【2020年 新春企画】2020年は大御所洋楽ロックバンドがおもしろい(はず)

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2018年11月に公開された映画『ボヘミアン・ラプソディ』はとても面白かったけれど、何より素晴らしいのが「50年もの歴史とともに積み重なれたクイーン・サウンドが世界中で再評価される」きっかけを生んだこと。「やっぱ『オペラ座の夜』での最高傑作は「デス・オン・トゥー・レッグス」「預言者の歌」ですよ」みたいな、どうでもいい酒飲み戯れ言をぐだぐだと語る機会と出くわすたびに、「音楽って、一生消えない心に刻まれるタトゥーなんだな」としみじみ思ったわけである。

そう、私の心はハードでヘヴィーなけばけばしいタトゥーがびっしりだ。DP、ZEP、KISS、エアロ、クイーン、サバス、スコピ、UFO、ジューダス、ナザレス、フォリナー、レインボー、モーターヘッド、AC/DC、ZZ TOP、そしてVH、GN'R、モトリー、ボン・ジョヴィ、デフレパ、パンテラ…まさに枚挙に暇がない。

そして、私と同じような毒々しいタトゥーで埋め尽くされた殿方にとって、2020年はかなりキテる年になる。前フリが長かったけれども、まずはモトリーが再結成し2020年夏にはツアーを開始するわけで、そこではドラムのぐるぐる回転やレールを渡るコースターを凌駕する新テクノロジーで「びっくりクレイジーなパフォーマンスをする」とトミー・リーが明言してたりもするわけだ。これ、見逃せないでしょ。


2015年に完全解散したモトリーだけれど、彼らはツアー停止契約書を爆破し(笑)復活してみせた。「解散したのにまた再結成?」とネガティブな口コミを蹴散らかしてくれたのは、デフ・レパードのジョー・エリオットの愉快痛快な一言だった。

「彼らは劇場型だ。契約なんて破られるためにある。それが彼らだよ。スポーツではよくあることだ。音楽の世界であったっておかしくないだろ? 大統領や政府が言ってることとやってることが違ったら、それは駄目だ。人々の生活に影響を及ぼすからな。でもこれはロックンロールだ。楽に構えろよ。しばらくお互いにウンザリしていた4人が、5年経ってまた恋に落ちたんだよ」

御意のとおりにござります。エンターテイメント万歳なのである。2020年に行なわれるジューダス・プリーストの50周年記念ツアーでも、ロブ・ハルフォードは「ロックンロールでは何でもありだ。俺はロックンロールを取り巻くそういうカオスが大好きだ。法も規制も制約もあるべきではない。プリーストには何でも起き得る」とし「本当にビッグなサプライズがある。プリーストとブリティッシュ・ヘヴィ・メタルの最高の祝典になる」と発言している。そう、K.K.ダウニングのジョインだって、全然あり得る話…かもしれないわけだ。


AC/DCの新作発表もいよいよ現実味を帯びてきているが、マルコムを失いブライアン・ジョンソンの聴覚に不調があれど、新作は紛れもなき鉄壁のAC/DCサウンドで2020年を賑わすにきまっている。オジー・オズボーンも約10年ぶりとなるニュー・アルバム『ORDINARY MAN』をリリースし、ツアーもスタートさせる。2020年はまるでHR/HM黄金時代の到来だ。時代は違うものの、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの復活も、ちょうど2020年なのである。

サミー・ヘイガーも「2020年は久しぶりにビッグ・ツアーをやる」と言っているが、同時に「最後にもう一度でいいから、ヴァン・ヘイレンとプレイしたい」と熱く語っており、「2020年は、HR/HMの潮目が変わる重要な年…かも」という気すらしてくる。2019年11月にその活動の幕を閉じたスレーヤーだが、2020年の風に吹かれれば、早々の心変わりが訪れるかもしれない。KISSも2年半もの期間をかけて最後のツアー<End of the Road World Tour>を敢行中だが、最終公演2021年7月17日を迎えるまでの2020年の活動で、KISS地殻変動が起きる…かも。2020年なら何でもありと信じたい。


2019年12月9日に公開された記事で、音楽ジャーナリストの柴那典は、「ロックスター復活を経て2020年はロック再定義の年になる」と、BARKSに寄稿してくれた(柴那典が分析、2020年代は「ロックの再定義」の時代に?)。そういえば、さいたまスーパーアリーナで行われたU2の<The Joshua Tree Tour 2019>では、ボノがいきなり「アイ・ラヴ・ロックンロール」を口ずさみ、観客にシンガロングを求める一幕もあったっけ。特に意味はないんだろうけど、U2がジョーン・ジェットに言及するってのも、2020年に向けてロック/パンクの加速を感じちゃうよ。

2020年の日本はオリンピックでもちきりだけれど、1月からクイーン+アダム・ランバートを筆頭に、サム41もやってくる。その後もアヴリル・ラヴィーン、グリーン・デイ、アイアン・メイデン、マイケル・シェンカー・フェスト、ドリーム・シアター、ホワイトスネイクの振替公演…と、我が心のタトゥーは大騒ぎだ。<ダウンロード・ジャパン2020>もあれば<ノットフェス・ジャパン2020>もある。2020年は思い切りロックを楽しむ素晴らしい年になるはずなのである。


文:烏丸哲也(BARKS)
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