【インタビュー】ReN、2020年の現実と溢れ出るメッセージ「今は自分がかけて欲しい言葉を唄おうって」

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ReNが6月12日、デジタルシングル「We'll be fine」をリリースした。同楽曲は人々が不安を抱えて過ごしている2020年のコロナ禍に生み出されたもの。現在まで、英語バージョン、アコースティックバージョンも配信リリースされており、それぞれが肌触りの異なる質感を持ちながら、今唄うべきReNのメッセージが真っ直ぐに突き刺さる仕上がりだ。

◆ReN 画像

「コロナに対する自分の思いが溢れ出ていたから、まずこれを歌に」と制作された「We'll be fine」は、シンプルな言葉で心の想いを詞に託し、メロディーに乗せた等身大なナンバーだ。装飾を極力省いたアレンジやサウンドは、それが許される本質的な楽曲クオリティの高さが成せる業。それゆえ、3つのバージョンにはそれぞれの表情がありながら、紛れもないReNサウンドとして確立されている。

BARKSでは、「コロナ禍のこのタイミングだからこそ書けた曲であることに間違いない」という楽曲を基に、コロナ禍における活動や日常についてじっくりと話を訊いた。温かな想いが込められた「We'll be fine」の根幹にある“大丈夫”というメッセージ。ReNにとって、この数ヶ月は決して失われたものではない。新たな気づきとライブの価値を再確認させるものとなったようだ。

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■自分が等身大で出来ることを表現した
■そうでもしないとダメになりそうだった

──2019年11月から全国ツアー<ReN ONE MAN「HURRICANE」TOUR 2019-2020>をスタートし、3月1日にはZepp DiverCityでファイナル公演を行なう予定でしたが、直前で新型コロナウイルスの拡散防止のため、ファイナルのみ9月に延期されることが決まりました。そんななか、予定されていた同日同時刻に、スタジオから<ReN ONE MAN「HURRICANE」TOUR 2019-2020 ~Special Live~>をYouTube生配信するというサプライズがありましたが、あの配信ライブが決まったのはどんなタイミングだったんですか?

ReN:事実上ライブができない、公演を延期しなければいけないことが決定してからだったので、2日間くらいで配信ライブの準備をしたんです。自分としては“公演が延期になったからといって、このまま何もしないで終わるの?”という気持ちだったというか。9月まで時間があるといっても、“この気持ちを消化しないままなのはどうか?”と思ったので。といっても、独りよがりになってはよくない。だから、“今できることってなんなんだろう?”と、いろんな案を吸い上げた結果、急遽でしたが配信でできるかもしれないということだったので、生配信ライブという形になったんです。

──かなり急ピッチで進んでいったんですね。実際に、スタジオからの配信ライブをやってみてどう感じましたか?

ReN:確実にその場にいるはずだった人たちが、その時間を待っていてくれたというのがあった。だから、実際に目の前にみんなはいないけれど、やれることをみんなと一緒にできたかな。だからと言って、毎回オンラインのライブで同じようなものが生まれるかというと、そうじゃないと思うんです。ツアーという積み重ねがあったからこそのものだし、やっぱりライブは、あの通常の形でやるが一番いいよなとは思いましたね。

──そうだったんですね。ちょうど3月に入った頃から、世の中の状況がどんどん悪化して、ライブができないどころか外にもなかなか出られない、ステイホーム期間に突入しました。この“おうち時間”をReNさんはどんな思いで過ごしていたのでしょう?

ReN:100年遡らないと前例がないようなウイルスとの戦いだから、今、自分が置かれている立ち位置とか、起きている状況がすぐに理解できなかったというか。もちろん、僕個人としてはライブができなくなったことは大きいんだけど、もっと俯瞰で考えようとしていたんです。でも、ただただ大きな不安を抱えて、思い通りの生活ができずに悶々として。そのなかでも“自分がやるべきことはなんだろう”って考えてました。自粛期間だからこそ考えられたこともたくさんありましたし。

──自分ができることを考えられるようになるまでに、時間はかかりましたか?

ReN:この状況がどこに向かっているのか、いつまで続くのかの答えが見つからない。最初は歯がゆい期間を過ごしたんです。ならば答えよりも、今は自分がかけて欲しい言葉を唄おうって思ったんです。わからないことをわかった振りして唄うなんて絶対にできないから。

──ギターや楽器を触っている時間も多かったんですか?

ReN:その頃はコロナとは関係なく取り掛かっていた制作があったので、楽器は手にしていたし、曲作りも継続していたんですよ。でも、今、世の中で起きていることがずっと頭の片隅にあって、どんどんシカトできないものになって。“これは、ちゃんと消化しないと先へ進めない”と思って、一旦、取りかかっていた制作をストップさせたんですね。それでコロナについて、今自分が思うことを書いた曲が「We'll be fine」なんです。

──<ReN ONE MAN「HURRICANE」TOUR 2019-2020>終了後の新たなタームを視野に入れて制作していたと思いますが、このコロナ禍で、それら制作中の曲に、少し距離を感じるような部分もあったんでしょうか?

ReN:まさにそんな感じですかね。もちろん、そちらの制作を続けることも大切で。やめたというよりは、今起こっていることが頭にちらついているまま進めてしまうと、制作中のものに影響が出そうだったんです。自分の新曲を待っていてくれる人のことを考えたとき、新しいものや全く違う世界をみんなに見てもらうのもいい。だけど、コロナに対する自分の思いが溢れ出ていたから、まずこれを歌にしてみようと。制作中のものは、これを形にしてからだという想いがありました。

──“今、歌うべきはこれだ”っていうのは、シンガーソングライターとしての原点に立ち返らせるような感覚ですね。実際に、「We'll be fine」の制作は?

ReN:曲作りは、取りかかって2日くらいでスルっとできました。その代わりにすごく悩んだのは、“この曲の世界観をみんなにどう届けようかな?”ということで。“アコースティックでいくのか、バンドサウンドにするのか、どちらにするべきか?”ということをシビアに考えました。自分が思っていることをうまく詞とメロディに乗せることができたので、その後の景色付けというか、最後の仕上げに時間をかけたんです。

──まず、どのフレーズからできましたか?

ReN:唄い出しからです。今回はピアノで作ったんですよ。ピアノでリフを弾きながら、それに対するコード進行をギターでつけてたとき、“♪果てしない暗闇の中〜”っていう冒頭部分が出てきたんです。単純で素直な言葉を綴ったからこそ、スムーズにできた。コロナ禍のこのタイミングだからこそ書けた曲であることに間違いはありません。で、この曲から自分自身が感じたのは、“大丈夫”っていう言葉の力で。これはどんな場面でも生きる言葉だなって思いました。なので、歌詞が先とか曲が先というよりも、この曲ができたのは詞も曲も同じタイミング。作っていて楽しかったし、なんとなく一歩明るみに出られた感じがしました。

──はい、素直で優しい歌がまっすぐに伝わる曲ですね。

ReN:難しいことを歌うのは違うし、ああだこうだと明確に答えを示せる問題ではない。だからこそ、自分が等身大で出来ることを表現した感じですね。そうでもしないと、ダメになりそうだったので。

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