【先輩後輩対談】フルカワユタカ × 米田貴紀(夜の本気ダンス)、「“選ばれた”という気持ちで」

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■同じ言語で通じ合っている人達
■という雰囲気──米田貴紀

──確かに後輩と積極的に絡んでるイメージは、フルカワさんにはあまりないですね。

フルカワ:怖いように見えるかもしれないですけど、後輩に対してグイグイいくようなパンクな縦社会で育っているから、殻を作っているだけなんです。たぶん、ドーパンのリスナーだった人たちって米田くんくらいの年齢からだと思うんですね。逆に僕は、そういう人たちと会って恐縮されると、どうしていいのか分からない。それが普通なんでしょうけど、僕にはそういうのがないし、ずっと一緒にいるような直の後輩とかは、僕のことを若干なめていたりするから(笑)。だから、鈴鹿くんくらい何にも考えてないほうが……(笑)。

米田:ははは(笑)!

フルカワ:今日も早めにライブ会場 (<夜の本気ダンス ZENKOKU O-BAN-DOSS TOUR>2017.12.21@京都MUSE)に着いたんですが、「おはようございます!!」って、マスクして誰かわからないスタイルの鈴鹿くんにいきなり声かけられましたから。彼には壁が一切ない。本当に俺、尊敬されてないなって(笑)。彼はたぶん、峯田くん(銀杏BOYZ)がいればいいんでしょ(笑)。

米田:彼の中でルーツとしては別格ですね(笑)。

フルカワ:でもね、それはすごいよ。銀杏とか峯田くんが好きっていうことが夜ダンにエッセンスとして一味加えていると思うから。もしドーパン好きなドラマーだったら、そこは少し違ったと思う。他のバンドと比較するものではないけれど、その乱暴さが夜ダンの爆薬とか火薬になっているのかなと。パンクさが出ているよね、彼のおかげで。

米田:そうですね。それは結構いろんな方からも言われます。フルカワさんという僕のルーツと、ほかのメンバーのルーツが上手く混ざり合っているので。

フルカワ:米田くんが脳みそで、鈴鹿くんが胴体じゃん。逆じゃなくてよかった。まぁでも、鈴鹿くんが僕に影響を受けてたらそれはそれで面白いか(笑)。

米田:いや、逆はちょっとヤバそうです(笑)。自分でも逆じゃなくてよかったと思いますから(笑)。

フルカワ:あんまり言うと悪口みたいになるね(笑)。でも夜の本気ダンスは、いいバンドだよ本当に。

──では改めて「nothin' without you」の話を。米田さんにコーラス参加してもらおうというアイディアはフルカワさん発信ですか?

フルカワ:「ゲストボーカルをたくさん入れたほうがいい」という考えはプロデューサーのTGMXさんにありましたけど、米田くんとは面識がないので、僕ですね。いわゆる僕が育ってきたパンク界隈だけじゃなく、「後輩で」という話であれば絶対に米田くんに参加してほしいと思ってましたから。まあ、後輩の知り合いが少ないってのもあるけど(笑)、そこは彼の音楽を認めていないことには始まらない。SHELTERでライブやって音源聴いてという流れの中で、僕には確証があったんです。コーラスをいろいろな人に頼もうという前から、米田くんとは何かやりたいという気持ちがあったし、実際にこれまでも声をかけてますね、確か。

──いいタイミングだったんですね。

フルカワ:そうです。でもこれはただの先輩風ですよ、誘ったら断れないじゃないですか。

米田:いやいやいや、喜んで! 夢のような話ですよ。

──米田さんは、「nothin’ without you」にコーラス参加してほしいというオファーを受けた時、率直にどう思われました?

米田:最初にお話をいただいた時は、いちリスナーとしての純粋なワクワク感……フルカワさんの新しい曲を聴けるんだという気持ちもありつつでしたが、この楽曲は途中で結構展開もあるので、“任せてもらったけど大丈夫かな?”ということも思いました。

──確かに楽曲構成が複雑ですよね。

フルカワ:ですね。僕のソロにはああいう展開はあんまりないですが、僕とTGMXさんが一緒にやるとああなってしまう、という節回しの癖ですね。ドーパンのインディーズ時代は構成も複雑でプログレッシヴなところがたくさんあったんです。メジャー1枚目ぐらいまではその残り香もありつつ、だんだんループものが多くなりストレートになっていったという。

米田:そしてデモの段階ですでにクオリティーが……。

フルカワ:ああ! あれはほとんど本チャンだったからさ。

米田:本当にスタジオでパッと録ったようなデモを渡す方もいらっしゃるし、人によってさまざまですけど、フルカワさんのデモのクオリティの高さにもびっくりしたんですよ。

──実際のレコーディング現場はどんな感じでしたか?

フルカワ:僕のメインボーカルは録り終わっていたので、「せーの」で歌っているわけではなくてね。さっき米田くんが話したのは、最後のフェイクの掛け合いみたいなところのことなんですけど、TGMXさんから「そこは米田くんに合わせる形で、フルカワが追っかけたほうがいい」とアドバイスを受けて。でも一緒に歌ったらもっと面白かったかもしれないね。

──米田さんはフルカワさんに見られてのレコーディングってどういう気持ちでしたか?

米田:そこを意識しすぎたら本当に歌えなくなるので(笑)、歌に集中しました。現場の空気も本当に歌いやすくしていただけて。だけど、TGMXさんもいらっしゃいましたし、自分が一番後輩ですからやっぱり……。

フルカワ:スタジオのヒエラルキーがおかしいんです。これだけ米田くんがリスペクトして来てくれたんだけど、インディーズ時代からお世話になってるTGMXさんとエンジニアの及川さんは僕よりも年上だから、順位が分からなくなりますよね。「フルカワの何が好きなの? 本当に尊敬してるの?」みたいなことを及川さんが米田くんに聞くんですよ。「いやいや、してますよ」みたいな(笑)。本当に楽しかったですよ。米田くんはスタジオにおたべを持ってきてくれて。

米田:夜ダンは京都のバンドなので、京都と言えばおたべかなとお土産に持っていきました(笑)。

──現場の雰囲気的には緊張感も和気あいあい感もありつつ?

フルカワ:米田くんは分からないですけど、僕は和気あいあいでしたね。

米田:ここで録られていたんだなーという感じがすごくしたというか。“同じ言語で通じ合っている人達がいる”という雰囲気を感じました。

フルカワ:ドーパンの『PINK PaNK』『WE IN MUSIC』、オムニバス盤『Dive into Disney』の収録曲「GO THE DISTANCE」は今回のスタジオで録ったのね。メジャーに行ってからはあのスタジオじゃないけど、インディーズ時代はあそこであの人たちと録ってたから。

──フルカワさんのホームですね。

フルカワ:ただ、実は僕も13年ぶりに使ったんですよ。メジャーに行った時は青葉台スタジオでプロデューサーを立てずにやりましたし、最後のほうは自分でスタジオを作って、自分でエンジニアも含めて全てやっていた。ソロになっても普通のスタジオを使っていましたしね。今回、TGMXさんのプロデュースが決まって、じゃあエンジニアはどうしますか?という流れから及川さんが担当してくれて。トリオで13年ぶりのレコーディングをしたんです。

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