【インタビュー】伊藤銀次、原点回帰でありここから始まる新たな旅への出発点でもあるニューアルバム『RAINBOW CHASER』

ツイート

■過去にあったこと、出会った人、いくつもの想い出が
■自分を守ってくれているんだという結論にたどり着いたんです


──僕は1曲目の「誰もがきっと~想い出に守られて~」の、「想い出に守られて」というフレーズがとても気に入ってるんです。

伊藤:ありがとうございます。嬉しいです。過去を懐かしむ歌は、絶対作りたくなかったんです。そう思って来たんだけど、70歳手前になって、自分がなぜここにいるんだろう?と思うと、中学時代にビートルズを好きになって、学校の勉強もそっちのけでギターの練習を始めて、あそこが始まりだったんです。それが『RAINBOW CHASER』という言葉にも繋がっていくんですけど、音楽というレインボーに向かってダーッと走り続けてきた69年だと思った時に、過去には良いことも悪いこともあったけど、素直なままで生きて来れたのは何なんだろう?というと、過去にあったこと、出会った人、いくつもの想い出が自分を守ってくれているんだという結論にたどり着いたんですよ。想い出にすがっているわけじゃない。今の自分があるのは、想い出があるからこそなんだと。

──しみじみする言葉です。

伊藤:この曲の出だしの♪青空、夏草、って、僕の中で意味はないんです。パッと出たんですよ。これは何だろう?と思って、思い出したのは、僕は中学、高校とバスケットボールをやっていましたから、体育館やグラウンドを走ったことを思い出して、そのシーンに繋げていこうと。それで想い出の歌になったんです。♪校舎の窓から、というところも、本当にそうだったんですよ。校舎の二階の教室で、夕焼けが見えて、家に帰ってギターを弾きたいから、早く授業終わらないかなと思っているシーンを歌にしようと思ったんです。だから、最初からそういう歌にしようと思ったわけじゃなかった。


──鮮やかなシーンですね。

伊藤:2曲目の「RAINBOW CAHSER」は、最初から自分の歌にして、虹を追いかけていく歌にしようと思っていました。いろいろあるけど、自分なりのロマンを信じて気持ちを盛り上げていかないと、生きていくモチベーションが上がらないということを歌にしたかったんです。でも先にそれを考えちゃったもんだから、なかなか言葉が出て来ない(笑)。でもある時♪あの曲が流れて、心が震えた、という一行がふっと出てきた。びっくりしたのはね、「DOWN TOWN」を作る前、大瀧さんにプロデュースしてもらった時に、言われたんですよ。「銀次、“あかさたな”で始まる曲は、売れるんだ」って。あかさたなは発音しやすいから、受け入れられるんだって。それを真に受けて、♪七色の黄昏降りて来て、って、「DOWN TOWN」の歌詞を書いたんですよ。♪街角は、♪シャボン玉のように、とか、あかさたなで書いたんです。そしたらね、今回の…。

──あ! 本当だ。

伊藤:♪青空、夏草、でしょ。「RAINBOW CAHSER」は、♪あの曲が流れて、新しい風を感じて、あれからどんなに、でしょ。びっくりした(笑)。これは全く意識してなかったんです。自然に出てきちゃった。CDができてから、歌詞カードを見ていて気付いたんです。♪あの日あの時、身体中にあふれた、とか、韻を踏んでるんですよ。

──「愛をつかまえて」もそうですね。

伊藤:だからきっと、入りやすいんだと思うんですよ。今のJ-POPは、あまり韻を踏まずに、意味をちゃんと伝えるものが多いから、歌詞カードを見て聴く音楽になってる。僕は、こんなこと言ったらレコード会社に怒られちゃうかもしれないけど、歌詞カードはいらないと思っているんですよ。聴いててわかればいいから。僕が子供の頃に、ラジオから流れていた音楽は、歌詞カードなしで聴いていましたからね。


──ボーナス・トラックに入ってるライブの2曲「こぬか雨」「DOWN TOWN」は、2年前でしたっけ。

伊藤:そうです。45周年の時に、ビルボード・ライブ東京と大阪でやらせてもらったんですけど、杉真理くん、高野寛くん、EPOさん、東京公演には佐野元春くんも出演してくれて、アンコールで全員で「DOWN TOWN」をやることになった。一応録音してたんですよね。その録音状態がまあまあ良かったのと、みなさんが許可を出してくださって、それでここに収録しました。ただ、男性のキーでEPOさんが歌うと低すぎる、逆だと高すぎて僕らが歌えない。いろいろ考えて、途中で無理やり転調した(笑)。そこからEPOさんのアレンジに変わって、間奏から無理やり元に戻すという、ビルボード・バージョンです。

──絶妙ですね、あれは。

伊藤:「DOWN TOWN」は、最初にシュガー・ベイブが出した時には全く売れませんでしたから。それを80年代にEPOさんがカバーしてくれて、「俺たちひょうきん族」のエンディングで使われてみんなの歌になった。本当にマジックのある曲ですね。もうね、「DOWN TOWN」は、僕の曲でも山下(達郎)くんの曲でもないんですよ。みんなの曲なんですよ。ライブでやっていてつくづく思いました。だから生きてるんだなあと思った。ありがたいことですよ。

──そして、この後、12月28日に、今年を締めくくるライブがあります。「伊藤銀次のWINTER WONDER MEETING 2019」、場所は吉祥寺STAR PINE'S CAFE。

伊藤:この日をアルバムのレコ発的に考えて、新曲5曲は全部やりますし、もちろん「DOWN TOWN」も「こぬか雨」もやります。しかもゲストがいて、長江健次くんと楠瀬誠志郎くんが来てくれます。誠志郎くんは、今年の僕のビルボード・ライブにもゲストで出てくれたし、長江くんは、意外に思われるかもしれないけど、彼がイモ欽トリオの後にソロデビューした時、僕と同じポリスター・レコードで、僕が2曲書いてるんですよ。そんな縁があって、何年か前に再会して、昔よりも歌がすごく良くなってたから、一緒に何かやろうかという話になって。たまたま今年、長江くんから「ナガエヤカラ・トライアングルというのを思いついた」と(笑)。The東南西北の久保田洋司くんと、長江くんと僕の3人で。それは面白いねと言ったら、久保田くんが「大阪だから、『ええねんで恋をして』という曲を作ろう」と(笑)。

──乗りますねえ(笑)。

伊藤:そしたらね、すぐにメロディができちゃった。それを僕が家で、一人でナイアガラ・サウンドを作って、ギターを何十本も重ねて、長江くんのアルバムに入れた。ナイアガラの方にも聴いてもらって、太鼓判を押してもらったので。28日にはその曲もやります。

──楽しみです。みなさん、ぜひ。

伊藤:お待ちしてます。アルバムを聴いて、予習して、28日に来ていただければと思います。

取材・文●宮本英夫

リリース情報

『RAINBOW CHASER』
発売日:2019/12/4
定価:2273+税
品番:BZCS-1184
1. 誰もがきっと ~想い出に守られて~
2. RAINBOW CHASER
3. Try to Remember
4. 愛をつかまえて
5. 生まれ変わっても
Bonus Track [The 45th anniversary Live @ Billboard Live TOKYO]
こぬか雨 (Live version)
DOWN TOWN(Live version)
Guest Musician : 杉真理 、EPO、高野寛、佐野元春

ライブ・イベント情報

■伊藤銀次のWINTER WONDER MEETING 2019
日時:2019年12月28日(土)19:30
場所:吉祥寺STAR PINE'S CAFE

<伊藤銀次> インストアイベント
■Pied Piper House presents
伊藤銀次 『RAINBOW CHASER』発売記念トーク+ミニ・ライヴ+サイン会
日時:2019年12月6日(金)19:30
場所:タワーレコード渋谷店 6F Pied Piper House

■伊藤銀次『RAINBOW CHASER』発売記念ミニライブ&サイン会
日時:2020年1月15日(水)19:30
場所:dues新宿

◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をツイート

この記事の関連情報