【詳細レポート】Waive、解散中のZepp Tokyo公演に描いたのは人生そのもの「救われました」

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解散中にもかかわらず、2019年2月から14年ぶりの全国ツアー<Wave to Waive>を実施するなど精力的な“3度目の再演”活動を行ってきたWaiveが、4月30日、ワンマンとしては自己最高キャパシティーとなるZepp Tokyoで<「サヨナラ?」愛しい平成よ>を開催した。5月1日に追加公演<まだ見ぬ“令和”へと駆け抜けてく>を控えてはいたものの、その後の展望は明かされていない状況でこの日を迎えた。30年にわたる平成の世が閉じられる日、Waiveというバンドは一体、ステージで何を表現するのだろうか? 先ごろ公開したオフィシャルレポートに続き、新たな写真を追加して詳細レポートをお届けしたい。

◆Waive 画像

SEに乗せて順に登場するメンバーのシルエットに、会場が沸き立つ。真っ白なライトに切り替わってスタートしたのは、前回2016年の再演時に生まれた瑞々しい新曲「Days.」だ。解散前の楽曲ではなくこの曲をオープニングとして選んだことに、物語の続きを紡いでいこうとするバンドとしての意志を感じた。たとえ明確な“行き先”は示されていないとしても。



即座に「FAKE」へと繋げると、田澤孝介(Vo)は「平成ファイナル、楽しんで行こうぜ!」とシャウト。スモークが噴出し、赤いサーチライトが照らす中、杉本善徳(G)は刃物のような切れ味のカッティングを爪弾く。高井淳(B)も前へ出て貮方孝司(G)と向き合ってプレイ。ライヴ全編を通し、こんな風にメンバー同士でごく自然に絡み合う場面が随所で見受けられたのは、今のWaiveの良好なムードの表れだろう。「バニラ」ではジャンプやターンを交えつつ、メンバーは前のめりなパフォーマンスを展開。サポートドラマーの山内康雄も生き生きとしたプレイを繰り出し続ける。4人が一列に並んで放つサウンドは、いい意味で荒々しい。会場はこの時点で既に、ライヴ終盤のような熱気に覆われていた。

「こんなに集まってくれてありがとうございます。感謝しかないですね。だって、すごい日じゃないですか? この先、みんな振り返って、平成最後の思い出が今日のコレでしょ? 悔いのないように目一杯楽しみますので、悔いを残さないようにしっかり楽しんでいってください」──田澤



続けて放ったのは、“僕らは戦争を知らないまま大人になって行く”との歌詞が奇しくも平成最後の日にふさわしく聞こえる「PEACE?」。高井はグッと前へ歩み出てハンドクラップを先導し、観客を引き込んでいく。「君と微笑おう」「わがままロミオ」では、音の止む箇所やテンポが変動する箇所で、バンドの呼吸がぴったりと合っていることを強く感じた。

「Waive史上、ワンマンだと最も大きい会場」と田澤が語れば、杉本が「実は解散してるんですけどね(笑)」とツッコミ。田澤は「明日は令和最初のライヴをするんですよ、解散してるバンドなのに(笑)。人生分からん。またWaiveとしてステージに立って、みなさんと同じ時間を過ごして。いろんな意見があると思うんですけど……ここは押し通す。俺は今楽しんでいる!」と宣言すると、大きな拍手が起きた。後のMCで心情が詳しく明かされるが、田澤は、言葉一つ一つを慎重に選びながら想いを伝えようとしていた。


ツアー各地で実施してきた“レア曲ゾーン”として、この日は対照的な2曲をチョイス。「One」の田澤の清らかな高音、音と音とで対話し合うような温かいバンドアンサンブルに心洗われ、「ASIAN「noir」GENERATION」では音と音とのぶつかり合いで生じる火花に慄き、圧倒された。続く「Just Like Me」のダークな妖気には、年を重ねてこそ醸し出せる色気が漂っていた。いわゆる“上手くなった”ことで魅力を損なわないよう、若き日の曲の勢いを削ぐことなくパフォーマンスするのはバランスが難しいと思うのだが、Waiveはその点、しっかりと両立してみせていた。

入場者全員に配布された「Dear」の再録CDについて田澤が切り出したMCでは、いつしか元号の話題へと切り変わり、「平成は終わるけど、明日(5月1日)も平成でいってええんちゃうかな? 今日のオープニングと同じように“平成、ウェ~イ!”というテンションでいけ」と杉本は田澤に無茶ブリ。杉本の言わんとするところは、Waiveはあくまでも解散中で、平成の間ずっと活動していたわけではないのに「令和の新時代“も”駆け抜けていく」と謳うことへの違和感、おかしみを指しているようである。真意を測りかねた田澤との延々と続くやり取りはまるで夫婦漫才のようで、笑いを誘っていた。


その後、披露した「Dear」は、中音域で始まる田澤の歌声が柔らかく響き、やがて現れる高音部の力強さを際立たせていた。一瞬の静寂の後、貮方のカッティングから始まった「銀河鉄道」では、背後に星空が出現。メロディー、歌詞、アレンジ、アウトロのコーラス、いずれもシンプルながら印象深く、詩的な美しさを宿す名バラードだ。時を越えて読み継がれる童話のような普遍性があり、その魅力に深く引き込まれた。かと思えば「世界がすべて沈む‐Pain‐」ではムードを一変、劇的なアップダウンを孕むロックバンドならではの世界観を示し、牙を剥いた。深紅の光の中で始まった「spanner」には、胸を掻き毟るような哀切が迸っていた。

後半に差し掛かると、「あの花が咲く頃に」「Lost in MUSIC.」「assorted lovephobia」を畳み掛け、コール&レスポンスを交えながら狂騒的な盛り上がりに。メンバーは立ち位置を刻々と変えながら、全方位のオーディエンスとコミュニケーションを取り、一体感を高めていく。一人一人が放つ音はしっかりと独立しながらも互いに密接に絡み合い、蠢く大きな塊となってフロアに放出されていた。それ自体は目に見えないのだが、観客の熱狂を引き起こし、汗が揮発した蒸気の湿り気をまざまざと肌に感じることができた。


「ヘイ、東京! まだまだ行けるか?」とシャウトすると「Sad.」へ雪崩れ込み、激しいヘッドバンギングを繰り返す田澤。杉本と声を合わせる呪文のようなメロディーは凄みがあり、メンバーが放つ音は鋭く、怖いほどにアグレッシヴ。ステージからフロアへと漂い出ていくスモークは、バンドから立ち上る妖気のようだった。間髪入れず始まった「ネガポジ (Negative&Positive)」では虹色のライトが鮮やかに輝く中、会場が一体となってテンションが上昇。田澤はジャンプ、ターンを繰り返し、杉本は跪いてギターを掻き毟る。

「全員で踊れ!」と田澤が煽った「ガーリッシュマインド」では、杉本や貮方が台に乗ってフロア後方を見渡したり、逆に高井が屈んだりして、会場の端から端のファンと隈なく目を合わせ濃密なコール&レスポンスを積み重ねていった。終盤を迎えても全く衰えの感じられない田澤のハイトーンが響きわたり、「ラストー!」というコールで「いつか」がスタート。今という時を悔いなく燃焼したい、という切実で誠実な覚悟が、歌に、音に表れていて涙腺を刺激する。“あ、あ、い、つ、か”と一音一音を区切り、全員で魂を込めて強く打ち付けるパートには、バンドとしての強固な結び付きと熱量を感じた。


すぐにアンコールの声と手拍子が起きて、約10分後にメンバーが再登場。2月のツアー初日からライヴ会場限定で発売されていた新曲「BRiNG ME TO LiFE」を披露する。ピアノの音色に乗せ、澄んだハイトーンで歌い始める田澤。どこか朴訥とした手触りのある温もりに満ちたこのミディアム曲は、Waiveを貫く軸に沿いながら、今だからこそ歌える新しさもある。ヴォーカルのメロディーラインはもちろん、各楽器隊の紡ぐフレーズも歌心と情感に満ちていた。ステージから放たれる大きな光に包み込まれるようにして、フロアには、立ち尽くし、じっと聴き入るオーディエンスの姿があった。

「楽しんでいただけましたかね? 僕も楽しかったです、ありがとうございました」と感謝を述べた後、田澤は杉本に近寄って互いに指をさし合い、オフマイクで話し合い、MCの順番を確かめている様子。結果、杉本が先にマイクを執り、語り始めた。


「2000年に結成して、2005年にバンドが解散しまして、今に至る……。今に至るまでの間には謎しかない(笑)。ここにいる人たちの中に、2005年までのWaiveをどれだけの人が知っているんだろうか?という状況になっていまして。5年強しかやっていなかったバンドで、解散後14年近く、下手したら活動の3倍ぐらいの時間が流れてしまってですね。“そりゃあ、知らんわ!”と(笑)。それなのに俺たちはいつまでも解散前の曲を中心に(笑)、よく知らんから辞書を引かなあかんような話をして、“なんか大変だったらしい”と思いながら来てる人も、結構な数になってきたのかな?と思ってやっています。うん……不思議なもので。
 平成が終わり、始まりが明日あるわけで、2005年の解散ライヴのことを昨夜考えていたんですが。14年経ってこんな日が来るなんて、この世にいる人、この世にいない人も含めて、誰も思ってなかったんじゃないかな?という気がする。生きてるといろんなことがあるもんですね。
 時間が流れていく中でいろんなことを経験して、いろんな選択を人は強いられ、正しいことも間違えたことも、選ぶ。その時、正しいと思っていたこともいつか正しくなくなる時もあるし、間違っていたことが“正しかったのかな?”と思うこともある。生きてるとそんなことばっかり。誰の選択にも正解も間違いも存在し、14年経って、出会うと思わなかった人と出会い、サヨナラした人と出会い、いろんなことがあって……。自分が間違っていると思っていたことが間違いじゃなかった、と感じることもあって。何かを許すことがあるんだな、と思っています。
 それはきっと俺にも起きていることで、誰かが俺を許していなかったとしても、時が流れてお互いがいろんな経験の中で、許してくれることもきっとあると思うので。お互いが生きていく中で、許し許され、年を取っていくのがいいのかな?と思うようになりました。
 年明けたぐらいかな? 僕の人生にとって一番しんどいなと思う時期を過ごして、そんなしんどい中、14年前に解散したバンドのツアーがあって、こうやっていろんな人が会いに来てくれて、メンバーがいて、スタッフがいて。それまでの人生で一番しんどいことを味わわされた奴らと過ごして、救われて……。不思議だなと、このツアーは本当に思いました。生きてるとこんなこともあるんだな、と痛感しているので。またこの先、生きていく中で、怒ったり憎んだり、笑ったり愛したりすると思うんですが。全部、その時が答えじゃないと思うので。楽しみながら生きていけたらいいな、と思うし。そうみんなも思ってくれたらいいな、とつくづく感じるツアーでした、救われました、ありがとうございました!」──杉本

切々と語る杉本の言葉に、じっと聴き入るメンバーと観客。田澤はそれを受けて、言葉を詰まらせながら、こう語った。


「ごめんね、言葉間違うかもしらんけど……。こうやってメンバーが集まって、Waiveとしてステージに立つ日がまた来るって、本当に思ってなかったですし。(杉本の)言葉借りますけど、この間の名古屋か大阪で、「19年間の長いツアーだったんじゃないか?」と善徳くんが言ったんです。まさにそうやな、と。
 僕が脱退の意思を表明したことが解散のきっかけでした。それもあって、1回目の再演の時は気持ち的に“懺悔” (※BARKSの田澤インタビュー参照)。こんなにたくさんの笑顔を奪ってしまった……と。でも、それを知るきっかけを与えられるということが、まず、希少なことだったと思うんです。本当にありがたい体験をさせてもらったのね。絶対普通に気付けることじゃないので。それを経て、2回目の再演を経て、今ですよ。ちょっとやそっとでは出来上がらないものを、長い長い時間といろんな人の力を借りて……本当に楽しいんです。楽しいと思えてるんです。そう思えるようになれるまで、すごく長い時間が掛かったし、いろんな人を傷付けたし……。
 正解はないと思うんですけど、僕の感覚としては長い長い道のりでしたけども、こうやって昔から来てくれてた人、それから、解散後各々の活動からここに辿り着いてくれた人、いろんな人がいると思いますけど、こういう“今の状態のWaive”を観てもらえてよかったな、と思えるツアーを回れましたし、今日もそういうステージができました。先のことは誰にも分からないですけど、状況とかいろんなものが許すのであれば、また集まれるだろうし。
 ……かといって、僕が許されたと思ってるわけじゃないですから。僕は僕で、一生抱とかなあかんものがある。でも、それはそれでいいと思うし。みんなにとってのWaiveが少しでも素敵なものになってくれたら、僕は幸いです。今後、またWaiveとしてみなさんの前に現れることがあったなら、それもまた新しい思い出の1ページとして、みんなの中に刻んでもらえたらな、と思います。感謝ばかりでございます、ありがとうございました!」──田澤

書き起こしたのはこれでも一部だが、率直なMCは感動的で、8月29日リリース予定のLIVE Blu-rayには全MCが収録されるとのことなので、是非ご覧いただきたい。田澤は、許されることを未だ自分では許していない潔癖さを見せ、その重みについては考え込んでしまったが、「楽しい」と表明できている事実を尊く感じた。「上手いこと言ったんですよ、杉本さんが。この人、予言者なんですよ」と田澤は杉本を評し(「あ、そうなんです(笑)」と杉本は応じていた)、「言葉にならない想いだったりとか、僕らのこれまでの道程とか、もしかしたらこれからの道程も、次の曲に全部置かれてる、そんな気がします。最後に贈ります、「HEART.」」とコールした。


回り道をして、もう一度巡り合う奇跡を歌っているこの曲「HEART.」は、過去の杉本が2019年の平成最後の日に向け、先回りして書いた最終ページのように思えた。そして、曲中で降って来たハートの紙片。会場で現物を手にすることはできなかったが、ライヴ後に杉本がTwitterでアップしていた画像を確認したところ、「HEART.」の歌詞の一部が彼の直筆で綴られていたようだ。桜の花びらが散るようにハラハラとハートが舞い降りる美しい光景は、忘れ難く瞼に焼き付いている。

一列に並んで肩を組み、深いお辞儀をした4人。ステージ上に降り積もったハートを手に取り、メンバーはフロアへと投げ入れていた。この3時間のライヴは、19年の長い旅の果てに辿り着いた場所。そこは温かく、居合わせた人々の泣き笑いによって祝福されていた。


彼らの楽曲が予言的であるのは「HEART.」に限ったことではなく、このライヴ全編を貫いていた“正しいかどうか分からないし、これから先何が起こるか分からないが、この想いにリアリティーがあればいい”という感覚は、「いつか」の歌詞そのもの。Waiveがこの日表現したのは、音楽性がどうとか演奏のあの箇所が、という描写では捉え切れない“人生そのもの”というドラマだったように思う。彼らが体現したのは、“生きている限り、過去の意味を更新していくことができる”という生身の実証例なのである。そしてそれは、苦しみや悲しみから逃れられない人生を生きていく上で、有効な支えとなり得る希望だ。こんなにもWaiveのライヴに、バンドの物語に胸を打たれるのは、そこに流れる感情がすべて本物だからだろう。

BARKSインタビューで田澤は、このライヴで「燃え尽きたい」と語っていた。杉本は「解散ライヴをして、みんなを悲しませることも二度とない分、“Waiveとして再結成した”という言い方もしない」と明言していた。実際にこのライヴを終えて、心境の変化はあったのか、なかったのか。例えば、「救われた」とまで語るに至った杉本の心境の変遷を深く掘り下げたいし、ライヴを観終えた今、彼らに聞きたいことが新たに芽生えて来ている。このバンドが描く物語の次のページに出会いたい。そんな気持ちに自然となってしまう、未来を感じさせるステージだった。

取材・文◎大前多恵
撮影◎Viola Kam (V’z Twinkle)

■<Waive GIG「サヨナラ?」愛しい平成よ>2019.4.30@Zepp Tokyoセットリスト

01. Days.
02. FAKE
03. バニラ
04. PEACE?
05. 君と微笑おう
06. わがままロミオ
07. One
08. ASIAN「noir」GENERATION.
09. Just Like Me
10. Dear
11. 銀河鉄道
12. 世界がすべて沈む-Pain
13. spanner
14. あの花が咲く頃に
15. Lost in MUSIC.
16. assorted lovephobia
17. Sad.
18. ネガポジ (Negative&Positive)
19. ガーリッシュマインド
20. いつか
encore
en1. BRiNG ME TO LiFE
en2. HEART.

■LIVE Blu-ray『Waive GIG「サヨナラ?」愛しい平成よ』

※2019年4月30日 Zepp Tokyo公演の全曲、全MC & オマケ映像も収録
期間限定通信販売 / 完全受注生産 ¥8,800(税込)
4月30日より受注スタート
受付期間:2019年4月30日22:00-7月31日23:59
発送:8月29日リリース予定
購入 http://waive.shop/

■Waiveメモリアルライブフォト発売

※Waive GIGから選りすぐりのライブフォト全50枚を5月中旬より期間限定で販売
▼対象公演
<Waive GIG 「サヨナラ?」愛しい平成よ>2019.4.30 Zepp Tokyo
<Waive GIG 「まだ見ぬ”令和”へと駆け抜けてく>2019.5.1 恵比寿LIQUIDROOM
※ライブフォト全50枚の中から、好きな写真をセレクトしてご購入いただけます
※また全50枚セットをご購入の方には、さらにスペシャルフォトをプレゼント

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