【インタビュー】DIR EN GREY、30thシングルは10分越えの大作「アルバムの最後のピース」

■波を出したいけど、それを殺している
■ひたすら霧の中にいるような感じ
──制作のスタイルとして、“薫さんが構成を作ってメンバーに投げるというやり方をした”と伺ったのですが、それに関してはいかがでしたか?
Die:単純にベーシックの構成がないと、それぞれのアレンジができないので、2曲をくっ付けるところを薫くんに任せて、はじめはそれを待っていたんですよね。あの期間は、それをシングルにするかどうかも不明やったと思うんです。薫くんが「やってみるわ」とはなったけど、シングルの別候補曲もあったので、並行して他のメンバーも作業はしていて。
──薫さんから投げられた段階と、今の完成形とのかたちはだいぶ違いますか?
Die:今の状態まで長くなかったとは思うんです。構成が広がっていったのは、歌が入って、コーラスが加わっていってからですね。
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| ▲京(Vo) |
──手探りの期間が長かったということでしょうか?
Die:うん……正直、どこで仕上がりなのかがわからないっていうか(笑)。これで果たしていいのか? シングルとしてリリースできるOKラインはどこなのか?っていうのは悩みましたね。レコーディングに入る前の状態は、尺としては完成しているけれど、音としては未知な部分がありました。
──進みだしたのは、やはり歌がきっかけですか?
Die:そうですね。歌の仕上がりが一番早いんです。そこから楽器陣は、歌に対してのアレンジに集中できた。歌が引っ張っていっている気がします。
──静かにはじまり、激しく展開していき、最後は壮大に締め括られることで、組曲のような印象になっているのですが、どんなイメージで音を作っていきましたか?
Die:メンバーによって感じ方はそれぞれだと思うんですけど、自分としては、導入部分は、息を殺しているっていうかね。密室感、闇の中、まだ爆発しないところで彷徨っている感じ。イキきらないというか。
──Toshiyaさんは、どうですか?
Toshiya:個人的には、この曲はずっと我慢するイメージなんです。『The Insulated World』収録曲の「絶縁体」も長いですけど、あれに比べると淡々としてるっていうのかな。波を出したいんですけど、それを殺しているというか。ひたすら霧の中にいるような感じ。先ほども話したように、どうしても、長尺の曲って構成とかが他の曲と似てくるんですよね。だから、みんな悩んだと思うんですけど、ベースとしては今回、淡々としてみようと思いました。ギターが細かく刻んでも、ベースはかなり大きなスパンで全てを考えたつもりです。ユニゾンも、きっちりしたユニゾンではなく、頭とケツだけが合うような。そういうことで、個人的にこれまでとの変化を出したかったんです。
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| ▲「The World of Mercy」完全生産限定盤 |
──たしかに“淡々”とか“我慢”って、Toshiyaさんの表現の中では新鮮ですね。
Toshiya:そうですね。自分は動くフレーズが好きなんですけど、今回は敢えてやめてみました。
──この曲には、そのほうが合うという?
Toshiya:そう、合うと思ったんです。
──Dieさん、ギターに関して、そういうところはありますか?
Die:ギタリストって、自分のフレーズをちゃんと聴かせたいっていうのがあるんですけど、“そのフレーズがどういうふうに存在するものなのか”を考えて音作りをしました。クリアに聴こえなくてもいいフレーズ……霧がかかったような、主張しすぎない音もありますし。歪みのベーシック以外は、歌をメインに考えた時の音の在り方を、わりと意識しました。そういうイメージがあったからこそ、ミックスとマスタリングが、すごく難しかったんです。









