【インタビュー<後編>】清春、『エレジー』完成「孤独っていうのは強いっていうこと」

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■一人で作品を作る場合は
■やっぱり我が道を行きたい

──面白いですね。清春さんがますます孤高の存在になっていくように思います。

清春:でも、僕が田舎にいた若い頃、音楽雑誌を見てたら、必ず誰かがおかしなことをやってたんですよ。カウンターみたいなものを、カウンターと意識しないままに、好きにやった人がいたからこそ、僕らみたいな人がミュージシャンになれたっていうのもあったり。みんなサヴァイヴしていくなかで、そういうことを忘れがち。まあ、本職というか、ホントにやるべき役割をやってるっていうところも、ちょっと逆行してるのかなって思いますね。

──素晴らしいことですよね。

清春:僕ぐらいの年になると、“子供もまだハタチ前だし、あと何年フルで頑張れるんだ?”みたいなところもあったりとかして。なんとなく、豊かな生活もしたいなと思ったりもするので、少しでも稼げるっていうほうを作品のなかで狙いがちなんですよね。でも、そうじゃなくて、“これは作品だから”っていう。“これをやりたかったんでしょ? だって昔、これに憧れたんでしょ?”っていうところを結構ピュアにやるっていうのが、なかなか難しい。よくTRIADは移籍第1弾としてこれを出すな、と思いますね(笑)。

──インパクトは大きいですね(笑)。

清春:わかんなくてもいいから、「これわかる!?」って周りに訊くような人が出てきてほしいんですよ。今はわかんなくてもいいけど、「これはなんかすごい気がする!」っていう。

──確かに。もしかしたら、若いとなかなかわからないところもあるかも。

清春:うーん。まあ、洋楽にいかに近いかとか、そういうことでしかないじゃないですか、すごいと思わせるのって。“海外ツアーしました”とか、“この人と一緒にやってます”とか、僕、そういうのは前からほんとどうでもよくて。sadsとかバンドで海外でライヴやりたいなとか、そういうのはなんとなくうっすらあったりはしたけど。有名な芸術家は後から評価されていくんだけど、別に誰かとコラボして上がっていくわけでもないし。その人の作品自体がすごいわけだから。それをシンプルに、真摯に、どれだけやれるかっていう意味で、僕はやろうとはしてる。その理屈が合ってるなって思いますけどね。わかんない人はいっぱいいると思うんですよ。『エレジー』を自分で聴いても、“ああ、イカンなあ”と思ったりする(笑)。

──ははは(笑)。

清春:なかなか驚かれますね。「少年」や「忘却の空」っていう昔のヒット曲を知ってる人がもしこれを聴いたら、“え!?”ってなるもん、多分。そうならなきゃおかしいんだと思うんですよね。15年も20年も前のイメージと同じことやってるっていうのも。僕も生きて何かを作ってるわけなんで。再結成でやるのはいいと思うんですけど、一人で作品を作る場合は、やっぱり我が道を行きたい。

──清春さんは、たとえばどういうシチュエーションでこの『エレジー』を聴いてほしいですか? “この状況に似合うんじゃないかな?”っていうのはあります?

清春:いや、似合うものはないんですよ。<エレジー>という舞台というか、ステージでの世界観をアルバムにして提示するというか、残してるってだけ。昔はあったんですよ。“この曲は彼氏にフラれた時に聴いてください”とか、“ドライブの時”とか“本を読んでる時”とか、そういうのってあるじゃないですか、だけど、今回のはなくて。これはもうホント、試しに自分の店(BABYLON TOKYO)とか人の店で流してもらったりしたんだけど、やっぱり暗くなっちゃうんですよね(笑)。

──ははは! でも、それってすごいことですよね。“こっちの世界にあなたが来なさい”ってことですからね。

清春:まあ、そうですね。だから、ホント、一人ぼっちで暗闇のなかで聴いてほしいですね。ヘッドホンでもなんでもいいけど。部屋のなかで、電気を暗くして聴いてほしいです。

──それが正解かもしれないです。

清春:それしかないんだと思いますね、もはや。

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