【インタビュー】フルカワユタカ、3rdアルバム完成「“わかられてたまるか”と思ってましたから、その真逆です」

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■TGMXさんとの13年ぶりの1曲目が
■いじらず残ったというのは今回を象徴している

──一聴して思うのは、きっとTGMXさんの手法がそうなんでしょうけど、プロデュースされる人の陽の部分というかポップな部分がちゃんと照らされているんですよね。それが形としてすごく出ている作品で。だからこそ、ドーパン初期の音源とも感触が近いと思うし。シングル「days goes by」ミュージックビデオが公開されたオフィシャルYouTubeチャンネルのコメント欄を見ると、“帰ってきた!”というのもあって。ファンはそう思うんだろうなっていう。

フルカワ:コード進行自体は明るくないんだけど、楽曲の根底が明るいんです。最初のデモを送った段階でTGMXさんにメールしたんですよ、「もうTGMXさんをプロデューサーに迎えた意味があるんです」って。TGMXさんからは当然、「俺はまだ何もしてないよ」って返事がくるわけですけど、「いや、僕の作る曲が明るいんです」って(笑)。まずTGMXさんに聴かせようと思ってデモを作るじゃないですか。TGMXさんの嫌いな感じも知ってるし、TGMXさんにいいって言われたいから、「いい影響がもうすでに出てます」っていう(笑)。

──ははは(笑)。いい制作ですね、モチベーションがちゃんとある。どのあたりの曲を最初に作ったんですか?

フルカワ:今回、すべて書き下ろしたんですけど、一番最初は「バスストップ」ですね。

──それは意外でした。アルバムのなかでも、最もシンプルなアコースティックチューンですね。

フルカワ:ほかの曲は全部、デモにドラムを打ち込んだんですけど、これはアコギと歌だけだったんです。決意表明というか、「これがアルバムを表す曲かわからないけど、すごくいい曲があるんです」ってTGMXさんに送って。TGMXさんも「すげえいい曲」って言ったまま、ドラムもベースもつかず完成に至ったという。構成とかは多少TGMXさんと決めましたけど、一番手を加えられてない曲。むしろ最初に関わる曲はもっと手心を加えて、“13年ぶりのプロデュース曲がこれだ”っていう話のほうがドラマになるんだろうけど(笑)。TGMXさんは、いいと思っているといじらないんですよ。TGMXさんとの13年ぶりの1曲目が、ほとんどいじらずに残ったというのは、今回を象徴していると思います。

──それと、今作では様々なゲストボーカルを迎えていることも話題ですよね。「バスストップ」にはthe band apartの荒井岳史さんが参加していますが、一緒にやるのはどの段階で決めたんですか。

フルカワ:コーラスをいろんな人に頼もうというのは、レコーディングの最後のほうでしたね。TGMXさんの持論に、“いろんな人の声が入ったほうが、音に奥行きが出る”というのがあって。これはドーパン初期もそうで、知り合いの女の子に歌ってもらったり、とにかくいろんな声が入っているんです。人選は僕とTGMXさんですけど、誰にどの曲のコーラスをやってもらうかを決めたのは僕ですね。

──荒井さんとは弾き語りライブも一緒にやっているから、よりしっくりハマりますね。

フルカワ:そこは大きかったですね。僕自身も荒井自身もソロでアコースティックをやっているから、お互いの空気感が上手く混ざり合ったと思います。

──夜の本気ダンスの米田さんをゲストボーカルに迎えた「nothin’ without you」も、かなり面白いですよね。この曲を一緒にやるか?っていうか、まずこの曲はなんなんだ?っていうくらい曲調も展開も独創的。

フルカワ:TGMX節ですね。この曲って、2番というか途中から8ビートになりますよね。最初のデモはその構成だけで組み立ててたんです。そうしたら、「ソウルをやりたいなら、もっとテンポを落としてハネさせて。スティーヴィー・ワンダーっぽい感じを試してみよう」って言ったかと思えば、「でもこの8ビートもいいな」って足しちゃうんですよ。僕もやっていくうちにどんどん面白くなって、「この後どうします?また元に戻ります?」って聞いたら、TGMXさんがいきなりベースを弾きはじめて、「ファンカデリックとかでこういうのあるじゃん?」って言うから、「こういうのですか?」って応戦したら、「それそれ!それつけちゃおう」って、出来た曲ですね(笑)。SCAFULL KINGもFRONTIER BACKYARDもそうだけど、TGMXさんってプログレなんだけど、曲としてまとまったときにすげえポップに聴こえるんですよ。

──確かにそうですね。

フルカワ:奇をてらってないんです。よくあるプログレって、ノリを寸止めさせる感じもあるけど、TGMX節はそうじゃないんですよね。頭の中で楽しみながら走って、組み立てるから。

──実験的だけど心地よく聞こえる曲ですよね。

フルカワ:他の曲もそうですよ。作ってるときは、“Aメロの歌い出しで、変なイントロがついたな”とかも思うんですよ。でもそれを繰り返してやっていくと、台無しどころか、“なるほど”と思うし、それがないと曲が成立しなくなる。結果、がっつりAメロがなくなった曲もありますからね。

──その曲って?

フルカワ:「no boy no cry」は今イントロになっているところが、Aメロだったんです。けどTGMXさんは「このコード進行に歌を乗せるのイヤだな」って。全然先に進まなくて、変な空気になったんです(笑)。そのとき、「じゃあAメロは外します」ってぶっきらぼうに言ったんですけど、メロディーを外したらそれが曲にハマって。そういう魔法みたいなことがずっとありました。

──2人のコンビネーションも13年の時をすぐに超えたわけですね。

フルカワ:最初、誤差はありましたけど、少しやると昔の感じに戻るんですね。やっぱり、音楽表現の言葉が一緒なんですよ。たとえば、激しい曲といえばそのイメージが一緒だったり、テンポの早さとか擬音のとらえ方とか。その感覚が戻ったときは気持ちよかったですね。

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