【インタビュー】“次元の垣根”を超えるGEMS COMPANY

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スクウェア・エニックスがプロデュースするアイドルグループ「GEMS COMPANY」。2018年4月より水面下でYouTube上でメンバーが配信活動を開始し、同年8月18日に結成、そして2020年にエイベックスよりメジャーデビューを果たした。

◆撮り下ろし画像

プロデューサーは『ドラゴンクエストX オンライン』や『NieR:Automata』などで知られる齊藤陽介らが務め、CGのクオリティーは業界最高峰のスクウェア・エニックスが手掛ける。さらにでんぱ組.inc、虹のコンキスタドールなどが所属するディアステージとの共同プロデュースによって、今までにない新時代のアイドルグループとして活動している。

今回BARKSではGEMS COMPANYが10月21日にメジャーデビューアルバム『precious stones』をリリースすることを記念して、プロデューサーの髙橋祐介とメンバーより水科葵、一文字マヤにインタビューを行った。

  ◆  ◆  ◆

■メンバーたちが成長していく姿を一緒になって楽しんで欲しい

──GEMS COMPANYはYouTubeの配信主が集まった女性アイドルユニットですが、そもそも、どういった趣旨のもとに始まったプロジェクトだったんでしょう?

髙橋祐介:ゲーム制作で培ってきたスクウェア・エニックスのノウハウを活かして、新たなコンテンツを生み出していきたいというところが、最初のキッカケでしたね。ウチのエグゼクティヴ・プロデューサーで、『ドラゴンクエストⅩ』や『ニーア』シリーズを手掛けてきた齊藤陽介が、昔、ニューヨークで初音ミクのライヴを観たときに感化されたらしく、新しい形でアイドルというものを作っていきたい……と。

──なるほど。その“新しい形”とは?

髙橋祐介:メンバーたちが成長していく姿を、ファンの方も一緒になって楽しんでいただけるようなコンテンツということです。なので、最初はスクウェア・エニックスの名前はあえて出さず、メンバーそれぞれに配信を独りで始めてもらったんですよ。そこで喋ったりだとか、人前で歌ったりっていう訓練を積んでもらって、アイドルグループとしての結成を発表したのが2018年の8月ですね。ファンの方たちとリアルタイムでコミュニケーションを取ってもらう、いわゆる“生感”というものを、我々は大事にしたかったので。


──メンバーには歌、ダンス、ゲームとそれぞれの得意分野があり、それぞれに夢があるのも大きな特色ですが、今日、来てくださったお二人の夢を教えてもらえます?

水科葵:私はシンガーです。地元は大阪なので、今回のプロジェクトは大阪を出て上京するための、いいキッカケでもあったんですよ。やっぱり情報量も活動の場も一番多いのは東京ですし、そこでチャレンジしたかったんです。

一文字マヤ:私は声優になりたくて。自分の声に特徴があるのは自負しつつ、最初はメチャメチャコンプレックスも感じていたので、それを強みに変えようと、このプロジェクトに参加させてもらいました。



──ちなみに、以前から配信はされていたんですか?

水科葵:まったく……。そもそも陰キャの人見知りなので、友達も少ないし、人とコミュニケーション取るのもすごく苦手なんです。なので、配信中にファンの方がかけてくださる言葉を一つずつ拾っていきながら、見えない相手と会話をするというのはすごく新鮮でした! 友達みたいな絶妙な距離感で話せる相手が大勢いるっていうのが楽しくて……そうですね、友達が増えました(笑)。

一文字マヤ:そういう意味では私、みずしー(水科)とは正反対のタイプなんですよ。メチャメチャアクティヴで、昨日も朝の2時まで飲んでたのに、今日は朝からスポーツやりに行ったくらい。人と喋るのもとっても好きなんで、配信だと画面があるのが逆にもどかしいんですよね。すぐ会いに行って喋りたいし、一人ひとりに「君は最高だよ!」とかってハグして回りたい!

水科葵:カッコいい(笑)。

一文字マヤ:でも、配信だと遠くの人とも出会えるし、たまに海外のお客さんが観に来てくださることもあるんで、いろんな人とコミュニケーションできるのは楽しいです。

▲一文字マヤ

──特に、一文字さんはバイリンガルですもんね。

一文字マヤ:はい。なので、英語で話しかけられたときに「今、こういう話してるよ」って説明したり、ゲームの英文を日本語に訳しながら配信することもあります。結成を発表したときも、ファンの方々が“おめでとう!”って言ってくださって、また一段と団結力が上がったんじゃないかな。

──ちなみにGEMS COMPANYというグループ名の由来は?

水科葵・一文字マヤ:(髙橋に向かって)どうなんですか?

髙橋祐介:よく演劇とかで、舞台の座組を“カンパニー”って呼ぶじゃないですか。それと同じで、このカンパニーでいろんなものを創り上げていこうという意味合いと、芸能経験がゼロのメンバーを宝石の原石に例えて、いろんな経験を積み上げながら光り輝いていきたい……という願いを込めてのGEMS COMPANYですね。あとは“ジェムカン”っていう略称も、ゴロが良くて親しみやすいじゃないですか。

──確かに(笑)。

髙橋祐介:で、このグループ名を発表した結成日の2018年8月18日に、最初のユニット楽曲もサプライズで発表したんです。当時12人いたメンバーを5ユニットに分け、それぞれの個性とユニットを掛け合わせたイメージで音楽クリエイター集団のMONACAさんが楽曲を制作してくださり、そこから順にユニット曲を公開していったという流れですね。ただ、水科と桃丸ねくと(2020年3月卒業)が歌う「形而境界のモノローグ」なんかは、二人ともそんなにガーッ!といくイメージじゃないので、こんなテンポの速い曲でいいのか?みたいな話もしつつ、いざ、GOを出したらスゴいのが来て(笑)。

──ダンサブルなテイストもありつつ、ミステリアスなところはキャラに合っているような気もしますが。

水科葵:作曲の瀬尾祥太郎(MONACA)さんが、私たちの発音や歌い方まで、すごく細かく配信を見て研究してくださったんです。それが曲の中にギミックとして入っていたりするので、本当に“ありがとうございます!”って感じですね。ユニットで歌うというのは初めてだったので、どう声色のコントラストを出すか?とか、ねくととはいっぱい話しましたし、すごく思い出深い曲です。

一文字マヤ:私と赤羽ユキノ、花菱撫子(2020年3月卒業)の3人からなるユニットはMATULIPっていう名前で、これは“熟した”っていう意味の“MATURE”と、私たち3人を“TULIP”の3色になぞらえて掛け合わせた造語なんですよ。というのも、私たちってジェムカンの中でも大人組で、通称“アダルトチーム”って言われるくらいなんですね。そんな大人にしか表せない色気だったりセクシーさを出しているのが、ユニット曲の「DESIGNED LOVE」です! 私、歌うときに声がメチャメチャ可愛くなる癖があって、一番のサビ前にある“レッスンはいらないの”っていう台詞を担当させてもらえたのも、そのおかげかなって。

──ドキッとしますよね。そうして曲が出そろったところで、2019年6月に初ライヴを?

髙橋祐介:そうですね。ユニット曲5曲に全体曲を合わせて、全部で6曲か7曲かオリジナル楽曲ができた時点で開催しました。

一文字マヤ:最初はホントに手探りで、もう、どうなるのか全然わからない状態だったんですよ。ダンスレッスンの時点でガチガチで、歌いながら踊るって大丈夫かな?みたいな不安がすごくて。でも、終わったときには達成感と充実感、みんなとの絆が生まれて、抱き合って泣きながら「よくできた! お疲れ様!」ってなったのを覚えてます。

水科葵:私は団体行動がすごく苦手なので、最初の公演とかはホントに緊張で固くなってしまって。煽りを入れられる余裕も無かったし、声も全然出なかったんですけど、最終日になるにつれて、その場のリアルな感情から出た歌声や声を届けられるようになったのは、すごく嬉しかったですね。ずっと画面越しでしか接したことのなかった人たちの声を初めて聴けたり、実際に熱量を感じて“そばにいる”って思うと、すごく温かかったです。

▲水科葵

──そして10月21日に、アルバム『precious stones』で遂にメジャーデビューを果たすわけですが、今の率直なお気持ちは?

一文字マヤ:メチャクチャ嬉しいです! そもそもCDを出させていただけるなんて、誰もが経験できることではないし、このメジャーデビューによって勢いづくところも絶対にあるだろうから、その勢いに負けないように私たちが先陣切って頑張っていきたいですね。

水科葵:インディーズで出したのはミニアルバムだったので、ようやく曲が増えて全体曲も3曲になって。自分たちの楽曲がフルに詰まったものを出せるとなると、“やった!”っていう気持ちはあります。

──これまでに制作されたGEMS COMPANYの全オリジナル曲が収録されていますが、先ほどお話に出た5ユニットの曲や全体曲の他にも、新たなユニット曲や水科さん、長谷みことさんのソロ曲もありますね。

髙橋祐介:既存の5ユニットの他にも、また違う面を引き出したくて、例えば水科、赤羽、星菜日向夏、長谷みことの4人で歌っている「ネットの神様」は、ニッポン放送の吉田尚記アナのプロデュースなんですよ。もともとGEMS COMPANYのことをメチャクチャ見てくださっていて、番組にゲストに呼んでいただいたりっていうご縁から、ふと「よっぴーさん、プロデュースしてみます?」ってお声がけしたところ、「え、やっていいんですか!?と(笑)。なのでメンバー選びからコンセプトから全てお任せして、作曲をMONACAの田中秀和さん、作詞を桃井はるこさんにお願いしたいっていうのも、よっぴーさんたっての希望だったんです。


──なるほど。よっぴーさんプロデュースと聞いたら、このサブカル感も納得です(笑)。

髙橋祐介:あと、水科ソロの「鮮紅の花」は、もともと弊社の『君死ニタマフ事ナカレ』というマンガを原作にした舞台がありまして、音楽プロデュースにMONACAのメンバーが入っていたこともあり、水科に主題歌を歌ってほしいというオファーがあったんです。かつ、本人に作詞もしてほしいと。


水科葵:舞台の主題歌である以上、主人公や登場人物の心情だったりストーリーの流れがわかるような曲にしたくて、舞台の台本は結構読み込みましたね。この曲や「形而境界のモノローグ」はアップテンポなんですけど、「メロウ」は私が普段弾き語りでバラード曲をカバーしているのを瀬尾さんが評価してくださって、それで生まれたバラードなんですよ。なんか「水科葵から水の鼓動を感じました」っていう、すごくセンスのあるお言葉までいただいてしまって……。

髙橋祐介:名前の漢字だけの話じゃないの?

水科葵:違います!

髙橋祐介:(笑)。もともとはメンバーそれぞれにTシャツのデザインをしてもらって、一番売れた人にご褒美をあげるっていう企画をやったんです。で、水科と長谷が1位、2位になったので、じゃあ、ご褒美でソロ曲を作りましょうと。どちらもMONACAさんが“この子が歌うからこの曲!”みたいな作り方をしてくださったおかげで、本人たちの個性をキッチリ表現する素晴らしいものになりましたね。作詞も自分たちでやってもらいました。

水科葵:デモ音源に水のブクブクした音が入っていたので、そこから人魚姫のお話が思い浮かんだんですよ。なので、元からある『人魚姫』の物語に水科葵としてのストーリーを重ねて、書いていった歌詞を瀬尾さんに見ていただいたら、アレンジもどんどんファンタジーになっていって! ミュージックビデオを作る際も自分のイメージや意見をたくさん盛り込んでいただけて、すごく大事な曲になりました。


──ちなみに『人魚姫』のラストは泡になって消えてしまいますが、この曲は?

水科葵:続いていきます! 簡単に物語を説明すると、まぁ、陰キャがいて(笑)。メンバーと出会って、すごく素敵な世界に連れて行ってもらうんです。その場所の名前が“銀色世界”で、私が上京したときに見た海の色が、太陽の反射で銀色に光っていたんですね。つまり“銀色世界=それぞれの未来”であって、これからGEMS COMPANYがどうなっていくかなんて誰にもわからないけれど、そういったキラキラした憧れを目指して、ファンの皆さんと一緒に歩いていこう……っていう前向きな歌詞になってます。

一文字マヤ:もし、私がソロ曲を作ってもらえるとしたら、ちょっと妖艶さもありつつ、お酒を飲んで男の子を落とそうと頑張っちゃう小悪魔な感じの曲がいいな。お酒がすごく好きなんで。

水科葵:似合う! メッチャいい!

一文字マヤ:嬉しい! そういうダンサブルでノリやすいんだけど、ちょっと可愛い女の子の面も見せられる曲が、いつかやれたらいいな。

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