【インタビュー】10-FEET、新曲「シエラのように」をKOUICHIが語る「いい意味の違和感と可能性を感じた」

■京都ミューズを借りてステージ上で
■ライブさながらのアレンジ作業だった

──自宅ではエレドラも叩いているじゃないですか。パッドに歓声のサンプリング音源を入れて、スティックで叩いてそれを鳴らすとかは？

KOUICHI：そういうのも考えたんですよ。エレドラのパッドもセットして、僕が勝手に自分のタイミングで歓声を出すっていう。観ているお客さんのタイミングじゃなくて（笑）。

──KOUICHI先生が藤井フミヤさんの曲を歌い終えたとき、今までにない大歓声を自分で鳴らしてみたり（笑）？

KOUICHI：それか、自分のコーラスを全部パッドに入れておいて、叩きながらコーラスをポンと出すとかね（笑）。この状況下でのライブは、アイデア勝負やと思うんですね。“これは新しいな”って喜びが、みんなの抱えている不安を上回るような、そんな空間を作れたらと思います。

──KOUICHI先生のことなので、確実になにかおもろいことやるんでしょうね。

KOUICHI：タダじゃ終わらないですよ、10-FEETなんで（笑）。

▲KOUICHI (Dr, Cho)

──そのツアーで確実に披露する新曲を収めたシングル「シエラのように」が、今、完成したばかりです。7月に行った前回のBARKSインタビューでは、「ありそうでなかった曲」と語っていましたね。

KOUICHI：最初にTAKUMAから「シエラのように」のデモが送られてきて聴いたとき、いい意味の違和感があったんですよ。いつもTAKUMAから送られてきたらすぐに聴くんですけど、一回目に聴いた印象が今までのデモとは違った。アレンジ次第でいろいろできるやろうっていう、可能性をすっげえ感じて。でも、これは今までとはちょっと違う曲になるんかなとは思いましたね。結果、これが完成形なんやろなってアレンジにできたと思います。完成形になるまでにいろいろやりましたけど。

──アレンジ作業は、3人でスタジオに入って進められたんですか？

KOUICHI：そんなに回数は入れなかったんですけどね。デモの段階で1コーラスはほぼできていて、ビートとかはほぼ原曲に近い。そこからみんなでアレンジを考えたんですけど、メロディがちょっと変わったぐらいですね。そうそう、アレンジをした時期ってスタジオも開いてなくて。それで、京都ミューズを何回か借りて、アレンジ作業をしたんです。アレンジしていたとき、“これはライブでグッと来るような曲になるな”って思いましたよ。

──京都ミューズのステージに、いつものライブみたいに機材をセットしたんですか？

KOUICHI：そうそう。客席側を見ながら、本当のライブさながらにアレンジを。ミューズをスタジオ代わりに使うなんてこと、今まで経験したことがなかったし、そんなふうに作業したのも初めてなんです。ステージでやって、ライブの感覚を味わいながらアレンジできたし、実際のライブもイメージできましたね。お客さんが入ったら、こうなるんやろうなとか、いろいろイマジネーションが膨らみましたよ。

──環境は大事ですよね。いい環境だと気持ちも入りますから。言ってみれば10-FEETの本当の現場ですし、ライブハウスは。

KOUICHI：そこで新曲のアレンジをやってるわけですからね、いいものが湧き上がってきますよ。お客さんは前にはいないけど、全員が前を向いてステージ上でやっているだけで、通常のスタジオとは全然違いますね。通常のスタジオでは3人が向かい合ったり、TAKUMAとNAOKIは椅子に座ったりとか、リラックスしながらやるんですけど、部屋も狭いし、アレンジ中に煮詰まると空気も重くなったりすることがあるんです。でもミューズのように広いところだと、そういう空気も分散されて、重苦しい雰囲気にはならなかった。ライブハウスのステージで作曲すると、また違う発想も生まれたりするんやろうなって。だからプラスしかないやんって。今回はホントにライブさながらで、すごくいい時間でした。

──照明さんも気合いを入れて、無駄にスモークもたいたりとか（笑）？

KOUICHI：照明さんがいたらヤバいっすよね、アレンジ作業に（笑）。上からスポットライトを当てたりとか（笑）。さすがにそれはなかったですけど。

▲「シエラのように」完全生産限定盤ジャケット

──レコーディングでは、ミューズでアレンジした雰囲気もパッケージした感じですか？

KOUICHI：そうですね。レコーディング直前までミューズでやっていたんで、その感覚のまま録りました。完成した今は、早くお客さんありのライブでやりたいなっていう。

──ツアーの初日が京都ミューズですよ。

KOUICHI：そうなんです。まるで、最初から出来上がっていたストーリーみたいに。人数は制限されていますけど、お客さんを入れてミューズでツアー初日を迎えるんで、多分、制作していたときのことがパッと蘇ると思うんです。すごく楽しみです。

──「彗星」と「あなたは今どこで誰ですか？」も、ミューズでアレンジしたんですか？

KOUICHI：ミューズでもやりましたけど、他のスタジオとか、録りが始まってから東京のレコーディングスタジオでもやってました。

──そういう生活、日常が少し戻ってきた感じですね。

KOUICHI：そうですね。ほんまにスタジオとか開いてなかったですからね、4月とか5月は。自宅に電子ドラムはありますけど、やっぱ生ドラムとは全然ちゃうんです。生ドラムでデカい音を叩くのが気持ちいいんですよ。

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