【インタビュー】ましのみに予期せぬ異変発生!2ndアルバム『ぺっとぼとレセプション』の“実験結果”

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鍵盤を弾きながら歌う女子大生(今春卒業決定)シンガーソングライター“ましのみ”から、ましのみの未知なるポテンシャルを引き出した2ndアルバム『ぺっとぼとレセプション』到着。弾丸みたいにカタカタ言葉と効果音をつめこんだエレクトロポップから鍵盤の弾き語りで歌う超フリーキーな現代音楽まで、得体の知れない(!?)奇才・ましのみに予期せぬ異変発生! これまでの遊び心たっぷりのひねくれポップな楽曲群はもちろん、今作ではスタンダードなポップスや、リスナーに寄り添う歌詞にまで挑戦するという実験に取り組んだましのみに話を聞いた。

◆ましのみ 画像

■自分の曲や私のライブを好きで観にきてくれる人に対して、私が愛情をもたない訳がないじゃないですか?

──写真を見ると、ましのみさんのトレードマークでもあるペットボトル(この日も2リットルのペットボトル持参でグビグビ飲みまくる)で今回は塔を作ったんですかね。

▲『ぺっとぼとレセプション』初回限定盤ジャケット

ましのみ:これ、とんでもなかったですよ。迫力が! 2リットルのペットボトルが700本かな? 美術さんが作ってくれたんですけど凄かったですね。

──新アルバムは1stアルバム『ぺっとぼとリテラシー』に続き、『ぺっとぼとレセプション』。アルバムタイトルのシリーズ化は最初から狙っていたんですか?

ましのみ:狙えるような余裕はなかったです。でも今作を作るにあたって、前作と合わせて聴いて欲しいなというのもあってシリーズにしました。

──新作を制作するにあたって考えたことは?

ましのみ:『ぺっとぼとリテラシー』はリスナーに対して、本質を見ようとする努力はしたほうがいいんじゃないかなというメッセージを込めつつ、世の中という得体の知れないものに対して自己紹介するとき、自分を突き刺すために刺々しいものを出したいなと思って作ったものだったんですよ。世間と戦うために。今作は、もう少しリスナーに対して自分が能動的になりたいなと思ったので、こっちから寄り添っていってエスコートするようなアルバムを作りたいなと思いました。

──世間と向き合うスタンスがそこまでガラッと変わった一番の理由は?

ましのみ:顔が見えたのが大きいですね。

──リスナーの?

ましのみ:ええ。1stは“世間”という超絶デカい壁に対して挑もうという気持ちだったんで“戦わなきゃ”っていうハングリー精神で作ったんですけど。いまもそれはあるんですけど、プラスして、初めてリリイベとかで各地に行って顔を見て歌ってみたら、こんな人にこういう風に届いてるんだというのも分かったし。サイン会でお話ししたり、いただいたお手紙を通して曲に対する感想を聞いたりするとやさしい気持ちになるんですよ。人って。

──受け手側が漠然とした“世間”ではなく、人の形としてどんどん見えてくると。

ましのみ:そうそう。そのビジュアルが見えたことによって、自分の曲や私のライブを好きで観にきてくれる人に対して、私が愛情をもたない訳がないじゃないですか?

──え! やさしい気持ちが自分のなかから出てきたのって意外じゃなかったですか?

ましのみ:私が、ですか? 出てくると思わなかったですね。うへへへっ(笑)。

──だと思った(笑)。

ましのみ:うははっ(笑)。私、そんなにやさしくなかったですか?

──まぁね。1stアルバムはとくに。

ましのみ:ぎゃはははっ。ですよね(笑)。寄り添うことを嫌ってたんですよ。私はずっと。なんですけど、(リスナーが)見えたら実際に出てきてしまったから。自分のなかから勝手に、愛情とかやさしさとかが。いろんな曲を書いていくなかで、自分が書く意図としては、幸せな人も幸せじゃない人も、みんなが少しだけでも気持ちを上に持っていけたらいいなと思ってずっと書いてはいるんですけど。実際にリスナーの方とお話をしたり、いまはSNSの発達で曲に対するリアクションもすぐにもらえるので。

──エゴサーチ好きのましのみさんなら、この曲がどんな状況に置かれてる女の子にどう響いたのかまで、書き込み一つで分かっちゃいそうだし。

ましのみ:そうそうそう。昔はそこを“世間”という予想でやっていたのが、いまは具体的にこういう人がこう聴いてこう受け取ってくれてるというのがひとつ一つ分かるから。それを受け止めることによって、その人たちに「もっと幸せになって欲しい」ってやさしい気持ちになっていったんですよ。それなら、それを私側からみんなに寄り添って分かりやすく届ける努力を1回してみよう、してみて嫌だったらやめればいいし。みたいな感じで制作に入ったんですよ。だから、いろいろ挑戦しました。

▲『ぺっとぼとレセプション』通常盤ジャケット

──やさしい気持ちを抱いたとしても、そこは表には出さない人なのかなと思っていたから、この変化はとても意外でしたね。

ましのみ:基本、出さないんですよ。でも、1枚目で本質を見ようとする努力をしたほうがいいといったんなら、発信側がここでそう感じた本質を隠すのは失礼かなと思って。

──そういうところは律儀なんですね。

ましのみ:そういう気持ちがわいてるのであれば、それに嘘をついてまでわざわざトゲトゲしたものを作るのは健全じゃないなと思ったんですよね。でも結果として、始めは寄り添えるものを作っていったんですけど。それはそれで満足してるんですけど。残りの半分はその反動で、自分の刺激を満たすものを作りたくなっちゃったんですよ。

──ですよね?(笑)だって今作にもフリーキーな作品が入ってるのにおかしいな、これ寄り添ってるかなってさっきからずっと疑問に思ってたんですよ。

ましのみ:うははっ(笑)。「‘s」とかね。

──“あぁ〜〜ぽすとろふぃーえすが たっだよぉ〜”ですね?

ましのみ:あー残念。“彷徨う”ね。

──うわーくやしー…(苦笑)。

ましのみ:悔しいね、悔しいね(手を叩いて爆笑)。あと「凸凹」とか「AKA=CHAN」とかも自分のなかの衝動で作ったものですね。言葉選びの問題なんですけどね。大きな違いは。そこでどれだけ(リスナーに)寄り添うかというのが私のなかで変わるだけで。この言葉を選んだほうが分かりやすく伝わるなというやさしい気持ちと、この言葉は意味わかんないけど超刺激的という自分の気持ち、どっちを優先して選ぶかなんです。違いは。

──でも、作るのは後者のほうが好きなんですよね?

ましのみ:刺激的なものを選んだほうが絶対にいいっていうのはいまも思ってて、前作はそれだけが“正義”という選び方をしてたんですけど。寄り添うというテーマがせっかくでてきたので、そこでは例えば“マイナスな言葉は使わない”というのを先に決めて。恋に盲目になっちゃったのは過去にも書いたことがあるけど、盲目になって頭が回らなくなるぐらいにキラキラになっちゃったところをプラスな言葉だけで書いてみようかな。ゆるめのメロディーで。と決めて作ったのが「美化されちゃって大変です」なんですよ。

──恋しちゃってまぶたもリップも“キラキラリ”とか、歌詞も曲も分かりやすくて。

ましのみ:そうそうそう。寄り添うっていうテーマがなければこうはならなかったんです。ゆるめのメロディーというのも、アップテンポでも、例えば「プチョヘンザしちゃだめ」や「どうせ夏ならバテてみない?」はタカタカタカタカしてるのが気持ちよくて言葉を入れてたんですけど。そこも、タカタカよりもゆるく歌えるメロディーを優先したり。いままでだと、それも不安になっちゃってたんですよね。大丈夫か、こんなにゆるくてって。

──それって、前に話してくれた「サブスクで音楽を聴く世代にとっては、ひっかかりがないとすぐとばされちゃう」という分析からくる不安感ですよね?

ましのみ:そうなんです。だから、そこもテーマがあったからこそゆるめのメロディーもやってみようと思えたんです。そうやって、今回は“寄り添う”というのを大軸に、曲ごとにいろいろ実験することで、自分のなかで眠っているいろんな“可能性”を出してみたんですよ。例えば、「ゼログラビティのキス」だったら、恋愛を続けていく上でいろいろいざこざはあるけど、なんで2人が一緒にいるのか。そこを覚えてて立ち返ることができれば、なにがあっても頑張れるんだろうなと思った。そう思えたのも、やさしい気持ちがあったからこそなんですね。なので、これは恋愛の一番幸せな部分、愛を書こうと思ってできた曲なんですね。そういうテーマがある曲は、言葉の選び方もより伝わりやすいものを選んでるし。それに対して、「凸凹」はむちゃくちゃやってる。その反動で。

──反動くるの、早かったですね(笑)。

ましのみ:でも、このアルバムを作ってる段階で、すごい成長したんですよ。私(笑顔)。曲ごとに挑戦してみたら、すごく自分に返ってくるものがあったし。

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