【特集 vol.4:対談 番外編】植田真梨恵×阿部真央、エンタメとアートを語る「どっちが大事!? 」

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2019年、メジャーデビュー5周年を迎えた植田真梨恵、同じく10周年を迎えた阿部真央。同じ年生まれの両氏が小学生当時、『九州・沖縄合同ボーカルオーディション』の決勝大会で偶然にも出会い、その後、それぞれがシンガーソングライターの道を辿ったことは、先ごろ公開した対談記事で語られたとおり。夢を掴んだ少女は、ライブや音源制作といった軌跡を積み重ね、現在、シーンのど真ん中で輝かしく歌を唄い続けている。

◆植田真梨恵×阿部真央 photo-gallery

シンガーソングライターとしてのお互いの個性が十二分に語られた対談だったが、話はそれだけに止まらない。アートとエンタメ、ポップス、ロック……何を目指して何処へ歩んでいくか。悩みや葛藤、理想と現実の狭間で揺れ動くリアルな発言の数々など、初対談ながら赤裸々に心の想いをさらけ出すシーンは実に貴重で、着実に確実に自らの足で歩んで来た両者ならではの深いものもあった。生身の等身大を見つめながら、ふたりはまた新たな扉を開けていく。ここでは、BARKS編集長の烏丸哲也を司会進行役とした対談番外編をお届けしたい。

なお、BARKS『祝5周年!5作連続リリース!』特集ページでは、対談の未公開カットを掲載中だ。こちらも併せてお楽しみいただきたい。

   ◆   ◆   ◆

■エンタメを求めた結果、研究者側の私が死ぬ
■それをデビュー早々に感じたから──阿部

植田:歌手を夢見ていた子供の頃を思い出すと、私は、歌手のみなさんからエンターテイメントを見せてもらっていたんです。でも、今の私は、自分のことを私小説みたいに書いて、みなさんの日常に寄り添って、一緒に生きていく曲を作ろうとしている。そういう思いが強くあるからこそ、そうすればするほど、エンターテイメントからは遠ざかってしまうような気がするんです。

阿部:なるほどね。

植田:やっぱりエンターテイメントって、みんなにも唄える歌であってほしい。それとは別に、いち作詞作曲家って、科学者みたいなところがあると思うんです。

阿部:研究者みたいなね。

▲植田真梨恵×阿部真央 画像ページ (※画像4点)

植田:はい、まさにそうです。“このコード進行、このメロディー、このニュアンスは、他の誰にも出せなかっただろう”みたいな。でも、みなさんは別に、研究結果の新しさみたいなものはそんなに求めてなくて。そこで名を残したいのは、私なんですよね。それって自分自身の欲求でしかない。

阿部:ああ、わかるな。

植田:“エンターテイメントであり、みんなが唄える歌”でありながら、“みなさんの日々にちゃんと寄り添う、私にしかできないリアルな歌”でありたいっていうところで、そのふたつがずっとせめぎ合いながら。このままでは私、そういうバランスを取り続けたまま何も成さないのでは?と思うことがあって。そういう恐れもあります。そのあたり、阿部さん、どうでしょうか?

阿部:“♪ティーティー ティッティリッティー”って音楽(※『朝まで生テレビ』のテーマミュージック)が流れてきそう(笑)。

▲阿部真央 画像ページへ (※画像3点)

──はははは。阿部真央というアーティストも、同じような道筋を歩んで来ていませんか?

阿部:そうですね。でも、私と真梨恵ちゃんの違う点を挙げると、私はエンターテイメントに興味はないんです。私も真梨恵ちゃんが言ったことと同じように、みんなの日常に寄り添える曲が作れればいい。日常とエンターテイメントって全然違うもので。だって、エンターテイメントは非日常だから。だからこそ、“おわっ、すげぇ!”って思うわけですよ。

──なるほど。

阿部:でも、毎日がエンターテイメントだったら、ディズニーランドに住んでるみたいで、超疲れると思うんですよね。これは良い意味でなんですけど、私は現状、バランスは取れてないと思う。エンターテイメントから離れたいと思ってるわけではないけど、やってることは研究者側だから。それこそが芸術家だと思うし、さっき言った「迎合しないし、できない」部分だと思うんです。エンターテイメントにするってことは、私たちが今、身を置いているところの何倍もの人たちが関わってくるし、大きな力やお金も動く。そこで、こちらの意図せぬ思惑が働いたりするから、そういうものに私は迎合できないんです。

植田:はい。わかります。

阿部:私は好きな人としか仕事したくないタイプだから、もしそうなったらストレスが凄いと思う。エンターテイメントを求めた結果、研究者側の私が死ぬ。それをデビュー早々に感じたから、私は。だから、テレビにもあまり出たくなかったし。研究者側に身を置いているほうが、さっき言った“幸福度”が高い。そういう人種なんだと思うんだよね。

▲植田真梨恵 画像ページへ (※画像3点)

植田:そうなんですよね、たしかに私もそう思います。なぜだか私は、エンターテイメント“せねば”“でなければ”っていう義務感があるようです。子供の頃に夢見て憧れていたのはテレビの中で唄っている歌手で……どうやら小さい時に見ていた自分の夢を叶えてあげたいっていう思いがあるからで。

阿部:小さな頃に見ていたっていうのは、どんな人だったんですか?

植田:浜崎あゆみさんとか、MISIAさんとか、宇多田ヒカルさんとかが、私が小学校1年生くらいの時にデビューされたので、よく見ていました。

阿部:だよねー、私も大好きだったな。

植田:歌姫ですよね。その後、椎名林檎さんとか、aikoさんとか、JUDY AND MARYのYUKIさんとか。とにかく、それぞれカラーの強い歌い手さんたちですよね。

阿部:うんうん。それに、みんながみんな同じエンターテイメントじゃないよね。

◆対談 番外編(2)へ
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