【インタビュー】佐藤タイジ、フェス<THE SOLAR BUDOKAN>開催の真意を語る「今年できたこと/できなかったことが未来の指標になる」

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佐藤タイジがオーガナイザーを務めるロックフェス<中津川ソーラー>こと<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>が、2020年は無観客生配信および事前収録配信を融合したハイブリッド型オンラインフェス<THE SOLAR BUDOKAN 2020>として、9月26日(土)、9月27日(日)、10月3日(土)、10月4日(日)の4DAYSにわたって開催される。

◆佐藤タイジ 画像

実施会場は岐阜・中津川、福島・猪苗代、東京・中野サンプラザ、東京・Billborad Live Tokyoなど数ヶ所。生配信と事前収録配信、野外と屋内を織り交ぜた形となり、中津川会場では無観客ライブが生配信されるほか、事前収録ライブのうち中野サンプラザは<THE SOLAR BUDOKAN IN SUNPLAZA>として9月13日に座席数1/4以下動員で有観客ライブ開催されることも決定している。

多くの夏フェスが延期や中止を発表したコロナ禍において、“THE SOLAR BUDOKANプロジェクト”は今年6月、いち早く“ハイブリッド型オンラインフェス”としての開催を発表した。これまで同様、フェス運営に関わる電力が蓄電池を活用した太陽光発電でまかなわれることをはじめ、事前撮影および配信などの電力も太陽光発電によるもの。それを実現するためのクラウドファンディングでは多くの賛同を得た形だ。

<THE SOLAR BUDOKAN 2020>開催への苦悩と葛藤、“FUTURE CHILDREN”と題した今年のテーマ、未来への揺るぎない意志、そして現時点で明かすことのできる<THE SOLAR BUDOKAN 2020>の全容まで、9月初旬に中津川公園で訊いた佐藤タイジのロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■“太陽光発電”で“オンライン”開催は他にない
■“頑張っておかな”って使命感がありますね

──今年も例年通り1月に、<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2020>の開催が発表されました。そのときはまさか、こんな状況になるとは……

タイジ:全然思ってませんでしたね。だから、完全に別ものをゼロから立ち上げる感覚ですよね、今年は。いままさに、中津川公園に来てますけど、ここに至るまでの道のりも苦難の連続だったんですよ。たとえば、“この場所に観客を入れられるのか?”とか、“ここには入れられないという判断が出たときに、会場をどこにするのか?”とか。とにかく、いろいろな可能性をみんなで探って。結果、“中津川公園は無観客生配信ライブで、他の幾つかの会場で収録したライブ映像も配信する”みたいな感じに落ち着くまでは、本当にハードな状況でした。

── 一時は、中津川公園での無観客ライブもムリかもしれないっていう事態もあったとか?

タイジ:そういうウワサも出てたんですよ。その時は他の会場……たとえば日本武道館を視野に入れたり。それはそれで悪くないじゃないですか。

──初回の<THE SOLAR BUDOKAN> (2012年12月20日開催/2013年以降は中津川にて開催)は武道館開催でしたから。

タイジ:そう。あとは、いわゆるお客さんの入っていないホテルが会場の候補に上がったり。

──コロナの影響でキャンセルなどの打撃を受けちゃっているホテルを利用するということですか?

タイジ:そうそう。オレが考えたのはオリンピックの選手村。選手村の各部屋のバルコニーが客席で、そこから見えるところにステージを作るっていうアイデアだったんだけど、まぁいろいろと大変で(笑)。

──現在も大型フェスの延期や中止発表が続いている状況があります。そのなかでも、<中津川ソーラー>は6月にいち早く“リアル”と“オンライン”のハイブリッド型フェス<THE SOLAR BUDOKAN 2020>として開催することが発表されましたが、それはどういう理由からですか?

タイジ:僕はこのコロナ禍に、KenKen(B)と一緒に演ってるユニット“ComplianS”で3月いっぱいまでと、7月から8月初頭にかけてツアーを廻っているんですよ。そこで地方と都会のコロナに対する感覚のギャップみたいなものを、肌で感じていたということがまずあって。つまり現地の行政や住んでいる人たちと向き合う機会もあったんです。で、<THE SOLAR BUDOKAN>を開催する理由としては、このコロナの状況っておそらく元に戻らないじゃないですか。もちろん元に戻って欲しいという気持ちはオレにもあるし、みんなにもあると思う。だけど客観的に考えると戻らないし、もっと言えばこの2020年冬が最もリスクが高くなると思うんですよ。

──寒く乾燥した冬にウイルスが活発化するという説がありますね。

タイジ:“戻らない”ということを大前提として、最悪の場合を想定すれば、来年のほうがもっとキツイ状況……ハードロックダウンっていうことにもなりかねない。そうした場合、今年できることをやっておかなければ、来年はさらにハードになるっていう考え方をもとにした決断なんです。つまり、“配信だったら、やれるんやないか? 今年できることを100%やっておこう”と。それが来年につながると思うんですよね。

──なるほど。

タイジ:いろいろなフェスが中止や延期発表をしていて、もちろんそれはそれで大変なジャッジだったと思う。でも、オレは今年開催した経験値が来年、もの凄く役立つものになるはずだとも思っている。<THE SOLAR BUDOKAN>が“今年できたこと/できなかったこと”が、世界中のフェスのひとつの指標になるような。おそらく、“太陽光発電”と“オンライン”っていう開催形態は他にないでしょうし、“ここで頑張っておかなあかん”って使命感みたいなものがありますね。

──タイジさんがオーガナイザーとして発信したメッセージの中に、その発言と重なる部分があって。“いま、できることを全てやっておかないと未来はないのです”という言葉が印象に残っているんです。そして今年のテーマは“FUTURE CHILDREN”。そのテーマにもつながっていると思うのですが?

タイジ:日本は3.11の東日本大震災があって、そこから10年も経たないうちにコロナがきた。もうボッコボコやないですか。

──コロナに関して言えば、対応の遅れや対策の混乱の問題もありますし。

タイジ:3.11もそう。原発政策だったり放射性廃棄物処分の仕方みたいなものは、“将来、頭の良い人がなんとかやってくれるでしょう”っていう物凄い先送り感覚で進めてきたと思うんです。ただ、その“将来の頭の良い人”っていうのは、いま問題に直面している我々のこと……なんだけど、どないもでけてへんわけで。“FUTURE CHILDREN”はもともとネイティヴアメリカンの言葉でね、“オマエの七代先の子孫が、オマエのことを足元から見ているぞ”っていう意味を持ってるんですよ。現時点で水分とかミネラルとして大地に存在している“七代先の子孫”が、そこからオマエの行いを見ているぞっていう教え。それって、いまの時代の人類すべてが持つべき感覚なんちゃうかなと思っている。特に政治家の方々には、その視点を本当に持って欲しいんです。

──子孫や先祖に恥じない行動をすべきですね。

タイジ:未来の子どもたちにとって、いま我々がやっていることは“有効か/そうではないのか”、その視点があるとないでは大違いでしょ。先ほどの原発政策の話で言えば、かつての日本は“未来の子どもたち”の視点がなかったわけで。でも、本来日本人はリサイクルをはじめ、そういう考え方を昔から素養として持っているんだから、だったらじいちゃんやばあちゃんから教わればいんです。なのでオレは“FUTURE CHILDREN”というテーマを掲げて、“未来の子どもたちから見た視点”を広めたい、プロモーションしたいと思っているんですね。

──それがオーガナイザーとしてのメッセージの締めくくりとなる“未来の子どもたちは見ています。今、私たちが何をするのかを。未来の子どもたちは知っています。今、日本は変わらないといけないということを”という、決意にも似た言葉の真意なわけですね。“私たちは未来の子どもたちに「イェー!」と言ってもらう為に太陽の力で世界中に向けオンラインフェスをやりたいのです!”とも言い切っていますし。

タイジ:そういうことです。

──驚いたのは、こういう状況にもかかわらず、規模を縮小するどころかこれまでの2DAYSから4DAYSに増やし、中津川、猪苗代、中野サンプラザ、ビルボードライブ東京など、会場も4ヵ所になったということです。

タイジ:まぁ、そうやね(笑)。ただ、いつもの<中津川ソーラー>だったら中津川公園内に幾つものステージを作って同時に演っていたわけじゃないですか。それが配信となると、1チャンネルしかできないので、そうはいかない。結果、毎年やってきたようなメンツでやろうとすると、どうしても日程が増えることになるんです。それと、バンドの背景とか年齢によってもいまの状況に対する考え方にグラデーションがあるから、それに応えようとすると、いろいろなところで収録することにもなる。どこに正解があるかわからないからね。すると、運営スタッフが大変な労力を払うことになるんだけど、“それでもやり切る”っていうのが、今年の<THE SOLAR BUDOKAN>なんですよ。

──本番までにどこまでの情報がオープンになるのかわかりませんが、この物凄い手間暇は、愛情という言葉に置き換えることができますよね。東京会場となる中野サンプラザやビルボードライブ東京はコロナの状況を考えてのことだと思いますが、今回、猪苗代湖が会場のひとつに入っていまして。昨年7月に第一回目の<猪苗代THE SOLAR BUDOKAN>が開催されましたが、楽園のような景色に太陽光のクリーンな音がピッタリという印象でした。

タイジ:最高!でしたよね。今回はオンラインフェスだから、海外の人も観られるわけじゃないですか。だったら日本の美しい景色やカルチャーをしっかり見せたいと思って。おそらくこの先も選択肢として、配信はなくならないと思うんですよ。以前のような大規模なフェスができる日が戻ってきたとしてもね。であれば、できるだけ良い映像と音で届けることや、これまでテレビがやってきた方法論と違うやり方がどこまでできるのかを模索することが、オレはいますごく楽しみなんです。冒頭にも言いましたけど、まったくのゼロから始めることだしね。

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