【インタビュー】YUKKE&SATOち [MUCC]、「アルバムを3D化して劇場で見せる感じ」
■ミヤが全然遅刻しなかったです
■普段はめちゃめちゃ遅刻するのに(笑)
──ミヤは小さい頃から音楽の英才教育に近いことも受けていて、音楽に対して厳しい視点や感覚も持っているじゃないですか。レコーディングを通して、様々な局面で鋭さも発揮していました?
YUKKE:やっぱり、スタジオ作業全般でそういうことは多いですよ、昔から。自分らの耳だったり音楽的発想の前を歩いているのがミヤ。それを追い越さなきゃって、もう20年以上もやっているんですけどね(笑)。でも、“ああ、そうか”と思わされることが未だに多い。プロデューサー的な視点の意見も多いし、学ばされることがたくさんあるかな。
SATOち:結成から22年も一緒にやっていると、メンバーそれぞれの苦手な部分や得意な面とか、ミヤはすごく分かっていて。だから意外と作業がスムーズだったりするんです。外部エンジニアさんがいたほうが、ちょっとスパルタになったりするってのを感じますね(笑)。
YUKKE:自分らのプレイのいいところも悪いところも含めて、俺たちの素っ裸の状態を見せているから。それを知り尽くしているのはリーダー(ミヤ)だったり、逹瑯だったりするんですよ。いいところも、ここがダメってところも一番分かってる。
YUKKE:うん、番張ってる感じがしますよ(笑)。
SATOち:今回、テイク数もあまり多くなかったんですよ、制作スケジュールがタイトだったことも関係あるけど。プロデューサー的な感じで、責任感を持ってミヤが関わっていたので、ミヤ本人が全然遅刻しなかったです。普段はめちゃめちゃ遅刻するのに(笑)。
YUKKE:前にどこかの取材で言ってたけど、レコーディング中のミヤは「覚醒状態に入っていた」とかで。
──音楽的な覚醒状態ですか。二人も、今までの自分を超えらえた面もいろいろ多かったですか?
YUKKE:やったことのないプレイは作品ごとに求められるんですけど、今回も多かったですね。それをクリアしていってるから、ずっと続けてこれたんだろうし。
──「アイリス」では、ちょっと昔のMUCCが持っていたヘヴィネスな面もあり、ベースラインには懐かしさもあります。でも挑戦したプレイというより、自分の武器として完全に身に付けているアプローチだと感じました。
YUKKE:「アイリス」を聴いて、MUCCはこれだよね、と思った人が多いんじゃないかと思う。俺自身も「アイリス」がキーになっていると思うし、実はプレイで一番苦労したのも「アイリス」だったりするんですよ。このグルーヴと低音の出し方。やったこともない、考えたこともないような弾き方だったんですよね。弦をなぞるようなフィンガーピッキングでローを震わせるような。エフェクターで切り替えずに、自分の指で音色の変化を出すっていう手法だったんですけど。
▲ZEPPツアー<壊れたピアノとリビングデッド>2月17日(日)@Zepp Osaka Bayside |
YUKKE:そうそう。ローだけ出して、激しい展開になったところでは同時にハイも弾き方で出すっていう。そういうのをミヤと二人で、ああでもないこうでもないって言いながら、いろんな弾き方を試したんです。昔より、ちょっとIQ高めの弾き方というか(笑)。
──ヘヴィネススタイルの弾き方って、昔はちょっと野性的でしたもんね。
YUKKE:うん、弦を叩くみたいな。
──SATOちも今までの自分を超えたでしょ?
SATOち:あんまり、そんな感覚はないですけど(笑)。みんなでひとつのものを作り上げたって感覚のほうが強いっていうか。
▲ZEPPツアー<壊れたピアノとリビングデッド>2月17日(日)@Zepp Osaka Bayside |
SATOち:「積想」は強く叩いちゃいけないっていうミヤからのオーダーがあって。YUKKEにおける「アイリス」に近い感覚かもしれない。今までと違う叩き方をしないと、ああいう感じにならなかったんです。で、レコーディングの感覚のままライヴリハでやってみたら、「音がちっちゃい!」とメンバーみんなから言われて(笑)。ちょっと待ってくれ、俺はレコーディングしたときと同じパワーだよって。
YUKKE:録音とライヴはね、やっぱり別の難しさがある。
SATOち:アルバムを作っている段階で、ミヤの頭の中でめちゃめちゃ完成されている音があって、それに近づけるようにレコーディングを進めていったんですよ。「アイリス」も、それが明確にあったからこそ、飛ばすようなスネアの音になっていたり。サウンドのコンポーズ面でもミヤは司令塔になっていましたね。
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