【インタビュー】Yoshitsugu[Eins:Vier]、「楽しめてる。形に出来たことで決着がついた」

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■こういうバンドでありたいという思考と
■Eins:Vierを一緒にしようとしがちだった

──セルフカバーする前に、オリジナル曲を聴き直してみたりもしましたか?

Yoshitsugu:聴きましたよ。今回は音源を作るっていう意味では2011年の再結成のときよりも、当時のEins:Vierとちゃんと向き合いましたね。

──いろいろ思いましたよね? “懐かしいな”とか“こんなふうに弾いてたっけ!?”とか。

Yoshitsugu:っていうよりは、“青いな、自分”って(笑)。そこはわりと否定的な解釈のほうが多くて(笑)。でも、しっかりと聴いて当時と対峙しました。“今の僕だったらこうするやろうな”というところで考えて。ただ、意図的にどうこうっていうのではなく、自然に、シンプルに。

──たとえば「Dear Song」はギターソロでワウを取り入れたり、大胆にアレンジした曲もありますね。

Yoshitsugu:そうですね、昔のソロは聴けたものではないですからね(苦笑)。「Dear Song」に限らず、全体的にエモーショナルな感じをギターで出したいなっていうのがあって。昔は綺麗に形作る感じだったと思うんですけど。これが20年を経た私かなと(笑)。

──中でも「In your dream」は一番ギターサウンドが変わった印象がありました。

Yoshitsugu:そうだと思います。オリジナルとは随分違いますよね。レコーディングしつつアレンジしていったら結果こうなっちゃったという感じなんです。自分が思う1980年代のニューウェイヴ感をもうちょっと出したいなっていうのがあったんですよね。

──当時もそうしたいと思っていたんですか?

Yoshitsugu:そういう音楽も当時から好きではあったんですけど、今聴くとあまりそういう感じになってないなと思って(笑)。あと、時間をかけて録ったのは「メロディー」と「碧い涙」ですね。印象はあまり変わってないと思うんですけどね。「In a void space」(ライブ会場・通販限定豪華盤のみ収録)も結構考えながらレコーディングしました。今回は4人の音だけで、シンセや打ち込みとかはまったく入れないっていう主旨があったので、色づけ楽器はギターしかなかったから。そういう部分で「Nursery tale」のフレーズはわりと昔の感じのままで、音色がちょっと違うぐらいにしたんです。

──LunaさんやHirofumiさんに対して“成長したな、変わったな”と思う部分と、逆に“らしいな”と思う部分はどんなところですか?

Yoshitsugu:変わったという部分ではみんな線が太くなったなと感じますね。大人になったんでしょう……大人というかおっさんに(笑)。変わってないとこもありますよ。やっぱり2人とも唯一無二というか、誰にもできないことをやってるなと思います。個性が強いというか、アクが強い。特にヒロちゃんは(笑)。


──完成した『Self Cover Best 2018 Searching Red Light』を改めて聴いて思うところもありますか?

Yoshitsugu:僕の中では決着ついた感がすごくあって。こういう機会があってよかったと思ってます。

──それは2011年の再結成のときに“もっとこうしておけばよかった”と感じているところがあったということでもあります?

Yoshitsugu:というより、再結成のときは12年ぐらいブランクがあっての始動だったじゃないですか。その間に自分の思考もちょっと変わっていて。バンドに対する向き合い方とか、“こういうバンドでありたい”とか。それとEins:Vierを一緒にしようとしがちだったっていうかね。そうなるとおかしなことになってくるんですよね。

──なるほど。

Yoshitsugu:だから正直、どこかで楽しめなかったところがあって。もうEins:Vierをやることはないやろうなって思ってたんですよ、そのときは。それから4年ぐらい経って考え方も変わってきて。“これからずっとEins:Vierをやりたい”というより、さっき言ったように、メモリアル的な意味でやるのはいいんじゃないかなと思って。それで今回の再始動にあたっては、“Eins:Vierはこうだ”というものがあった上で、今の自分がどう関わるかっていうところで向かっていったんですよ。

──自分の理想像を今のEins:Vierに当てはめるのではなく?

Yoshitsugu:そうです。ブランクの中で僕自身の“バンドの理想像”というものができ上がってきて。だから別の新しいバンドを作ってたりするわけで。でも、Eins:Vierってもう出来上がってるものだから、そこに自分の理想を当てはめるのは違う。再結成のときにやってみて、そう思ったんですね。それを踏まえての今回なんです。

──“できあがってる”というのは音楽性はもちろん、人間関係も含めて?

Yoshitsugu:そう、すべてですね。Eins:Vier解散前は、特に意識していたわけではないんですけど、長年の蓄積で作り上げたものってあるんですよ。そこはブランクがあったとしても、変わらないものは変わらない。

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