【インタビュー】佐藤タイジ、フェス<THE SOLAR BUDOKAN>開催の真意を語る「今年できたこと/できなかったことが未来の指標になる」

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■視聴者も出演者も制作者もみんなヴァージン
■筆下ろしするのもされるのも自分ってこと

──ゼロから始めるという意味では、この<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>、通称<中津川ソーラー>も楽しさと同時に大変なこともいろいろあったと思います。今日は、その舞台となる中津川公園で取材させていただいているので、改めて<中津川ソーラー>の足跡について訊かせてください。2013年から世界初の太陽光エネルギーによる野外フェスとして<中津川ソーラー>がスタートしたわけですが、このロックフェスが担ってきた役割については、どのような感触を得ていますか? 初年度動員10,000人から昨年は30,000人と規模も増し続けています。これは多くの共感を得た結果と言うこともできますし。

タイジ:もちろん3.11がきっかけで始まったものですし、再生エネルギーだけでやり切るというコンセプトが一貫しているイベントなんですね。それはこの数年間で積み上げてきたことで、我々がやってきたからなのかはわからないけど、現在再生エネルギーはどんどんシェアを増やしている。<中津川ソーラー>が“再生エネルギーだけでここまでできる”って実証してきたことは、すごく大きいと思うんですよ。

──そのコンセプトに賛同したアーティストたちが集まると同時に、純粋にロックフェスとしての評価も高いという。

タイジ:すごく楽しいフェスですからね。2013年から毎年続けてきて、育っていることが実感できている。それを目の前で見られるというのは、喜びですし、幸せです。オレの娘が<中津川ソーラー>とちょうど同じ年で、今年小学校に上がったんですね。入学式が6月に変更されたように、<中津川ソーラー>も<THE SOLAR BUDOKAN>として2020年から完全にフェーズが変わった。新入生も新入社員も大変じゃないですか。でも、それは世界中のみんなが同じで。だから、なにかに文句を言うのではなくて、“どこまでやれるんや”っていうのをみんなで探していこうよって。<THE SOLAR BUDOKAN>のこれからって、そこだと思っているんですよ。

──<中津川ソーラー>は世界初の太陽光エネルギーによるソーラーフェスですが、今年の<THE SOLAR BUDOKAN>は世界初の太陽光エネルギーによるオンラインフェスということにもなります。この“オンライン”に関わる電力も太陽光エネルギーでまかなうそうですが、そこまでこだわったのは?

タイジ:配信を含む電力のすべてを太陽光エネルギーでまかなうフェスですから。おもしろいのが、<THE SOLAR BUDOKAN>の物販のひとつに、視聴者のみなさんがおうちのPCやスマホで使えるモバイル太陽光発電キット(ソーラーチャージャー)があるんです。そのソーラーチャージャーを配信日の4日間、みなさんに使っていただければ、完璧な“SOLAR BUDOKAN”になる(笑)。

──<THE SOLAR BUDOKAN 2020>の支援プロジェクトとしてクラウドファンディングを9月4日まで実施していましたが、リターンMENUにもソーラーチャージャーがありました。太陽光発電設備の設置費用や運搬費用、スタッフ経費などの支援協力を目的としたこのクラウドファンディングには、物凄いたくさんの方々の協力が集まりましたね。

タイジ:本当にありがとうございました!


──今回は<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>から“中津川”の文字を取って、<THE SOLAR BUDOKAN 2020>というタイトルで実施されることになりました。冒頭で、日本武道館での開催も視野に入れていたということを明かしていただきましたが、初年度(2012年)は日本武道館にて<THE SOLAR BUDOKAN>名義で行われました。改めて、このときはなぜ日本武道館で、しかも真冬の12月に、ソーラー電力100%のイベントを開催しようと思ったのでしょうか?

タイジ:2010年冬にシアターブルックでツアーを廻ったんですけど、その中で出た話だったかな。シアターブルックは日本武道館でライブをやったことがなかったので、「一度は武道館をやらないと、ロックスターとして死ねない」と。2011年に入ったあたりで、日本武道館公演を実現するための実行委員会を作ったんです。ところが3.11がドーンときて、それどころではなくなり、救援物資を募るプロジェクト“LIVE FOR NIPPON”を立ち上げたんですね。3.11によって多くの被災者が出て、原発事故が起こり、日本中がとんでもないことになってしまった。もちろんいまも全然終わっていないわけですが、だからといって、自分の夢である“武道館公演”を取り下げる必要はないだろうと。ただ、そこで時代が大きく変わったことに間違いはないわけで、従来の武道館公演のやり方ではダメだと思ったんです。“だったら電力のすべてをソーラーでやればええんちゃうか?”って、ほんの2秒で答えが出たんですよ。

──“初めてのことに挑戦する”とか、“時代が転換期を迎えた”という意味では、今回と初回武道館公演には共通する部分が?

タイジ:完全にありますね(笑)。

──初のソーラーによるオンラインフェスの成功を祈っています。で、これは“配信ライブあるある”なんですけど、先を急いでチケットを入手する必要がないんですよね、配信ライブって。売り切れの心配がないし、みんなが最前列をキープできるので。ただ、当日見逃してしまうことのないように、“見とかんと損するで”というポイントを<THE SOLAR BUDOKAN>のオーガナイザーからお願いします。

タイジ:そりゃ、見とかんと損するでしょ、“ソーラーでオンライン”のフェスなんて、世界初なわけですから。要するに、視聴者も出演者も制作者もみんなヴァージンなわけですよ。“この貴重な瞬間を体験しないで、果たして音楽好きと言えるのか、キミは?”という話です。その筆下ろしの模様を目の当たりにするのか、ほったらかして見逃すのか。まぁ、人それぞれいろいろな人生がありますから一概には言われませんけど、見ておいたほうが後々、「<THE SOLAR BUDOKAN 2020>はソーラーでオンラインでやったで。大変そうやったな。でも、それができんねんな。オレは見てたで、あれ。すごかったで」と言うことができますよね。ここから先もフェス文化は続くわけで。みんなが参考にすると思うんですよ、<THE SOLAR BUDOKAN 2020>を。

──歴史の目撃者であり、参加者にならなくては損ですね。

タイジ:そうそう。筆下ろしするのもされるのも自分っていうことです。音楽ファンなら筆下ろされたいでしょ(笑)。

──もうひとつ、9月13日(日)に東京・中野サンプラザで行われる<THE SOLAR BUDOKAN IN SUNPLAZA>は、キャパシティの1/4以下の参加人数で最大限の注意喚起を行い、徹底した安全対策と共に開催されることが決定しています。現在まで奥田民生さん、ストレイテナー、OAU、そして佐藤タイジさんの出演が発表となっていますが……ということはいろいろと期待してもよいのでしょうか?

タイジ:ええ、今年はあっちこっちで呼ばれもしないのにギターを弾いたろうと思ってます。「ギターソロが長いわ!」って言われに行くっていうね(笑)。

──では4日間、ソーラー電力による素晴らしい音質でタイジさんのギターが聴けそうですね。しかも至るところで。

タイジ:去年までの<中津川ソーラー>の環境であれば、音が良いのは当然なんだけど、今回はフェスとしては初の配信……筆下ろしですからね。とはいえ、ソーラーならではのクリアな音質の良さにはこだわりたいと思ってます。

取材◎中村貴子
構成・文◎梶原靖夫 (BARKS編集長)



■ハイブリッド型オンラインフェス<THE SOLAR BUDOKAN 2020>

▼DAY1
9月26日(土)15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月2日(金)23:59まで
出演者:シアターブルック / a flood of circle / 怒髪天 / 奥田民生 / ...and more
▼DAY2
9月27日(日)15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月2日(金)23:59まで
出演者:ACIDMAN / the band apart / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS / 武藤昭平with ウエノコウジ / Nothing’s Carved In Stone / ...and more
▼DAY3
10月3日(土)15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月9日(金)23:59まで
出演者:四星球 / ヤバイTシャツ屋さん / ストレイテナー / ...and more
▼DAY4
10月4日(日)15:00〜21:00
※アーカイブ期間:10月9日(金)23:59まで
出演者:ROTH BART BARON / 10-FEET / OAU / ...and more
【チケット】
販売開始:9月9日(水)18:00〜イープラスにて
https://eplus.jp/tsb20-st/
・1日券:3,000円 (税込)
・1日券 [サポート1000]:4,000円 (税込)
・1日券 [サポート2000]:5,000円 (税込)
・4日通し券:10,000円 (税込)
・4日通し券 [サポート1000]:11,000円 (税込)
・4日通し券 [サポート2000]:12,000円 (税込)
■4日通し券は限定500枚、販売期間が限られております■※カード決済のみ
※4日通し券 第1次受付:9/09(水)18:00~9/15(火)18:00
※4日通し券 第2次受付:9/15(火)18:00~9/17(木)23:59
■通常のチケットと合わせて、1,000円、2,000円をプラスした「サポートチケット」の販売も実施■
・サポートチケットは THE SOLAR BUDOKANプロジェクトの活動資金、活動を支えてくれているステージスタッフの活動資金として活用させて頂きます。
・サポートチケットと通常チケット、配信されるライブの内容は全て同じですので、ご賛同頂ける方のみサポートチケットをご購入頂けますと幸いです。

▼<THE SOLAR BUDOKAN IN SUNPLAZA>
2020年9月13日(日) 東京・中野サンプラザ
出演:奥田民生 / ストレイテナー / OAU / 佐藤タイジ
集客人数:700名 (座席数1/4以下動員)
※東京での開催は(会場:中野サンプラザ)での事前収録のみ、少人数限定でのリアルイベントとして開催。最大限の注意喚起を行い、徹底した安全対策と共に開催致します。
※現在の社会情勢と政府ガイドラインを基に、集客人数を700名に増員
【チケット】
5,000円 (税込)
※Sold Out!
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888

【オンライン+リアル/事前収録+生配信のハイブリッド型フェスとして本年は開催】
・現在の社会情勢を鑑み、中津川会場でのリアルフェス開催は行わず、オンライン視聴の配信スタイルとして行います。
・THE SOLAR BUDOKANプロジェクトが、事前に撮影したライブパフォーマンスと、開催当日の生パフォーマンスとを融合。中津川、猪苗代、中野サンプラザ、Billborad Live Tokyo など“野外”と“屋内”を織り交ぜ、ハイクオリティな映像と音をお届け。
・中津川は無観客として実施。東京 中野サンプラザでの事前収録のみ、少人数限定でのリアルイベントとして開催。キャパシティの1/4以下の参加人数で、最大限の注意喚起を行い、徹底した安全対策と共に開催致します。
【“100% SOLAR”でのオンライン配信を目指して】
・事前撮影、生配信ともに太陽光発電での蓄電池を活用したSOLAR電力で開催します。また、オンラインにて自宅でも使えるSOLARモバイルバッテリーの販売も行います。


■<THE SOLAR BUDOKAN 2020>オフィシャルグッズ販売スタート

販売期間:9月9日(水)18:00~10月9日(金)23:59
https://shop.eplus.jp/solarbudokan/
※オンラインで受注生産販売


■<THE SOLAR BUDOKAN 2020>フェス飯オンラインショップ開店

販売期間:9月5日(土)10:00~9月13日(日)23:59
http://solarbudokan.com/2020/food/
※<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>に出店した飲食店舗の提供による、フェスならではのご当地グルメ、人気グルメのオンライン販売が決定。自宅でフェス飯を堪能しながら、ライブ配信をお楽しみください。



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