【インタビュー】COMEBACK MY DAUGHTERS、EP『WORN PATH』にサブスクの影響とバンドの変化「僕らが腑に落ちるリリースの仕方」

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■「サブスクにないから、知らない」
■って言われだしたんです

──ところで、タイ遠征も含め、ライヴ活動はずっと続けてきたにもかかわらず、まとまった曲数の音源という意味で、リリースが『Mira』から6年空いちゃったのは、どうしてだったんですか?

高本:メンバーそれぞれの生活の変化も含め、いろいろあったことは置いておいて、“だからだったんじゃないかな”と思うのは、この5〜6年、サブスクが広がったことも含め、世の中でCDの需要がどんどん減っていって、ぶっちゃけ、CDを作る気が全然なくなっちゃったっていうのが一番大きいのかな。僕自身、家でCDは100%聴かないですしね。僕はずっと趣味のままレコードを聴き続けていたんですけど、制作意欲が湧かないと言うか、作ろうというやる気が出ないと言うか、そこにメンバーそれぞれのプライベートがいろいろ重なったんだと思います。曲を作ったり、ボツにしたりっていうのはずっとやっていたんですよ。それにもかかわらず、なんで動かなかったのかと言うと、“CDを作ろう” “作りたい”という気持ちがみんな少しずつ薄れていた。だからって、“配信するの?”みたいな気持ちもあって。

──そこは、どのバンドも割り切っていると思うんですよ。CDが求められる時代ではないということは理解しながら、出さないことにはツアーもできないし、プロモーションもできないしってところで、音源と言うよりはグッズのひとつと割り切って、CDを作っている人たちも少なくないと思うんですけど、カムバックはそうは思わなかったわけですね?

高本:活動しながら、割り切ったことがないんですよね、僕たち(笑)。そこは良いところでもあり、ダメなところでもあるんですけど、僕たちはそういうふうにバンドを動かせたことがない。仕事的に動くことができないんですよ。いま、おっしゃったようなことは、誰も言わないですもん。「CDを作るべきだ」みたいなことを言われたら、みんな、イヤそうな顔しますよ、きっと(笑)。

▲<CAT EXPO>@タイ

──『Mira』をリリースしたあと、2014年~2015年にシングル2枚 (『I WAS YOUNG』『Tiffany』)とUSB (「IDOL & HIGHWAY」)、そしてkonkosとのスプリットシングル『pool side』をリリースしていますが、CDを作る気がなくなっちゃったのは、その後のことだったんですか?

高本:いや、その時ももうなかったのを奮い立たせて……ってことでもないんですけど、それでもそれまでは、“CDを作りたい” “アルバムを作りたい”という欲がどこかにあったんですけど、それがなくなっちゃったんで。活動が本調子じゃなかったということもあると思うんですけどね。

──その当時は、バンドの今後についてはどんなふうに考えていたんですか?

CHUN2:新曲はやってなかったけど、バンドでこれまでの曲を合わせるのは楽しかったし、集まって、「今、何を聴いてる?」みたいな話は常にしていたし。その中で、新曲を作っても、自分たちの合格点まで持っていけなかったこともリリースできなかった理由としてあると思う。でも、みんなで顔を合わせてないと、活動は止まるなという気持ちはありました。それで、ライヴを入れて、それでもツアーに行ったら行ったで楽しいし。制作は止まっていたけど、“できるだけみんなで会わないと”とは思ってました。

──バンドは続けたいという気持ちはあった、と。

高本:ええ。それには、どういうことをしなきゃいけないみたいなことは、僕らも大人だからわかるんですけど、僕ら、元々バンドを始めた時からそんな感じだったっていう(笑)。明確な目標を持って、こうなりたい、ああしたいというのがないまま、友だちが集まって、喋って、酒飲んでみたいなものの延長で音楽をやってきたノリがどうしても抜けきらない。だから、制作が止まっていても、リリースがなくてもやれちゃうんですよ。みんなは不思議だったかもしれないですけど、それでもやれちゃうのは、バンドを始めた時のノリがまだ残っていたからだと思います。ただ、バンドを始めた時とは違うんで、CHUN2が言ったように、“この状況は変えなきゃいけないな”っていうのは思ってましたね。

──その一方では、渡辺将人さん(B)と飯島拓也さん(Dr)が2016年に加わってからラインナップが固まった印象もありましたが。

高本:そうですね。今、メンバー間は、良い状態だと思いますね。

CHUN2:楽しいです。

高本:カムバックというバンドの人としてベストキャラクターが揃っていますね。

CHUN2:年代も違う感じになってきちゃったんで。要するに僕らが一番上で、ジェネレーションギャップもあるんです。だから、僕らはパワハラに認定されないように言葉遣いを気を付けてます(笑)。

▲EP『WORN PATH』

──ベストキャラクターが揃ったということもひとつ理由としてあるとは思うのですが、重い腰を上げて、今回、『WORN PATH』をリリースしようとなったのは、どんなきっかけがあったんですか? 

高本:話してはいたんですよ。曲も作っていましたから。ただ、直接のきっかけとしては、「サブスクにカムバックの曲がないんですけど」って、すごく言われるようになったことですね。「サブスクにないから、カムバックのことを知らない」って言われだしたんです。「そんなバンド知らない。CD世代のバンドは知らない」ぐらいのことを言われだして、おいおい、ちょっと待てと。それでサブスクを勉強してみないといけないんじゃないかということになって。ただ、それでもやっぱり配信だけっていう頭にはならなくて、どうしたら今以上に、みんなの制作意欲を上げて、ぐっと物作りの感じに持っていけるかなって時に、ちょうどいいタイミングでタイ遠征が決まったんです。行くんだったら、新しい音源もあったほうがいい。でも、タイに行くなら、日本でもライヴをやったほうがいい。じゃあ、ワンマンやっちゃおうって。

──とんとん拍子に決まっていった、と。

高本:と言うより、少しずつ自分たちに課していったと言うか、「この日にワンマンやるってことは、この日にリリースしなきゃいけないってことにしよう。内容はさておき、とりあえず何かをリリースしよう」って、ゆるいですけど、ケツを叩きながら進めていった感じですかね。だから、CDをリリースする気になるんじゃないかと思って、自分たちの好きなアーティストにジャケットデザインを頼むってこともやってみました。自分たちのモチベーションを上げることが今回は一番重要だったんで、そこをつつき合って、形になったのかなと思います。だから、全部が新曲じゃない。再録もありますし、おのおのが持っていたネタとしては古い曲もあるんですよ。今回のEPのために、ばーってみんなで作ったわけではなくて、再構築したり、今まで出していなかった新曲を仕上げたりしたものもあります。

──そうなんですね。既発曲の1曲目の「I WAS YOUNG」と6曲目の「LINGERING OUT」は、たぶんライヴのレパートリーになっているから、今回、再録して入れたということだと思うんですけど、それよりもネタとして古い曲もあるんですか?

高本:2曲目の「STRAY BIRD」は、2015年頃に作った曲ですね。もちろん、アレンジはしているんで、その頃とは全然変わっているんですけど、CHUN2の「HAVE A TOUGH TIME」もけっこう前からあるよね。

CHUN2:一度バンドに持って行って、ペンディングになっていた曲です。そういう曲、けっこうあるんですよ。

──そんなふうに作りためていた新旧の曲の中から今回、どんなふうに選んでいったんですか?

高本:久しぶりってことに加え、メンバーが変わってから初めての、まとまった音源ということもあったので、“やりたくないことはやらなくていい”と僕は思ってたんですね。だから、「そこはお互いに気を遣うのはやめませんか」って話をしたんですよ。曲がなかなかできないとやっぱりネタを出す側もしんどいんです。「こんな曲が出来たんだけど、もしよかったら聴いていただけませんか?」ぐらい下手に持っていくわけですよ(笑)。それでリアクションがないと、“もう死にたいみたい”な気持ちになる(笑)。それは誰にとっても得がないから、「今はちょっとやめておこうか」って軽く言ってもOKなくらい、みんなで「これはやろう」「とりあえず置いておこう」っていうのを、はっきり言えるような状況にしていかないと、とても苦しいんじゃないかと思ったので、「この曲だったらやってみようって気持ちになったやつだけ、とりあえずやりましょう」っていうので選ばれた曲ばかりです。歳を取ってきて、異常に気を遣いだしているんですけど、逆にメンバー同士がメンバーを傷つけないように気を遣うほうが傷つくんですよね。話が難しくなると言うか、それよりもはっきり言ったほうが楽と言うか、時間も短くて済むと言うか。

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