【インタビュー】Waiveの田澤と杉本が語る“解散中”という新たな概念「バンドにとって死を意味すると思うんです、解散って」

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平成最後の日となった4月30日、Zepp Tokyoで開催された<Waive GIG「サヨナラ?」愛しい平成よ>。令和初日の5月1日にLIQUIDROOM追加公演を控えていたにも関わらず、歌や演奏には出し惜しみ感が一切なく、曲を彩る印象的な演出や赤裸々なMCを含め、3度目の再演のフィナーレを飾るにふさわしいステージだと思えた。その様子は8月29日にリリースされるLIVE Blu-ray / DVDに丸ごと収められる模様なので、ご自身の目と耳で確かめていただきたい。

◆Waive 画像

本来はZepp Tokyo公演のライブレポートをもってBARKSのWaive特集は終了する予定だったが、公演後、メンバーと会話した中で、やはり今回の再演を終えてみての感想や今後の展望を改めて尋ねてみたい、という想いが芽生えた。そのリクエストに快く応じ、以前ソロインタビューでそれぞれに語った田澤孝介(Vo)と杉本善徳(G / Vo)の2人がここに改めて、揃って登場してくれた。取材は公演後約3週間を経た暑い昼下がり。あのライブを感動的な美談に終わらせることなく、「負け」という強い言葉すら用いて悔しさを語っていたことには少し驚いたが、それだけにまだ見ぬ“次”のWaiveが楽しみになる、そんなエピローグ的インタビューになった。

   ◆   ◆   ◆

■ほんまに最後になるかもしれない
■みたいな気持ちで歌ってました

──2018年秋、田澤さん杉本さんそれぞれにインタビューさせていただいたときは、まだツアー<Waive TOUR「Wave to Waive」>も始まる前でしたので、一連の活動を終えた今、Waiveの今後についての温度感も変化してきているのでは?と思いまして。

田澤:なるほど。

杉本:言うても結構経ちましたね。早いですね。

──もう3週間が経ちました。まずはライブの振り返りから伺いたいと思います。

田澤:かなり前のことみたいに感じますね。

杉本:田澤くん、だってもう別バンドのツアーやってるんでしょ?

田澤:そう(笑)。体感で言うと、“まだ1ヵ月経ってないんや?”という感じですかね。

──4月30日のZepp Tokyoでのライブは、5月1日の追加公演を残しながらもかなりファイナル感があるというか、熱かったし、完成度も高かったと思うのですが。

田澤:今回、これはツアーの全公演常になんですけど、Zeppは特にそうやったかな……、終わりが近付くにつれて、勝手に“次があってもいい”と思ってるから“続きがある”イメージを持ってたけど、“これが最後の可能性だってあるじゃないか”とふいに思って。“なんでその可能性を俺は見失ってたんやろう?”って。だから、目が覚めたというかなんというか“これがほんまに最後になるかもしれない”みたいな気持ちで歌ってました。それはなぜか、5月1日より、Zepp Tokyoのほうが特に。

──気持ちが違うことによって実際、パフォーマンスも変わったという感覚はありますか?

田澤:ありますよ。頭から終わりまで“きちんとしたクオリティーで届けられるようペース配分を”とあれほど思っていたのに、“どうでもいいか、そんなん”って思いましたもんね。“今日が最後でも後悔せんように”って。“叫びたいなぁ。でも、今、叫んだことでこの後がダメになるんやったらやめておこうか?”とか、一瞬よぎることもあったんですけど、ダメになったらダメになったでもういいや、みたいな気持ちでした。そもそもWaiveはそういうテンションでやったほうがいいというか、勝手にそうなるからあまり我慢をしないんですけど、今回の再演は特にそうだったかもしれない。

──それは観ていても伝わってくるものがありました。

田澤:ほんまですか?それは嬉しいです。Zeppは映像収録が入っていたりで、いろいろと意識しなきゃならんことが多かったんですけど、そんな中で“とにかく悔いのないように”をテーマにライブしてましたんで。

──杉本さんはいかがでしたか?

杉本:……僕、もしかしたら記憶喪失かもしれんな、と思ってて。

田澤:あはは!

杉本:この2〜3週間は、Zepp TokyoのBlu-rayの編集作業を始めているので、他のメンバーよりはライブの音なり映像なりに触れてるんですけど。それがなかったら、本当にもうなにも覚えてないかもしれない(笑)。忘れた、とは少し違ってて。もしかしたら根本、フワフワしてたのかも。Zeppのライブは、本編が終わって楽屋に戻るなり、なぜか僕はその日のダメ出しを既にしていて。誰に対してというわけじゃなくて、総じて「これはダメだね。ここまでやってきたツアーの意味はなんだったんだ?」という話をしていたんです。この日に限らずライブのいい悪いというのは案外分からないものだと思うんですけど、手応えというか、ツアーでやってきたものをそのままステージで披露できているか?という意味で言うと、“なんか、まったく関係ないのないことをやっている気がするなぁ”という2時間だったので。“あれ? この間までやってたツアーはなんやったっけ?”みたいな感覚がすごくあったから。そういう意味で、ステージにいるうちから既に疑問を抱いてしまっていて。それによって地に足がついてないというか、フワーッとしちゃってたのかも。

──なるほど。

杉本:そういう、言葉にしにくい、形にも当然ならない感情があって、ライブが終わって後日、音に触れて改めて聴くと、“あれ? 思ってたよりもこうなんだなぁ”みたいな気付きが、またあったりもして。もっと下手クソなライブをしてる気がしてたけど、“案外聴けるなぁ”とかね(笑)。例えば田澤くんの言う“頭からブレーキ踏まないぜ!”みたいな感じを各々が持って……持ってたのかな? それさえも分からない。でも、出来上がりというか、まとまった状態で聴いたら、“あ、俺は自分の演奏にはこう思って、田澤くんは自分の歌をきっとこう思ってる、各々たぶん自分の音に対して思ってることはあるけど、観てる側は全部まとまった状態で観てるわけだから、そのときは“あ、やっぱりツアーの延長上にあるものになるんだな”と思えた。“やっぱりバンドは面白いな”と思うところはそこにあって。

──はい。

杉本:僕は特に、Waive以外はソロプロジェクトしかやっていないから、というのもあるかもしれないけど、どうしても“自分自分”みたいなところに入っちゃってたところがあって。でも、<MUD FRIENDS2000~2018>(※MUCC、Psycho le Cémuら同期との3マンイベント。2018年10月開催)のときにスタッフが撮ってたビデオを観て感じた、“え? なんか、バンドとしてちゃんと上手いな。おかしいな”という驚きが、今回もあって。若い頃によくあったけど、「今日のライブ最高やったよなー!」って楽屋に戻って言ったら、観てた人らは「ええ?」っていう。ファンのアンケートで評判のいいライブは、こっちにしてみれば不完全燃焼のことが多かったし。とにかく、観てる側とステージに立ってる側にはズレがあって、今回もそれがいつも通りあったんだろうなと。でも、やっぱり時が流れて年を取ったからなのか、経験を重ねたからなのか分からないけど、そのズレを“いやいや、お前ら分かってないなぁ!”と昔なら思っていたエゴが、“あ、そうなのかもしれないなぁ”と腑に落ちるというか。特にZepp TokyoとLIQUIDROOMとは全然違うコンセプトでやって、こっちとしては“LIQUIDROOMのほうが良かったんちゃう?”みたいな感覚でいたけど、観に来てた人らは“いや、今日のはこういうコンセプトだからこれでいいけど、やっぱりショーとしてはZeppのほうが良かったね”という意見が圧倒的多数だったから。発信者側だからエゴは必要だけど、俺らがやってることってショーだから、どこかエゴだけじゃない部分って大切にしないとなぁって。それが顕著に出たのかも。ただ、やってるときは、分かってなかった。

──今のお話を聞いて、田澤さんも思うところはありますか?

田澤:“分かる分かる! あるある!”と思いながら聞いてました。僕らはきっと、体感と結果が一致してほしいんですよ。でも、それはみなさんが観て、聴いて感じたものが答えですから。集まった人の数だけそれがあって。だから例えば、なにも考えずにクールにやってたのが、“ものすごくエモかった!”と言われることもあれば、その逆もある。難しいんですよね。明確にひとつの正解があることをやってるわけではないからね。

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