【ライブレポート】福山雅治、“圧倒的ドーム感”で4万5千人を魅了「まだまだ今年は終わらない」

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5月27日(日)、福山雅治が<FUKUYAMA MASAHARU DOME LIVE 2018 -暗闇の中で飛べ->の最終公演を、東京ドームで開催した。

◆福山雅治 ライブ画像

昨年末に行なわれた<福山☆冬の大感謝祭 其の十七>、今年1月から約3年振りに全国を廻ったアリーナツアー<WE'RE BROS. TOUR 2018>、そして、5月19、20日に京セラドーム大阪で、5月26、27日に東京ドームで行なわれた<DOME LIVE 2018 -暗闇の中で飛べ->と、約半年間に渡ってライブを行なってきた福山雅治。51万5千人を動員したライブシリーズのグランドフィナーレともいえる東京ドーム千秋楽公演で、福山は「今日は“圧倒的ドーム感”と“圧倒的ファイナル感”でお送りしていこうと思います!」と宣言。自身のライブ史上最多となる15人のバンドメンバーと共に、4万5千人の観客を魅了した。

場内が暗転すると、客席から大音量の手拍子が巻き起こる中、福山が登場。手を高く掲げた彼は、バンジョーを軽やかにかき鳴らしながらセンターステージへと歩いていき、「幸福論」でライブをスタートさせた。ハートウォーミングなサウンドで会場の空気をぐっと温めると、ギターを持ち替えて「vs.2013 〜知恵と快楽の螺旋〜」へ。東京ドームという巨大な空間を無数のレーザービームが縦横無尽に飛び交い、来場者に配布されたサイリウムバンドも激しく明滅。コンピューター制御されたLEDライトが球体やメビウスの輪のようなど様々な形に切り替わるなど大迫力の演出も凄まじかったが、カルテットやホーンセクションを擁したバンドアンサンブルがとにかくスリリング! ラストでは強烈な爆発音と白煙が上がり、大興奮のまま「それがすべてさ」になだれ込んだ。福山は花道を歩き、バズーカ砲を発射。さらには銀テープも宙を舞い、3曲目で早くもピークに到達しそうなほどの高揚感があり、それはまさに“圧倒的ドーム感”と呼ぶにふさわしいものだった。


そんな“圧倒的ドーム感”を作り出すための工夫として、MCではセンターステージの上に浮かんでいる巨大なバルーンについて触れる福山。「あのバルーンには2.9トンの照明機材が吊るされていて、タンクローリー1台分のヘリウムガスを入れて浮かせている……実に面白い」と、あの名ゼリフを交えながら解説していたのだが、センターステージを設ける場合、照明機材用の鉄柱を立てなければならない。しかし、その柱に視界を遮られてしまう人が出てしまうことから、何かいい方法はないか画策し、このバルーンに至ったとのことだった。また、ツアーファイナルまでバルーンの名前を決められなかったのだが、前日にライブを観に来ていた黒柳徹子が“あれ、私の玉ねぎに似ているわね”と発言したことから「徹子さん」と命名したことを報告し、観客の笑いを誘っていた。

今冬のアリーナツアーでは、春に先駆けて“春歌コーナー”を行なっていた福山。ドームツアーでは夏を先駆けた“夏歌コーナー”が、ライブ中盤に設けられていた。ストリングス、キーボード、そして福山のファルセットが絡み合う美しいアレンジから幕をあけた「虹」や、「蜜柑色の夏休み」「あの夏も 海も 空も」と、過ぎ去った遠い夏の日を彷彿とさせる曲達をピックアップ。場内が優しい郷愁感に包まれると、ステージのLEDビジョンに映像が流れ始める。

蝉の鳴き声と「また、夏がくる。」というテロップから始まったその映像は、福山の幼い頃の写真を交えながら、彼の夏の思い出を振り返るというもの。長崎出身であることから、子供の頃8月9日には平和にまつわる行事に参加することもあり、命について考えされられることも多かったことが回想される。映像が終わると、長崎にある“被爆クスノキ”を題材にした「クスノキ」や、自由と幸せについて歌った「トモエ学園」、そして自身の祖母への愛と感謝や、繋がっていく命に思いを馳せる「道標」を、客席に優しく届けていく。今回のツアーは「当たり前に行われていることは、当たり前なんかじゃない」ということをテーマにしていたという福山。“夏歌コーナー”にはその想いが強く込められていて、当たり前のように続いている日常を支え、形作っている命の尊さを改めて感じさせられたものになっていた。

感動的な余韻が残る中、MCで2001年に行なった初のドームライブを振り返る福山。「当時は若気の至りと言いますか、まだまだ演奏に落ち着きがなく……。でも、今はもうあの頃の私とは違うんです。センターステージのど真ん中で、ギター1本であなたに歌を届けられるんです!」と、17年前の初ドーム公演のオープニングナンバーだった「友よ」をアコースティックギターで弾き語り、観客を大いに沸かせた。


他にも、情感たっぷりに届けられた「IT’S ONLY LOVE」や、金テープが発射されて後半戦の起爆剤となった「HELLO」といったミリオンヒット曲、最新リリース曲である「零 -ZERO-」も演奏されていたのだが、まだ音源化されていない未発表の新曲達も披露された。ホーンセクションがド派手に鳴り響くファンキーなサウンドでありながらも歌詞はかなりシニカルで、自嘲なのかフィクションなのか、妄想を激しく駆り立てられた「Pop star」や、炎が揺らめく中で繰り広げられたサルサテイストの「漂流せよ」は、福山がガットギターをパーカッシブに叩く場面も。また、現在放送中のテレビドラマ『正義のセ』の主題歌である「失敗学」は、今回のドームツアーでフルサイズを初解禁され、観客を大いに喜ばせていた。そんな未発表曲群の中でも、一際強い印象を残したのが、ドームツアーのタイトルでもある「暗闇の中で飛べ」。光が差し込んでくるようなスケール感のあるアンセムナンバーで、今後彼のライブでかなり大きな存在になっていきそうな予感が漲っていた。以前、ツアーと並行しながらアルバムのレコーディングをしていることをSNSで公表していた福山だが、今回披露された曲達がそこに収録されるのかはまだ不明なものの、現時点で彼の手元にある曲達から推測するに、次作もかなり濃厚な作品になることは間違いなさそうだ。

アンコールで再び登場した福山は、「もっともっとあなたの笑顔が見たいんですよ。顔が筋肉痛になるぐらいの笑顔になろうじゃありませんか!」と、「その笑顔が見たい」を披露。さらに「その笑顔をもっともっとこの目に焼きつけたいんですよ」と盛り上げて始めた「Peach!!」では、定番のTバックを履いたヒップ型のパッドを装着して盛り上げたのだが、おしりの部分には「冬の大感謝際」と書いてあり、Tバックのパンツを自身で横にずらすと「開催決定」の文字が登場! 笑いと歓喜でまさに観客を笑顔にさせていた。尚、<福山☆冬の大感謝祭 其の十八>は、今年もパシフィコ横浜にて開催。日程や詳細は後日発表されることになっている。

そして、共にステージを作り上げたバンドメンバーをひとりずつ紹介して見送った後、ひとりセンターステージに移動する福山。「一期一会のライブを目指すべく、この時間(ダブルアンコール)は各会場日替わりにしていたんですけども、こうなるとしっとり系ではないなと。一緒に歌って、2018年の上半期を締めようかなと思います」と、彼が最後の曲に選んだのは「少年」。アコースティックギターを弾き語る彼の歌声と、オーディエンスの手拍子と大合唱が重なり合い、東京ドームに響き渡る。約3時間に及ぶライブであり、昨年末から続いたライブシリーズは、圧倒的なまでに心温まるエンディングで幕を下ろしたのだった。

恒例の年末ライブも決まり、「まだまだ今年は終わらない。始まったばかりのような気持ちになっている」と、気持ちを新たにした福山。2018年下半期も、我々を笑顔にしてくれる話題に事欠かないことになりそうだ。


取材・文◎山口哲生

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