【ライブレポート】INORAN、ツアー初日公演開催「俺はこのツアーで嵐になろうと思っている」

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INORANは、MCで“1年振りのツアーでさ、今こんなことを言うと不謹慎に思われるかもしれないけど、俺はこのツアーで嵐になろうと思っているんだ。音のね”と話していたが、この“ロックな音の嵐”というワードが、今回のツアーの鍵になることは間違いない。

新作『Override』(通常盤)は、映像盤とCD2枚組で構成されており、INORANの“ライブに対する情熱”がたっぷりと詰まっている。本作に収録された、新曲の「I’m Here for you」と「Turn It Around」は、INORANがこのツアーにおいて、オーディエンスとともに歌いたいという、強い想いを込めて作ったナンバーだ。

『Override』について、INORANは“ライブという行為の中で、みんなの声がもっと欲しくて、そういう想いから生まれたもの。彼らの声を受けて、導かれるように「その先」が続いていくと思う”と語った。その言葉どおり、「I’m Here for you」と「Turn It Around」は、どちらもライブでオーディエンスの声を求める曲だ。リラックスしたムードの「Turn It Around」は、激しい初期衝動を宿した前半パートから、オーディエンスの声がさらに求められる中盤部分でプレイされ、スピーディで疾走感溢れる「I’m Here for you」は、終盤のライブ恒例となる「Get Laid」のオーディエンスとのシンガロングの後で披露され、会場のボルテージをさらに盛り上げる役割を果たしていた。実際、MCでINORANが“ほかのバンドのライブも観に行くんだけどさ、ファンもすごかったぜ。ウチらの場合はまぁこんな感じなんだけど(笑)。でもさ、お前たちに歌ってほしいから、新曲は絶対に一緒に歌ってくれよな”と語っていたが、この2曲のシンガロングは今後のツアーにおける、大きなハイライトとなるだろう。

その後、INORANは“ライブって良いね。昨日は早く寝すぎちゃったよ(笑)。でさ、そこからライブ、MC、ツアーのことをいろいろと考えたけど、全部吹き飛んだよ。そんなことを考えるよりも、とにかくみんなのハートを掴みたいから”と、語りかける。そんな気持ちが込められた彼らの演奏に、会場のオーディエンスたちも全力のレスポンスを返し続ける。

“オーディエンスとともにライブを全力で楽しむ”というテーマを掲げて、ライブで新たな試みが行われたのが、中盤に披露された新曲「adore」だ。ツアーに向けて書かれた未発表のこの新曲を、INORANはこのライブで敢えてデモのイメージのまま演奏するというチャレンジをした。そして、ツアー各会場のオーディエンスの反応を感じた後に、そこから得たイメージをまとめて曲を完成させるという。また、この曲ではu:zoがドラム、Ryoがギター、Murataがベースと、INORAN以外のメンバー全員が、メイン以外の楽器に持ち替える演奏上のサプライズがあり、その大胆な発想に会場のファンも大いに湧いた。

INORANは、MCで“ツアーのために4曲くらい書いたけど、この曲はデモ段階で演奏したイメージを基に、みんなの反応を感じて形にしていきたいんだ。だから、ライブでバンドのパートを変えたら、もっとおもしろいものになる”と話していた。もしかすると、ラフスケッチのようなデモのイメージに、バンドサウンドを近づける狙いがあったのかもしれないが、そんな従来と異なったアンサンブルの中で、INORANは雄弁にギターを弾いてバンドをリードし、エモーショナルにメロディを歌いながら、オーディエンスたちの反応を確認し、何かしらの手応えを掴もうとしていた。ライブを通し、バンドとオーディエンスがひとつになる喜びを追求した「adore」が、今回の<TOUR 2018 “Override 66”>を経て、どのような形に仕上がるか楽しみだ。
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