【対談】暁 [アルルカン] ×有村竜太朗 [Plastic Tree]、「幽霊から返事の手紙をもらった感じ」
■わかるわかる。自分の声
■嫌いな時期ってあるよね
──はい。ではそろそろ本題の悩み相談に。
有村:本当にそれが今日のテーマなの?(笑)。
暁:あ、その前にいいですか? 僕、初めて観たライヴがPlastic Treeだったって言ったじゃないですか。その時のことを今でも覚えてるんですけど、特に印象に残ってるのが「Ghost」っていう曲で。
──今でもよくライヴで披露される曲です。
暁:その時の光景がすごく頭に残ってて、僕にとってバンドの原体験って「Ghost」なんです。だから今回対バンさせてもらえることになったとき、すごく不思議な感覚というか……。
──実態が掴めないというか、現実味がないというか?
暁:はい。僕にとってこれは再会なんですけど、あの日のなんばHatchからここに来るまでの時間は僕にしか見えないし、こうやって竜太朗さんとお話しさせてもらってても、まだ掴めない距離感とか、それも“Ghost”って感じで。そんな人にまさかイベント出演のOKをもらえたのが、それこそ幽霊から返事の手紙をもらった感じがして。
──それでイベント名を<Letter from a ghost>にしたと。
暁:はい。でもイベント当日にやっと実感するんだろうなぁっていうイメージなんです。
有村:そう言われて、俺も不思議な感じ(笑)。
▲有村竜太朗 [Plastic Tree] |
暁:あの、今日は聞きたいことがあって。
──バンドのフロントマンとしての悩みですかね?
有村:あー。まぁでも、バンドやってるとやっぱり悩みますよね。俺もどっちかっていうと悩むほうで。特にデビューしたての頃とか、あと……10年ぐらい前とか? 毎日悩んでたような気がする。
暁:え、そうなんですか? 今はもう悩まなくなったんですか?
有村:いや、そんなこともない。今でも常に悩んでますよ。
暁:僕、最近思うのは、レコーディングをしてて、自分の声嫌いだなって。
有村:わかるわかる。自分の声、嫌いな時期ってあるよね。
暁:竜太朗さんにもあったんですね。レコーディングって同じテイクを何回も録るじゃないですか。で、録ったのを聴きなおしたときに、“うわー、気持ち悪ぃー”って思っちゃうんですよ。
──それは最近?
暁:やっぱり嫌いやなーって、最近なりました。バンド始めた頃はマイナスな気持ちを吐き出すために歌ってたんで、そこまで気にならなかったんですけど。バンドを何年かやってくうちにマイナスばっかりじゃなくて、ちゃんと前を向くっていうか、そういう気持ちも歌いたいって思うようになって。そうしたらなんか“自分の声ってどうなんやろう?”って思うようになって。
有村:俺も初めの頃は自分の声に違和感があって。“こういう感じにしたいのに全然できない”みたいな。声自体も嫌だったし。でも自分としてはバンドやりたいしやるならヴォーカルやろうっていうのがあって、そこの矛盾に悩んだことはあったかな。例えばこれが声じゃなくて楽器だったら違うと思うんだけど、声って生まれつきのものだから、そこがバンドを始めて最初のデカい挫折。
▲Plastic Tree |
有村:開き直った(笑)。だって自分の声からは逃げられないからね。どんなに練習したり研究したりしても、自分の理想そのものにはなれないんだなって。だったら自分の持ってるものをどう伸ばすか。そういう考え方になった。
暁:自分の持ってるものをどう伸ばすか……(考え中)。
有村:そんなに深く考えないで、ただやればいっかみたいな感じ。あんまり考えてもしょうがないやって感じになっていったかな。でもメジャーのファーストぐらいまではそこで悩んでましたよ。ウチはその頃からみんないろんなタイプの曲を持ち寄ってくるから、曲調も一辺倒じゃないし。
──それに合わせて声が変えられるわけでもないし。
有村:それはどのバンドのヴォーカルの人もそうだと思うんだけど、でもしばらくそこでウーン……ってなってた時期があった。
──でも、竜ちゃんも暁くんも声自体に特徴というか個性があって。そこは共通してるところじゃないかと。
暁:言われてみれば確かに……。
──そこを羨ましいって思ってる人もいると思いますけど。
暁:そうか……!
有村:でも、そうやって自分の声を個性として認識していくには時間がかかったから、そこはしばらく悩んでも仕方ないと思うよ。
暁:ありがとうございます。とにかく自分の声に慣れるしかないってことですよね。
有村:はははは。そうだね(笑)。
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