演を開催した。同ステージのレポートをお届けしたい。

◆Hi-STANDARD 画像

できるならロックバンドのライブは、なるたけ小さい会場で見たい。アリーナ以上の会場では、エンターテインメントとして楽しめても演奏そのものの熱を感じることは難しい。自分の中にあった、そんな常識がこの夜、Hi-STANDARD(以下ハイスタ)の演奏を見ながらボロボロと崩れていった。



これまで、さいたまスーパーアリーナで国内外のロックバンドのライブを幾度も見てきたが、バンドの演奏そのものにガツンとヤラれるという意味で、冷静さを失うほど興奮を覚えたのは、この夜が初めてだった。スタンド席の最後列で見ているにもかかわらず、ハイスタの3人が目の前で──は言い過ぎだとしても、すぐそこで演奏しているような熱を、確かに感じることができたのだ。

ライブのよしあしは会場の大小に関係ないんだと改めて思った。それがハイスタのライブだったということが重要だ。アリーナ公演だからって、大掛かりなセットがあるわけでもないし、特殊効果を使ったスペクタクルな演出を交えるわけでもない。自分達の演奏にゲストミュージシャンを迎えるわけでもない。もちろん、同期の音を加えるわけでもない。3日前、200人入ればパンパンになってしまう下北沢のライブハウスSHELTERでライブした時と同じ3人だけの演奏で、アリーナの最後列まで、その熱を届けたことを、僕らはしっかり記憶しておきたい。




もちろん、バンドの演奏をベストなサウンドで届ける音響を作り上げたスタッフの尽力によるところも大きかったと思うが、音響ばかり良くても、肝心のバンドの演奏が良くなければ、決していいライブにはならない。その意味で、この夜のハイスタの演奏は、18年ぶりにリリースした4作目のアルバム『THE GIFT』をひっさげ、10月26日から全国のアリーナとライブハウスを回りながら磨き上げてきた<THE GIFT TOUR 2017>の総決算と言えるものだったと思うし、結論を早々に書いてしまうと、見事なまでの演奏の切れ味と3人が作るグルーヴは同時にハイスタの未来を予感させ、期待させるものでもあったのだ。

ハイスタが演奏する抜き身のパンクロックに約2万人の観客が熱狂した。ハイスタ世代だろうとなかろうと、そんなことは関係ない。一度でもパンクロックに夢中になった人間にとって、それは夢のような光景だった。これまでいくつも伝説を作って、ロックファンに夢を与えてきたハイスタのキャリアにまた一つ、新たな伝説が加わったわけだが、この夜の対バンであるマキシマム ザ ホルモン(以下ホルモン)はアリーナで鳴らすにふさわしい楽曲のクオリティーと卓越した演奏テクニックに加え、後々、伝説として語り継がれるエピソード(と、それを伝説に変える力業)を持っているという意味でもツアーファイナルの対バンにぴったりだった。




「こんなセリフを言う日が来るなんて。ハイスタのツアー・ファイナルへようこそ! もう、みなさん、気持ちは一緒ですよね!」──ナヲ (ドラムと女声と姉)

そのホルモンは暴れたくてウズウズしている観客の気持ちを煽りながら、1曲目の「握れっっっっっっっっ!!」」から、いきなりアリーナをモッシュさせると、
「先に言っておきます。ありがとうございます! ツアーが決まって、ファイナル(の対バンとして)俺達に声をかけてくれたことです」──ダイスケはん(キャーキャーうるさい方)
「(ハイスタの) 3人の××× (下ネタにつき自粛)でよかった♡」──ナヲ
「もうやめて!! あんなに俺達のことディスるなって(ハイスタの3人から)言われてただろ!」──ダイスケはん
「ディスってないよ。事実だもん(笑)」──ナヲ
とアリーナだからって、あるいはハイスタの前だからって変によそいきになることもなく、いつも通り軽妙なMCで笑いも取りながら、メタリックな「What’s up, people?!」「「F」」とたたみかけ、今度はアリーナをヘッドバンギングさせた。

そして、20年前、『ANGRY FIST』のツアーを見にいったダイスケはんとナヲが出待ちをして、ハイスタの恒岡章(Dr)と撮った記念写真をステージの左右にあるヴィジョンに映し出すと、ハイスタのファンだった自分達が今、ハイスタの対バンとして、さいたまスーパーアリーナのステージに立っている感動を、「20年前の自分達に勝ちました!」(ダイスケはん)と語り、パンクとメタルが入り混じりながらポップな魅力もある代表曲の数々を40分にわたって熱演した。

「ホルモンからのハイスタのみなさんへのちょっとした“THE GIFT”です」──ダイスケはん

ダイスケはんがそう前置きした「セフィーロ・レディオ・カムバック~青春最下位~」ではハイスタの「STAY GOLD」のフレーズを交える心憎いアレンジで客席を沸かせた。そして、20年前、眼鏡をくれると言ったにもかかわらず、くれなかったとダイスケはんが恒岡を散々ディスってから(これは前フリだったのだが)、ニュー・ウェーヴ風味のロックンロールナンバー「恋のスペルマ」で客席をダメ押しで盛り上げ、ハイスタにつないだ熱気は、ハイスタの登場を知らせるSEが流れたとたん、観客の手拍子と「ふぁい!ふぁい!ふぁい!」という歓声とともにさらに熱いものに。





「来たね。来ちゃったよね、ついに」──難波章浩(Vo, B)

客席にそう語りかけた難波章浩が「一言言わせて」と語った「今回のテーマである『THE GIFT』はハイスタからみんなへの贈り物じゃなくて、俺達3人が“おまえらまだ何かやれる”って何かから授かって、迎えられてるこの奇跡のことなんだ」に対して、「自分達のパンクロックを信じてきて、ホント良かったと思います」と横山健(G, Cho)が答えてから、3人が1曲目に演奏したのが、誰にだって、その人に贈られたギフトがあると歌う「The Gift」。ズタズタズタズタと突っ走る恒岡のドラムが演奏を一気に加速させる。パンクが好きなら燃えないわけがない。そこからたたみかけるうように「Growing Up」につなげると、難波の歌に横山がハーモニーを重ね、難波がジャンプをキメる。この夜、ここに集まった約2万人がこの瞬間を待ち焦がれていたに違いない。ふと目をステージからブロック分けされたアリーナにやれば、早くもブロックごとにモッシュ、そしてクラウドサーフィンが始まっていた。

アリーナに“E.YAZAWA”のロゴが入ったタオルを見つけた横山が矢沢永吉の「アイ・ラヴ・ユー,OK」のさわりを歌ってから、「さいたま揺らすぞ!」と演奏した「Summer Of Love」ではアリーナのみならず、スタンド席の観客もジャンプ、ジャンプ、ジャンプ。序盤にして、客席の盛り上がりは最高潮に達しているように見えたが、何と言っても今夜はツアーファイナルだ。




「セキュリティのみなさんがいるから、思いっきり来いよ。(アリーナはブロック分けされているけど)ブロックごとにグルーヴを出していけよな」「来られない人がたくさんいるんだからね。その人達の分も楽しんでいけよ」と、難波と横山はまだまだそんなもんじゃないだろと言わんばかりに客席を焚きつけながら、新旧の曲を織り交ぜ、演奏していった。その中で、思い出に残る名場面/珍場面の数々が生まれた。

たとえば、「思い出した。4年前にやりたかったことがある」と恒岡が不意に言いだして、サッカー日本代表の応援歌「VAMOS! NIPPON」を、観客全員で歌ったくだりでは、「恒ちゃん、聞いてなかったよ」と横山が苦笑いしながら、「なんで、その時にやらなかったの?」と恒岡に突っ込んだ。「Starry Night」ではほぼ全員の観客がスマホのライトを点け、星空を作りながらシンガロングした。「The Sound Of Secret Minds」は「歌わせてくれって頼んだんだ」と横山が歌い、それに対して、難波が今回のツアーで自分がヘボっているとき、横山が支えてくれたことに感謝の気持ちを表して、「ハイスタやっていて、今一番、楽しい。バンドっていいね」と言った。そして、終盤、今回のツアーで対バンを務めてくれたバンド達に「でっけえバンドばかりで大変だった。先輩面してたらヤラられちゃう。自分達も気合が入った」とメンバー達が感謝を語ると、ホルモンのダイスケはんがステージに乱入(?)。恒岡から20年前にもらうと約束したメガネの代わりにドラムスティックを半ば無理やりゲットして、客席から拍手喝采が起こった。





しかし、この夜の名場面と言えば、何と言っても、「ハイスタまだ生きてます。これからも生き続けるからね。誰かが死ぬまでたたまねえぞ」「ハイスタでいることを、みなさんが思っている以上に楽しんだ。また曲を作りたいね。ライブもいっぱりやりたい。やりたいこといっぱいあるよ」とメンバー達が活動のペースは遅くなるかもしれないけれど、と断ったうえで、何度も口々にハイスタの未来を語ったことだろう。今回のツアーが今夜、終わってしまうことがよっぽど寂しかったのか、それらの言葉は終わりに近づけば近づくほど多くなっていったが、そんな言葉の数々は全国を回ってきたからこそ出てきたものだったはず。難波は「バンドっていいよね」と言ったが、ホント、その通りだと思う。

そして、「Stay Gold」、観客に歌わせた冒頭のシンガロングを、「下北(沢SHELTER)のほうがパンチがあった」と横山がやり直しさせた「Free」、それから「Maximum Overdrive」「Brand New Sunset」とラストスパートをかけるようにたたみかけたが、ライブはもちろん、まだまだ終わらない。




「まだまだハイスタ行くぞ。また始めよう!」──難波章浩

と「Another Starting Line」で始まったアンコールは、「Teenagers Are All Assholes」「Happy Xmas (War Is Over)」「Can't Help Falling In Love」とパンクロックの醍醐味が凝縮されたお馴染みの曲を次々に披露。それから、「やっぱもう一発だね」(難波) ととどめを刺すように演奏したのが、オールディーズ調の「Mosh Under The Rainbow」。客電が点き、眩いライトが会場全体を照らす中、肩を組んで、ピースフルな曲に合わせ、踊る観客達の大きな輪がアリーナにいくつも出現した。スタンド席でもそこら中で観客が笑顔で飛び跳ねている。今回、ハイスタが僕らに見せてくれたものは、いろいろあったと思うが、この時、目の前に広がっていた歓喜に満ち溢れたこの光景こそ、それを象徴するものだったのだと思う。こんな景色、今まで見たこともない。




演奏が終わっても名残惜しそうにステージをなかなか降りない3人を見ながら、ひょっとしたらと思ったが、すでに時計は10時20分を回っているし、観客もすでに帰り始めている。いくらなんでも、もうないだろうと思いきや、半数以上の観客が会場を離れてしまったにもかかわらず、まさかのダブルアンコールが! 心底、楽しかったツアーが終わってしまうことを惜しむように、そして、次の活動につなげるように「My Heart Feels So Free」と「Turning Back」を演奏して、3人は伝説として語り継がれる違いないこの夜を完璧なものにしたのだった。

取材・文◎山口智男
撮影◎Teppei Kishida/半田安政 (Showcase)/Takashi“TAKA”Konuma/Yuji Honda──Hi-STANDARD
撮影◎浜野カズシ──マキシマム ザ ホルモン


■<Hi-STANDARD「THE GIFT TOUR」>2017年12月14日(木)@埼玉・さいたまスーパーアリーナSETLIST

【マキシマム ザ ホルモン】
01.握れっっっっっっっっ!!
02.What's up, people?!
03.「F」
04.ロック番狂わせ
05.ロッキンポ殺し
06.パトカー燃やす〜卒業〜
07.セフィーロ・レディオ・カムバック〜青春最下位〜
08.恋のスペルマ
【Hi-STANDARD】
01.The Gift
02.Growing Up
03.All Generations
04.Summer Of Love
05.I Know You Love Me
06.Dear My Friend
07.Hello My Junior
08.Glory
09.Close To Me
10.Pink Panther Theme
11.Nothing
12.Going Crazy
13.We’re All Grown Up
14.Pacific Sun
15.California Dreamin'
16.Fighting Fists,Angry Soul
17.Starry Night
18.The Sound Of Secret Minds
19.Stop The Time
20.Stay Gold
21.Free
22.Maximum Overdrive
23.Brand New Sunset
encore1
24.Another Starting Line
25.Teenagers Are All Assholes
26.Happy Xmas (War Is Over)
27.Can't Help Falling In Love
28.Mosh Under The Rainbow
encore2
29.My Heart Feels So Free
30.Turning Back



■フルアルバム『THE GIFT』

2017年10月4日発売
PZCA-81 ¥2,500(税抜)
01.All Generations
02.The Gift
03.Can I Be Kind To You
04.Going Crazy
05.Time To Crow
06.My Girl
07.Hello My Junior
08.Big Ol' Clock
09.We're All Grown Up
10.Punk Rock Is The Answer
11.Pacific Sun
12.I Know You Love Me
13.Bridge Over Troubled Water
14.Free
-Bonus Tracks-
15. Friend Song
16. Cabbage Surfin’
※全16曲(内ボーナス・トラック2曲)



■DVD『Live at AIR JAM 2000』

2017年10月4日発売
PZBA-11 ¥2,700(税抜)
01.STAY GOLD
02.STANDING STILL
03.SUMMER OF LOVE
04.MY FIRST KISS
05.STARRY NIGHT
06.MAKING THE ROAD BLUES
07.BRAND NEW SUNSET
08.TEENAGERS ARE ALL ASSHOLES
09.CAN’T HELP FALLING IN LOVE
10.TURNING BACK
11.MAXIMUM OVER DRIVE
12.MOSH UNDER THE RAINBOW
全12曲50min


◆<THE GIFT TOUR>2017年12月11日@下北沢SHELTERレポートへ
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