【対談】ミヤ[MUCC] × Sacchan [DEZERT]、ツーマンツアーは「ヤバいことが起こりそうな空気感」

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MUCCとDEZERTによるツーマンツアー<【Is This The “FACT”?】TOUR 2019>が1月7日の福岡BEAT STATIONを皮切りに、福岡、大阪、東京といった3ヵ所8公演の規模で開催される。両バンドはこれまで、MUCCのミヤプロデュースによるライヴイベント<COMMUNE>をはじめ、MUCC祭<えん7 FINAL in 武道館>、DEZERT主催<This Is The “FACT”>等での共演経験があるものの、ガチンコ対バンは今回が初。先ごろ、DEZERMUCC名義による会場限定コラボCD「蟲/ガチャガチャムクムク」のリリースが緊急発表されるなど、ツアー開催前から“何が起こるかわからない”危険な香りを撒き散らしている。

◆ミヤ[MUCC] × Sacchan[DEZERT] 画像

BARKSでは同ツアーを前にMUCCのミヤ(G)とDEZERTのSacchan(B)の対談を実施した。それぞれがバンドの音楽的中核を担うポジションであり、KoЯn 杉並ではギタリストとベーシストの弦楽器隊でもある両氏のトークは、「サウンド面の話はよくする」というだけあって、バンド論からプレイヤー分析まで視点が音楽的に多角度で深い。と言う意味では、以前公開したBARKS対談、逹瑯[MUCC]×千秋[DEZERT]とはまた別ベクトルの話を訊くことができた。

DEZERMUCCの「蟲/ガチャガチャムクムク」の内側や【Is This The “FACT”?】なるタイトルの由来などについても明かされたトークセッションをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■Sacchanは俯瞰でバンドを見てる人
■職人ぽいイメージがある──ミヤ

──これまでに何度かイベント等で対バンもしてきましたが、その初回がミヤ君のプロデュースした2015年のイベント<COMMUNE Vol.1>だったと思います。当時、DEZERTを呼んだ理由は?

ミヤ:簡潔に言うと、若手でおもしろいバンドだなと思ったから。雰囲気が他のバンドにはない感じがしたんですよね。DEZERTに出てもらった<COMMUNE Vol.1>のコンセプトが、大先輩から後輩までいろんなバンドを出したいというものだったので。先輩のバンドに対して、後輩のバンドの中でもパンチがあったのがDEZERTだったからです。

▲ミヤ[MUCC]

──Sacchanは見た目からしてパンチだらけですから(笑)。

Sacchan:そうですか(笑)?

──それこそ他にはない雰囲気。常に変化を続けるDEZERTですけど、2015年当時、バンドとしての理想形もあったんですか?

Sacchan:うちはバンドとしての理想形がずっとなくて、この先もないんだろうなって感じなんです(笑)。メンバーはわりと飽き性なところもあるんで、その年ごとに変わっていっちゃうのかなって。出したものがどんどん古くなっていっちゃう感覚を持っているんです。それで次のものを模索するから、ずっとピンと来ない(笑)。とくにボーカル(千秋)なんて、日によって言うことも変わるんで(笑)。その彼がコンポーザーのバンドがDEZERTですからね。結成したとき「ブレないことをブレない」と言ってたんで、変わっていくことこそがブレないことなんだろうなって思ってますね。

ミヤ:DEZERTは、いろいろやりたいことがその時々であるんだろうなって感じがします。そういうタイプのバンドのほうが、俺は単純に好みなんですよ。同じことをずっとやっているようなバンドは好きじゃないんで。俺も、“飽きる”ってことなら分かります。これは、いいねって思ってやっていることに、しばらくすると飽きて、次はなにをやろうかなって感じだから。あと、“言ってることが日によって変わる”ってのも、すごく分かる。やっぱ、その日の気分によって浮き沈みもあるし、やりたいことも変わって当然。歌詞も変われば、作りたい音楽が変わるのも当然なんですよ。そういう人間味というか、人間のエゴが音楽やステージに現れているバンドのほうが、俺は好きなんです。ポイントはメンバーそれぞれ違えど、DEZERTからは、それが感じられるんです。突拍子もないことをやりそうな雰囲気が、DEZERTには常にあるんで、俺の中で、ちょっとハードルを上げてる感じもする(笑)。

Sacchan:ははは……(焦笑)。

ミヤ:普通ではこのバンドは終わらないだろって。そういうところが感じられるのも好きですよ。かといって常にそういう感じでもなくて、演奏にしてもやりたいことにしても浮き沈みがあるというか、変化するんで。そこがDEZERTに共感できるポイントかな。

▲Sacchan[DEZERT]

──“ベーシスト=Sacchan”のことはどう見ていますか?

ミヤ:ベーシストとして見ると、また別の話になるんですよ。Sacchanのベースは個性が強くて音も強いけど、ちょっと俯瞰でバンドを見て演奏をしている人。職人ぽいイメージがあるというか。

Sacchan:そういう生き方をしてきちゃっているんで、僕は(笑)。

ミヤ:そういうのも出てるんでしょうね、人間味がプレイとか立ち位置とかにも。

Sacchan:そんなに一番になろうとして生きてないんで。ちょっと引いたところで全体を見ているほうが楽しいっていうか。バンドやっちゃダメなタイプかもしれないけど(笑)。ベースを選んだ理由はまた別なんですけど、ベースというパートはそんなに前に出てこないっていう漠然としたイメージもあるじゃないですか? 僕の性格とパートのイメージも相まって、そんな感じに見えるのかなと思います。

──Sacchanのベースを、バンドを俯瞰しているプレイというのは、ミュージシャンの見方だと感じますね。だってDEZERTでは、実はSacchanが一番目立っていると感じることがよくありますから。Sacchanが弾くと曲を個性的にするんですよね。

Sacchan:へぇ〜!

ミヤ:だから好きな音楽とかをすごく掘り下げるタイプなのかなと感じる。俺もそういうタイプなんです。好きになったものはとにかく深く追求していくんで。Sacchanもそうだろうし。それがサウンドやプレイに出ていると思うし、やっぱスゲーなと思うし、自分がないようであるんですよね。そこも好きなポイントですかね。うちのYUKKEは、自分がないようでないんで(笑)。

Sacchan:な、なにを言ってるんですか(笑)。

ミヤ:いやいや、ホントに。YUKKEはそういうキャラクターではあると思うし。Sacchanはひょうひょうとしているようで、自分のこだわりがすごくある、という感じ。

Sacchan:あまり人に関わらないようにやってきた中で、そこまで言っていただけることが今までなかったんですよ。自分はそうなんだ、と思って聞いてました。確かにマニアックな部分もあるのかなって。

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