【対談】暁(アルルカン) × ガラ(MERRY)、「僕にとって最後の後輩バンド」

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■17年目の俺がつい最近気づいたようなことを
■暁は気づいてる。そこはスゲーなって──ガラ

──バンド界における“かわいがり”が頻発しそうな当日ですね(笑)。

暁:うん、ありがたいです(笑)。うちのメンバー全員、自分のテリトリーでやれればいいって感じなんで、あんまり外に行けないところあるんです。点がなかなか大きくならないんですよ。

ガラ:今は個というよりも、みんなでイベントやったり、みんなでなにかやってるって感じが多いよね。でも僕らのとき、そういうのはあまりなかった。それぞれのバンドでしかなかったから、交わるってことがほぼなくて。

──10数年でヴィジュアル系のシーンもだいぶ様変わりしたと感じますか?

ガラ:僕らじゃ、ちょっと理解できないようなところもあったりしますよ。ライヴを観に行くと、“今はこうなってんだ”とかたまに驚くこともあるんで。俺らの時代には、先輩バンドたちからそう見られていたと思うんだよね。“なんじゃ、コイツら”みたい感じに。

▲ガラ(MERRY)

暁:僕が最初にヴィジュアル系に抱いたイメージは、“綺麗なお兄ちゃんが楽器弾いてる”とか“バンドやってる”という感じだったんですよ。だから自分でもいい感じの化粧して。そうすればヴィジュアル系だと思ってたんです。

ガラ:まあ、確かにテレビや雑誌で見て一発で“この人たちはカッコいい”って、そこから入ったよね。そういう憧れから始めたようなものだし。

暁:そういう入り方は悪くないと思うんですよ。ところがアルルカンを始めて、“あっ、順番が逆だったな”って。なぜこの出で立ちになったのか。ちゃんと音楽的な背景があって、そういう見た目になってるわけじゃないですか。そこを知らずに、まず見た目だけでやっちゃっていた。途中でそれに気づけたから良かったんです。

ガラ:いや、だからアルルカンを始めてまだ5年目でそこに気づいてるのが驚き。俺、17年やっていて、つい最近、気づいたようなことも暁は気づいてるんで。そこはスゲーなって。

暁:というか、変わらない人のほうが凄いなと思うんです。17年といったら長い時間ですよ。それを自分が持った1本の武器だけで戦い続けているみたいなのが、凄い。僕は、自分でも変わり始めているのは分かってるんですけど、過去より今が絶対いいと100%言えるかといったら、まだちょっと分からないんです。昔は昔でいいところもあっただろうし。自分の中ではまだ模索している途中なんで。

ガラ:いや、俺もずっと模索していたところを、マネージメント代表のダイナマイト・トミーさんにバッサリ切られた感じ(笑)。真ん中からバサーっと。

暁:ウワッ(笑)!

ガラ:「そんなに過去にこだわっていたら、前へ進めないよ」って話をトミーさんにされて。さらに「挑戦あるのみ」って言われて、まあ、そうだなと。でもトミーさん、ムチばっかりで飴がない(笑)。“たまには飴をください”って感じですけどね(笑)。

▲MERRY

──無理でしょう(笑)。そこはともかく、世代は違えど、お互いに刺激し合うところも?

暁:僕はガラさんから刺激を受けてます。あんなにムチャクチャになっていて、なんで歌えるんだとか。初めて観たMERRYのライブで、心に残った曲が「夜光」だったんです。歌詞について聞いていいですか? “この箱の中が幸せだろ?”って詞の後に“この箱の外が幸せだろ?”って詞が続きますよね。あれはどういう意味ですか?

ガラ:「夜光」に……確かにそんな歌詞あったな(笑)。

暁:あれっ(笑)。でもそんな感じで、歌詞を書いてるときにパッと出たんですか?

ガラ:うん。“この箱の中”というのはライヴハウスのことを言ってて、そこから出たら一般の日常生活があって。やっぱライヴって、あの中は非日常じゃない? 俺らはお客さんがいないとライヴが成立しないし。だから、いかになにか持って帰ってもらうか、みたいな。

暁:オオーッ!

ガラ:楽しいだけじゃ、お互いにダメなような気がする。“ライヴに来て今日は楽しかった”だけじゃ。やっぱりなにか持って帰って、翌日からなにかしら糧にして頑張ってもらえればいいなと思うから。いや〜、でも歌詞のことでそう聞かれると、ちょっと恥ずかしいな。すごく見られているような気がして(笑)。

暁:ガラさんとようやくお話させてもらえるようになった時期が、MERRYがシングル「Happy life」(2015年発表)を作ったころで。2007年の「木漏れ日が僕を探してる…」で“幸せ分けて下さい”と言ってたバンドが、「Happy life」では幸せを与える側になっていることを感じて、凄くつながったと思ったんですよ。ウワ〜、これは凄いなって。

ガラ:そりゃ、17年やってたらそういう変化もね。歌詞自体、自分の歩んできた人生みたいになっているから。最初のころは、死ねだのクソだの言ってたヤツで。そういうドン底にいた人間が上がってきて。それで“幸せをください”って言ってた人が、今度は“幸せを持っていってよ”って与える側になってる。それはバンドやってきた歴もあるのかもしれないけど、本当に今、そう思って音楽やバンドをやっているからね。ファンの人たちとは1対1の関係性だと思うから、その人にどんだけ突き刺させるかっていう。昔は全員を幸せにしたいと思ってたけど、今は一人ずつ向き合って、その人にちゃんと突き刺していきたいって変わってきたかな。暁も、ちゃんとステージで歌ってるイメージを見て歌詞を書いてる気がする。この歌詞のときは照明がこうだ、ぐらいに思ってるんじゃないかなって。
br>暁:そうかもしれないですね、でもまだまだなんですよ(笑)。僕は作詞法とか知らなくて。うちのメンバーの奈緒(G)はそういうのをけっこう知っていて、“これは歌詞としてどうなんだ?”って突っ込まれますよ。僕も奈緒に聞くので。自分らしいものは出せると思っているんですけど、気づいたら僕のことしか言ってないんです。それプラス、例えば曲をさらに楽しめるようななにかがほしいんですよね。

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