【インタビュー】HYDE、エンターテインメントと狂気を語る「僕はライヴを芸術だと思っている」

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■相手によって変わるんですよ、O型だから
■いろんなところに違う自分がいるんです

──あと、初回限定盤の特典であるドキュメンタリー映像『HYDE LIVE 2019 Documentary』を拝見して感じたのですが、アジアと日本とアメリカではHYDEさんの顔つきが全然違いますね。

HYDE:あ、ホント?

──アジアではHYDEさんがホストとなってお客さんをもてなそうとされている感じで、日本はもう完全にホームじゃないですか。ライヴ番長として先頭切ってイキイキと旗を振っているHYDEさんがいて。でもアメリカでは闘う顔になっているんです。

HYDE:なるほどね。でもそうだと思います。相手によって変わるんですよ、僕。O型だから(笑)。

──血液型が理由(笑)?

HYDE:でもホントそうなんです。ある意味、多重人格。いろんなところに違う自分がいるんですよ。ステージなんてもう如実に出てくると思う。お客さんがどういう反応かによって自分の対応が変わるというか、特に去年の秋に回ったアメリカツアーは全公演サポートアクトだったので、8割9割のお客さんが僕にまったく興味がない。そういう人たちを相手にするわけだから、なんとかこいつらの記憶に残るようなことをしないとなって。それはステージに立った時点で思ってた。それぐらいアメリカでライヴをするのは気合いがいる。客席に降りて行ってでかいアメリカ人の中に入って歌うこともあるし、スマホを見ている人がいたら、その人の前まで行って盛り上げるもんね。そんなこと普段の自分ならできないって今は思うけど、そのときは気合いが入ってたからやれちゃいましたね。絶対メインアクトのファンの記憶に残したいと思ってやってたから。

▲<HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL>12月8日@幕張メッセ国際展示場4・5・6ホール

──今回のドキュメンタリー映像でHYDEさんがじゃんじゃん客席フロアにダイブされているのを観て、アメリカでもそうなのか!とちょっと驚きました。

HYDE:僕のファンなんてほんの一握りもいないから、無理やりでもやっていかないとツアーに来た意味がないと思って。いい歳したおっさんがやるようなことじゃないかもしれないけど(笑)、あんまり時間も残されていないしね。そんなに甘くないから、アメリカは。

──アメリカでの活動を本格化されてからずっと“時間がない”と口にされていますが、具体的にはあとどれぐらいと考えていらっしゃるのでしょう?

HYDE:あと2年だと思っていたけど、今年の予定が (新型コロナウイルスの影響で)なくなったから、1年追加かなって。

──そこは延長可能なものなんです?

HYDE:ホントはダメだよ。そうやってるとキリがなくなっちゃうから。命に限りがあるからやれることがあるわけで、これがもし永遠の命だったら別に今やらなくてもいいってことになるじゃないですか。限りがあるからこそ今やるべきことをやらないと、って覚悟を持って頑張れる。ただ、あと1年だけでは自分の思い描いていることをやり切るのに足りないから。後悔はしたくないじゃないですか?

──わかります。ではHYDEとしての再始動第一弾となるアルバム『ANTI』をリリースし、怒涛のライヴを行なってきた2019年の活動をご自身はどう評価されていますか。

HYDE:いい序章にはなったんじゃないかな。久しぶりにソロに戻って、もう一回“HYDE”というものを再構築したわけだけど、この『HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL』までの映像を見る限りは、なかなかのものになったんじゃないかなって思います。もちろん、それまでにはVAMPSでの活動があったから成し得たことだと思うけど、HYDEとしてもいいスタートが切れたんじゃないかな。当然、まだまだ高みに行けると思っているけど、もしもここで僕が事故か何かに遭ったとして、この先ライヴができなくなったとしても悔いが残らないようないい記録になったなと思う。これが最後の作品になったとしても。

──点数をつけるとしたら100点満点中何点になるんでしょう。

HYDE:終わった直後は100点だったけど、今観ると90点かな(笑)。やっぱり客観的に見てると“ここはこうしたほうがよかったな”とか“ここはこうできたな”とかいろいろ思うところはあるので。でも、これまでの最高到達点であることは間違いない。次は100点を目指します。

▲<HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL>12月8日@幕張メッセ国際展示場4・5・6ホール

──ということは、この映像に収められているもの以上にすごいライヴを作り上げるということですよね。さっきの“時間がない”という話にも繋がるかもしれませんが、変な話、これ以上の頑張りってできるものでしょうか。

HYDE:できるんじゃない?

──おお、即答! その根拠は?

HYDE:今はまだ全然、曲が足りないと思ってるんですよ。まだVAMPSの曲に頼っているところもあるから……いや、VAMPSの曲をライヴでやること自体は全然いいんだけど、それ以上にやりたいことがすでに僕の頭の中にあるんですよ。そういう意味でも完璧に今の自分の曲でライヴのメニューを揃えたい。もっともっと自分のやりたい音楽を追求して表現したい。次のアルバムではそれが成立できると思うんです、アルバムが2枚あれば。次でやっと自分の理想形のライヴが作れると思ってるから。

──だからこそ頑張れる、と。では、もう次の作品の構想も……。

HYDE:とか言って、曲はできてないんだけどね(笑)。

──あはははは! でもイメージはあるんですよね。

HYDE:もちろん! 曲はどんどんできてるけど、まだレコーディングはしてないっていう。

──アメリカに渡れないとなると制作はどうされるんですか。

HYDE:だから次のアルバムは日本で作ろうかなと思ってる。日本でレコーディングして、ミックスは向こうでやるとか、そういう感じになっちゃうかなと思ってま
す。
──やっぱりコロナ禍の影響は大きいですね。制作もですけど、ライヴが思うようにできないという状況はきっと相当にもどかしいのではないかと思いますが、コロナ収束のめどが立たない今、闘い方を変えていくことも考えたりされませんか。

HYDE:それは全然考えてないですね。

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