【インタビュー】DaizyStripper「壁だと思っていたところが実はドアで“こっちにも進めたんだ”と思った」

■パレードはデイジーの活動そのものですけど終わりはないんです
■このサイズに収めてますけどまだ終わったわけではない

──あらためて「4GET ME NOT」の魅力を各自の観点で伝えていただけたら嬉しいです。

なお：俺は「この曲、どんな曲？」って聞かれて一言で言えないところがすごく好きです。切ないけど、それだけじゃなく、いろんな感情が入っているから中学生のコが「カッケー」と思ってくれたとしたら、そのコが20才とか30才になって聴いても「やっぱり良いな」と思ってくれるような曲だと思うし、人生を重ねたら歌詞の捉え方もいい意味で変わっていくというか「こういうこと歌ってたんだ」って楽しんでもらえるんじゃないかなって。

まゆ：曲自体はすごくシンプルなんですけど、静かな中に熱さが秘められている。その熱量が魅力だと思います。

夕霧：冷静と情熱の間を感じてほしいですね。Aメロでは過去を思って涙がポロッと落ちる感じなんだけど、サビでは感情が爆発する。木々が湖水に映っているような森の中の静かな湖が荒波になるようなイメージですね。

Rei：あくまでも僕の観点ですけど、人間の香りが感じられる曲だと思います。機械できっちりエディットするのではなく、歌にも鼓動が感じられて、温かさがある。ベースもグルーヴをいちばん重要視して弾きました。

風弥：メンバーがこんなに曲の魅力を語ってくれて嬉しいです。実はこの曲、コードが5つしかないんですよ。実質は4つのコードで構成されていて、すごくシンプルなのにそうは聴こえない。そこが魅力だと思います。




──夕霧さんの歌も色気があって刺さってくるし。

風弥：そうですね。後ろで叩いていても日々パワーアップしていて声にも艶が出ていて。もともと360度表現できるのに、そこを超えてきている感じの歌に僕たちもゾクゾクしたし。

夕霧：Kenさんと一緒にレコーディングさせていただいて、ヴォーカリストとして一皮剥けたなってハッキリわかったんです。

──開けた瞬間があったんですね。

夕霧：そうですね。壁だと思っていたところが実はドアだったみたいな。「こっちにも進めたんだ」と思いました。ぜひ、歌を聴いてほしいですね。

──そしてカップリングの「ラビットファンタジーパレード」はミュージカル調の曲で、これも振り切れていますね。

風弥：デモの段階では通常のバンドスタイルの曲だったんですけど、Kenさんの「この曲、パレードみたいだね」っていう一言で可能性が見えてきてオーケストラアレンジに変えたんです。今までやってこなかったことも含めて作曲を始めた頃からのノウハウを全部注ぎ込んだ曲ですね。6分以上ありますけど、もっといろんな場面転換ができるし、油断したら終わらなくなる曲（笑）。

──パレードは終わらないわけですね。

風弥：そうです。デイジーの活動そのものですけど、終わりはないんですよ。このサイズに収めてますけど、まだ終わったわけではない。


──（笑）そうなんですね。制作中のエピソードも楽しそうな。

風弥：途中でちょっと愉快なセクションが出てきて、うさぎの声とか、かわいい声が入ってるんですけど、その部分はみんなで「ここにこんな声が入ったら面白いよね」「じゃあ、ここのメロディをちょっと間抜けな感じにしてみようか」ってスタジオでKenさんと爆笑しながら組み立てていきました。いろんな楽器が入ってるんですけど、「これはないでしょ？」って笑っていたのを入れてみたりとか。僕はドラムのほかにマーチングパーカッション叩いたり。

なお：スネアだけのヤツ？

風弥：そう。大太鼓や合わせシンバルとかひとり何役もやっています。

Rei：俺はその様子をムービーに撮っていたんですけど、「今ので何人目の風弥？」って感じでしたね（笑）。

風弥：あとティンパニーは僕の親戚の叔父に叩いてもらったり。

──生の楽器以外にどれぐらいの数の楽器の音が入っているんですか？

風弥：バイオリン、チェロ、トランペット、ホルン、ピッコロフルートとか。これをただ打ち込むとコンピュータミュージックになってしまうので、そうしないために手で弾いて重ねて一つ一つの音の強弱や繋ぎ方を調整して生っぽくしたんですけど、べらぼうに時間がかかりました。Daizyのストリングスはいつも手弾きなんですよ。オーケストラが50人なら50回弾いて作っています。

なお：ありがとうございます（笑）。

──Kenさんにも「ここまでやる？」って驚かれたのでは？

風弥：初めて聴いた時は爆笑されました（笑）。「スゴイ」って言われるのも嬉しいんですけど、「何やってんだよ？」ぐらいな感じで笑ってほしかったので、いちばん欲しいリアクションでした。

──歌詞はDaizyStripperのことについて歌っているんですよね。

夕霧：はい。デイジーはライブのことをパレードと言っているので、そのことについて書こうって。「4GET ME NOT」はKenさんと5回ぐらいやりとりしながら書いていったんですけど、こっちはすぐに「この感じで行こうか」って。歌はかなりカラフルにいろんな声色で歌っています。

なお：いろんな歌い方してるから、一人が歌ってるって思わない人もいるかもね。個人的に楽しみなのは、この曲をファンがカラオケで歌ってくれた時にモノマネするんだろうなって（笑）。


──確かに。あとアニメーションが浮かぶような曲です。

夕霧：俺の中に浮かんでいたのは『まんが日本昔ばなし』のエンディングテーマだったんです。“くまの子　見ていた　かくれんぼ”みたいな。この曲に出てくるラビットは俺たちのことなんですけど、テクテク山を登って歩いていくたびに仲間が増えて、時には敵が襲いかかってくるけど、それをかわして進んでいく、みたいなイメージがあったんです。あと“霧がかかり　辺りは夕暮れ”って歌っているセクションにはメンバー五人の名前が詞の中に隠されています。全員、見つけられるか。これは夕霧からの挑戦状です。

──ははは。この曲には、これからもDaizyStripperのパレードは続いていくよっていうメッセージが込められているんですか？

夕霧：そうですね。改めてみんなに感謝の気持ちを伝えたかったし、僕らはこれからも足を止めずに歩いていくよっていう歌なので、ついていきたいと思う人はついてきたらもっと楽しいよっていう。

──では最後に始まったばかりの全国ツアー「4GET ME NOT パレート?」についてメッセージをお願いします。

風弥：今回、“あなたの忘れられない1曲”というコーナーがあって、みんなからリクエストを受け付けて演奏するんです。初の試みなんですが、滅多に聴けない曲が聴ける確率も高いので、デイジーのどの曲が聴きたいか考えて来てほしいし、そういう意味でも1日、1日忘れられないライブにしたいですね。

Rei：素敵なシングルが出来たし、ツアーには夕霧の出身地（福島）も含まれているので盛り上げていきたいなと。各地でインスタ映えする景色が保存されていくと思うので、それも楽しみですね。

まゆ：CDで聴く音楽とはまた違う熱さがあるのがライブだと思うので「4GET ME　NOT」を生で味わってもらえたら。

夕霧：時代的にもネットで簡単に見れちゃうけど、だからこそね。

なお：ライブで見た感情はダウンロードできないもんね。

まゆ：そう！

なお：中学生まで何の趣味もなかった僕がL'Arc-en-Cielさんに出会って音楽の素晴らしさを教えてもらって、人生が変わって、今回、そのKenさんにプロデュースしていただいて、人生をまた良い方向に変えてもらえたので、今度は僕が今まで以上にライブに来てくれてCDを聴いてくれたファンの人生を変えます！

夕霧：まずは「4GET ME NOT」をライブハウスにぜひ聴きに来てほしいという気持ちがいちばん強いですね。それと今回はシングルを引っさげてのツアーで縛りが少ないので、DaizyStripperのライブベストのようなセットリストで挑もうと思ってます。初めて見る人も気軽に楽しめる内容だと思うので、ぜひ遊びに来てほしいですね。

取材・文●山本弘子


◆インタビュー（１）へ戻る

>関連画像＆映像

◆DaizyStripper 画像＆映像