【インタビュー】Linked Horizon、3rdシングル「楽園への進撃」に込められた“いま歌うべきもの”

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Linked Horizonが、シングルとしてはじつに5年ぶりとなる3rdシングル「楽園への進撃」を9月19日(水)にリリースする。TVアニメ『進撃の巨人』Season 3において初のエンディング・テーマ曲担当となった「暁の鎮魂歌」(読み:あかつきのレクイエム)を含む3曲が収録された今作は、これまでLinked Horizonの音楽と『進撃の巨人』の世界観を重ね合わせてきたファンに大きな驚きをもって迎えられるであろう、挑戦的な意欲作となっている。

今回、Linked Horizon主宰・Revoにインタビューを行ない、今作を巡る『進撃の巨人』との関わりを掘り下げると共に、9月末より行われる“Linked Horizon Live Tour『進撃の軌跡』総員集結 凱旋公演”のBlu-ray発売記念上映における音響システムの面白さについても聞かせてもらった。『進撃の巨人』と共に歩むアーティストとして、サウンドに徹底的にこだわるミュージシャンとして、Revoの現在に迫る。

◆Linked Horizon 画像

■新しく聴いてくださる方も、“二度美味しい感”に辿り着いていただけたら嬉しく思います。

──「楽園への進撃」に収録された「暁の鎮魂歌」は、TVアニメ『進撃の巨人』Season 3のエンディング(以下ED)テーマ曲となっていますが、今回は民放ではなくてNHKでの放送となりました。より広い視聴者の方がLinked Horizonの音楽を知ることになったのではないかと思うのですが、そのことについてRevoさんはどのように感じていらっしゃいますか。



Revo:新しく聴いてくださる方が多くいれば嬉しいなと思うんですが、モノを作る姿勢としては基本的にはそこはあまり関係ないですかね。まあ、全く関係なくはないんですけど、だからといって過剰にわかりやすくする必要はないかなとは思ってますね。『進撃』を好きになってくださる視聴者の方なら、いずれこのEDテーマも気に入ってくださって、遡って今までのアニメも観るだろうし、今までのテーマ曲も聴いてくれるだろうと。そうすると、今観てくださっている従来のファンの方と同じスタートラインにいつか立つときが来ると思います。今いるファンの方たちが喜んでくれるものを作って、そこに加わってくださればいいかなって。逆に、「楽園への進撃」には今までの作品を聴いてないと気付かないようなことを遠慮なく入れています。

──作品を後から知って遡る楽しさ、喜びもあるということですね。

Revo:そうですね。それに、これまでの曲を知らないからといって、今の曲を楽しめないわけではないので。“二度美味しい感”に辿り着いていただけたらこちらも嬉しく思います。

──今から作品に触れて遡れるというのは、ある意味贅沢かもしれないですね。

Revo:一気にいろんなことを知ることができる機会ではあるので。なにせ、前作(2013年リリースの2ndシングル「自由への進撃」)を聴いてくださって、「次のシングル出ないかなあ」って思っていた人たちは、5年待ってたということになるので。その間アルバムもありましたけど(笑)。一気に過去のテーマ曲も聴けるというのは、それはそれで贅沢なんじゃないかなと思います。


▲「楽園への進撃」初回盤

──今作に収録された楽曲たちにも、これまでの曲とリンク部分が歌詞やアートワークにも散りばめられていますね。その中で「暁の鎮魂歌」は初めてのEDテーマ曲となったわけですが、どのように捉えて制作したのでしょうか。

Revo:オープニング(以下OP)テーマ曲を作るのとは違うな、とは感じていました。また、オーダー自体もこれまでと違った感じがありましたし。OPの場合は、EDがどうかということをさほど意識せずに、作品性と向かい合えた感じがするんですけど、EDの場合はまずOPの方を先に聴くので、OPを意識してどうするかっていう観点がありました。製作陣からの「同じ曲は2曲いらない」という意思は感じましたね。それ以上、細かいことまでのオーダーはなかったんですけど、目指してほしい方向性として、OPとの棲み分けはしたいと。

──EDの映像が作られた状態で、曲を作ったんですか?

Revo:今回に限らず、今までもそうなんですけど、曲を作るときに、基本まず絵はないです。曲ありきのところから始まるんですよ。なので、責任は重大なんですけど。曲がどうかということによって、絵も変わってくるというか。向こうもすごくプロフェッショナルなので、音に合わない絵は絶対作らないという職人のプライドがあると思うんですよ。逆に言うと、変な曲を作っちゃうと変な映像になっちゃう危険性がある。自分としてしっかりと信念の持てる「これだ」という世界観の曲が出せれば、しっかりとした解釈の映像が出てきて、1つの不可分な作品になるので。僕も作っている内部の人間なのでこう言えるんですけど、確かに知らなかったら絵が先にあって曲を作ったと感じると思います。そのくらい映像が曲にあっているので。

──幼少期から現在に至るクリスタの姿が描かれていて、そのイメージに寄り添った曲になっていたので、その世界観があって曲ができたのだとばかり思っていました。

Revo:実はなんですよね。曲からインスパイアされてあの世界観が出来上がってるという。日本のアニメ技術というのはすごいと思います。絵もすごいんですけど、演出を取っても、すごいセンスの塊の人たちがひしめき合っている業界なんだなってここにきて改めて思います。

──改めてシングルの収録曲順にお伺いしますが、1曲目の「黄昏の楽園」は意表を突かれた感じを受けました。

Revo:そうですね、その驚きをみなさんにも感じてもらえたらと(笑)。

──過去作からのオマージュも入っていますね。

Revo:聴いてくださってる側も、今までの曲を聴いたこともあるだろうしアニメも観てきただろうっていう中で、リスナーとして、視聴者としての経験値のようなものが蓄積されているはずなんですね。そのことを今一度感じてもらえる作品にしたいなと思いました。新しい作品ではあるけれども、自分がずっと応援して観てきたものの、今最先端にある作品なんだということを感じてほしいです。懐かしさもどこかありながら新しいという。この曲だけでなく、シングル全体で伝えられたらと思っています。

──アートワークも含めてそうした思いが込められているんですね。ファンの方たちはすごく細かいところまで読み取って解釈していますよね。

Revo:そうですね、ありがたいことに。作品を愛してくだされば、いろんなことに気付いてくるし、今気付かなくてもいつか気付くことがあるかもしれないので、そういう部分は用意しておきたいなと。

──歌詞についても、発表されていない段階で耳コピして書き起こしている人なんかもいますもんね。

Revo:毎回、そういう方はいるみたいですね。僕の場合、歌詞カードのルビも特殊だったりするので、経験値がたまっていくと、「ここは絶対普通に書いていない」とか、「おそらく特殊なルビをあてているに違いない」とか読み取る楽しさもあるのだと思います。

──ご本人以上に深く掘っているというか(笑)。「黄昏の楽園」には「すずかけ児童合唱団」がクレジットされていますが、何人くらいで歌っているんですか?

Revo:20人くらいです。若干ダビングもしてますが。そこまでたくさんの子供たちが、というイメージではないですね。もうちょっと身の丈にあった世界、村の子供たちが歌っているくらいの人数感です。

──この曲は、Revoさんにとってかなり挑戦的な曲だったのでは?

Revo:そうですね。曲調、曲順も含め、あまり今までやってこなかったような形ではあるので。らしい要素は、Sound Horizonも含めて考えると随所に感じられると思うんですけど、Linked Horizonとしては結構サプライズなんじゃないかと思います。

──どんなイメージで作った曲でしょうか。

Revo:子供に歌わせている意味というのは確実にありますね。大人には出せないピュアさみたいなものを出したいなというところにちゃんと着地できていて。一口に子供たちと言っても、実はその年齢というのも結構幅広くて。ちょっと年上のお姉さんでも、より幼い感じがほしければもっと無邪気であどけない感じを、声を作って歌ってもらったりということもありました。これが難しいことに、本当に幼い子供たちだけで構成すると、うまく歌えないんですよ。そんなに簡単な曲じゃないんですよね。なので、可愛い声を出しているお姉さんたちが土台を支えてくれているところで、下の子たちがそこについていったりしている部分もあります。

──前半から後半にかけて、「楽園」という言葉に違うイメージを受けたり、1曲の中にストーリー性も感じました。そうした曲のストーリーについてはどのように考えましたか。

Revo:シングルのタイトルにもなっていて曲名にもなっているように、「楽園」というものを多角的に捉えてもらいたいという思いがありました。いろんな側面を出していく中で、まず誰もが思っているような、楽しそうな朗らかなイメージで届けるんですけど、そこには不穏なものが潜んでいるんですよね。そんなわかりやすい「楽園」なんて現実には無いということに、僕たちは薄々気付いてはいるので。理想的な世界になればいいなとは思いつつ、そんな綺麗ごとばかりじゃなくて。それが、「楽園だから」とか朗らかに繰り返し言われるほど、謎の洗脳感が出てくる怖さがあるというか。大人が言ってると、また違った印象になるんでしょうけど、子供たちが言っているのを大人が聴くと、一種人智を超越したような、世界の真理、摂理みたいなものに対してより近いところにいるようなピュアなものを感じてしまって。美しいけど逆に怖いんじゃないかっていう気がします。

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