【インタビュー】TK from 凛として時雨、「実際のライブを超えている部分をどこかで作りたかった」

ツイート

■音楽を鳴らすことにどれだけの
■可能性を見出せるかは自分次第

──9月からは『TK from 凛として時雨 Studio Live for “SAINOU” ~Film Gig Emotion~』として、スタジオライブの映像が全国の劇場で公開されるそうですが、企画の意図について教えてください。

TK:まだライブ会場で安心して公演を行うジャッジがシビアな中で、携帯だけで観るライブ以外の可能性を探ってたんです。偶然コロナの影響で劇場の空きもあり、実現できることになって。ライブビューイングなどは結構あると思いますが、あえて5.1chサラウンドで構築し直すことによって、一度配信を見た人にもライブの熱量と迫力を味わってもらいたいと思って。ステレオでそのまま劇場公開するほうが色んな意味で楽ではあるんですが(笑)、実際のライブを超えている部分をどこかで作りたかったんです。もちろんサラウンドなどの環境が優れていることが良いわけではないですが、音に包まれたり飛んでくる感覚というのは通常のライブではなかなか表現できないですからね。すべてをネガティブな代替えと捉えるのではなくて、今までにない表現としてアウトプット出来たら良いなって思うんです。

──ライブ映像の配信と劇場での公開に関して、TKさんご自身がミックスの作業に関わられているのでしょうか? もしそうであれば、どんな部分を大事にしましたか?

TK:劇場の5.1chミックスは僕も今回初めてで、機材を揃えて周りの人にもたくさん聞くところからスタートしました(笑)。最初はまるごとお願いしようと思っていたんですが、まだライブがどうなっていくか見えない状況ですし、元通りになったとしてもサラウンドで理想に近い音響で鳴らすことが出来るようになるのは、自分の今後において武器になると思ったんです。ただでさえ様々なスピーカー環境の劇場で理想の音で鳴らすのは難しいので、それだったら自分で挑戦して粉々になってみようかなって(笑)。僕は自分自身で極限まで好きな音を追い込むときと、自分にはないリスペクトしてるエンジニアの方にお願いして刺激をもらうやり方を交互にやることが多いですが、今回は前者ですね。なんとなく感覚として、劇場の音響がコントロール出来たらものすごい感動的だなって。僕は自分がライブしてるときに外音をコントロールすることも聞くことも出来ないですからね。自分がPAだったら、みたいな気持ちでミックスしました。


──劇場公開用に新曲も用意したそうですね?

TK:劇場だけで観ることが出来る何かを用意したくて、新曲を作ることにしたんです。とは言っても、劇場公開が決まったのも急だったので、周りは「さすがに間に合わないので、何かの弾き語りのほうが現実的かも」という感じだったんですが。僕としてはライブで初めて新曲を聴くあのドキドキ感みたいなものを、このタイミングで感じることが出来たらいいなと思って。しかも最初に聴くものがサラウンドミックスに出来たら面白いなと思ったので、色々な意味でぎりぎりのチャレンジでしたね。最初に四方八方から音が飛んでくるサラウンドミックスを作ってしまったので、逆にこれをステレオの2MIXにするのが難しいかもしれません(笑)。

──今後、以前と同じような状態でのライブがいつできるようになるかはまだわかりませんが、こういった状況下において、TKさんにとってのライブの意味や重要性をどのように感じられていますか?

TK:ライブはいつも僕の心をズタズタにしていきますからね(笑)。それがない安堵に一瞬包まれたように思えて、結局、僕はあの (自分に対する)絶望感をエネルギーにして何かを生み出していたんだなって痛感しました。僕のライブは一瞬で壊れそうな瞬間の連続ですから、手放しにライブが最高でステージにいるだけで幸せを感じるなんてことはないですが、どこか一瞬繋がれる感覚があったりするんです。どこか自分がステージにいる違和感がいつもあって、でも極限まで向き合いながら音を出すというのがどれだけ自分にとって必要なものなのかっていうのは改めて感じられた気がします。

──なるほど。

TK:あとは、こういった状況になって、自分が何を生み出していけるかっていうのはとても興味があります。自分自身に。見ていたドラマやアニメの1シーズンが終わったとき、そこから時間が経って次のシーズンが公開されたとき、あれだけ物語を欲していた感覚を忘れてしまう。熱量を巻き戻すのに時間が掛かったりしますよね。きっとライブもそういう側面はあると思うんです。当たり前にあったエンターテイメントの影が薄くなっていって、その空いた穴には何かが容易に入ってきちゃったりもして。それは僕らだけじゃなくて、本能的にはファンの方も心のどこかで不安に思ってるかもしれないなって。それを無理やり繫ぎ止める必要はないんです。でも音楽を鳴らすことにどれだけの可能性を見出せるかは自分次第ですし、そういう意味でライブというものは、身体が楽器ということも踏まえて、今までもずっとどこか刹那的に捉えている部分はありましたね。

取材・文◎金子厚武



■フィルムギグ『TK from 凛として時雨 Studio Live for “SAINOU” ~Film Gig Emotion~』

9月4日(金)~9月17日(木) 21:20 東京・ヒューマントラストシネマ渋谷
https://ttcg.jp/human_shibuya/
9月4日(金)~9月10日(木) 19:30 大阪・シネ・リーブル梅田
https://ttcg.jp/cinelibre_umeda/
9月5日(土) 19:30 兵庫・シネ・リーブル神戸
https://ttcg.jp/cinelibre_kobe/
9月5日(土) 19:00 東京・イオンシネマ板橋
https://cinema.aeoncinema.com/wm/itabashi/
9月5日(土) 19:00 大阪・イオンシネマ茨木
https://cinema.aeoncinema.com/wm/ibaraki/
9月5日(土) 19:00 愛知・イオンシネマワンダー
https://cinema.aeoncinema.com/wm/wonder/
9月5日(土) 19:00 北海道・イオンシネマ江別
https://cinema.aeoncinema.com/wm/ebetsu/
9月5日(土) 19:00 宮城・イオンシネマ名取
https://cinema.aeoncinema.com/wm/natori/
9月5日(土) 19:00 福岡・イオンシネマ福岡
https://cinema.aeoncinema.com/wm/fukuoka/
▼チケット
発売:8月28日(金) 20:00
料金:3,500円 ※各劇場にて発売
※販売方法・期間につきまして各劇場の公式サイトをご覧ください。

Produced by TK
Directed by 最勝健太郎
■Support Member■
Bass: 吉田一郎不可触世界
Drums: BOBO
Piano: ちゃんMARI (ゲスの極み乙女。)
Violin: 佐藤帆乃佳


◆インタビュー【1】へ戻る
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス