矢井田 瞳、コロナ禍でヤイコが示した希望の光

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10月14日に通算11枚目となるニューオリジナルアルバム『Sharing』をリリースしたばかりの矢井田 瞳が、そのリリース記念と、メジャーデビュー20周年の節目を記念したライブコンサート<20th Anniversary Release Live『Sharing』>を開催した。有観客&生配信のスタイルで、当然と言うべきか、会場となったZepp DiverCity(TOKYO)への入場チケットは早々とソールドアウト。ライブ前から並々ならぬファンの期待がうかがえたわけだが、ヤイコはそのオーディエンスの想いをしっかりと受け止め、新旧織り交ぜた選曲で堂々たるパフォーマンスを繰り広げた。

1曲目は、アルバム『Sharing』でもオープニングを飾った「いつまでも続くブルー」のバンドバージョン。軽快なテンポと、文字通り青空のようにクリアなメロディが清々しい。続いては「I'm here saying nothing」「Buzzstyle」と、2ndアルバム『Candlize』からシングル曲をチョイス。彼女のメロディラインのポピュラリティの高さと、シンガーとしての確かなポテンシャルが示されたナンバーだ。そこから、ポップかつ疾走感溢れる「Dizzy Dive」へとつながり、ショウは熱を帯びていく。

目の前のオーディエンスに「やっと会えたね」とヤイコ。着席で適切なディスタンスを取りつつ、歓声もない状態と、まだフルスペックとはいかないコンサートだが、そこに人がいるかいないかで気持ちはかなり違うのだろう。若干緊張気味ではあったが、彼女の表情もこれまでより明るく感じられた。バンドメンバーを紹介したあと、配信を見ている人たちにも気を配りながら、モニターに向かって「最後まで熱い夜にしようね」と語り掛ける。


ヤイコ自身、念願の関西弁ソングが作れたと言う関西限定シングルになった『Sharing』収録曲「ネオンの朝」。落ち着いた、言わば大人なグルーブを聴かせる「未完成のメロディ」。そしていずれも確かな歌の旋律を支えるしっかりとしたバンドアンサンブルが印象的な「MOON」と「Chapter02」を披露したあと、キラーチューン中のキラーチューン「My Sweet Darlin'」が登場。中盤で早くもクライマックスのような盛り上がりだ。そのバラエティに富んだセットリストそのものが20周年の貫禄と言ってもいいだろう。そこから暗転して、演奏されたのは「Over The Distance」。初期から大切に歌われてきたバラードナンバーであるが、「距離を超えて」との意味合いが図らずもこのご時勢に重なり、さらに大事な曲となったことは間違いない。

YouTubeの配信でこの日のライブで聴きたい楽曲を募ったところ、寄せられた多くのリクエストの中から、そのタイトルを見てヤイコ本人がピピピと来たというTracy Chapmanのカヴァー「fast car」。『Sharing』収録曲のタイトルを発表した時、SNSで「何このタイトル?”と騒がれたという「かまってちゃん。」。この2曲はヤイコの歌と西川進のギター演奏だけで披露。とは言え、しっとりと…という感じではなく、あくまでもポップに聴かせるところに、とてもヤイコらしさが出ていたようにも思う。


後半は、昨年来、共にライブを重ねてきた高高-takataka-のカバー曲「It's too late?」から。これも「すごく納得いく作品がリリースできた」と語るアルバム『Sharing』に収められたナンバーだ。そこから、「プログレか?」と思うほどに複雑なイントロの「B'coz I Love You」へ。その演奏中、「Hey、Hey、Hey、TOKYO!」とヤイコが煽れば、素人目にも明らかにバンドがヒートアップしていく様子が分かる。続く「アンダンテ」「ママとテディ」とキレッキレのビートで迫るアップチューンは、ヤイコを含めて演奏するメンバーがとにかく楽しそうで、見ているこちらのテンションも自然と上がる。ここぞ、まさしくクライマックス。演奏後に「感無量です」と言ったヤイコの台詞は偽らざるところだっただろう。

「希望の光は忘れず持っていてほしい」と語ったあとで披露された「あなたのSTORY」のバンドバージョンは、アルバム『Sharing』でもラストに「ボーナストラック」として収められているナンバーで、コロナ禍の中で作られた楽曲とあって、この日のフィナーレにも相応しい。そのアウトロで「音楽、最高!」叫んだヤイコ。どのアーティストも未だ思うようにライブが開催できない中、思わず口にした本気の想いだったであろう。そして、それは同時にこの日のパフォーマンスが充実し切ったものの証左であったようにも思う。


アンコールは、これもまた代表曲のひとつ「Look Back Again」を挟んで、『Sharing』収録の「きっとJust fine」と「はだしのダイアリー」を演奏。「始まる前はドキドキだったんですけど、今は心がホクホクです」と語った通り、見ているこちらも何だかホッとするような大団円であった。最新作『Sharing』収録曲に加えて、ヒットチューンだけでなく、レアな楽曲も演奏されたこの日のライブは、20年間、音楽シーンのメインストリームを走って来た矢井田 瞳のシンガーソングライターとしてのプライド、そして未来を感じさせる一夜だったと言える。この日の模様は、11月9日(月)23:59までアーカイブ配信されているので、生鑑賞できなかった人もその姿を確認してほしい。


<矢井田 瞳 20th Anniversary Release Live『Sharing』>

2020年10月31日(土)
開場:17:00/開演:18:00(サイトオープン:17:30/配信開始:18:00)
【会場】Zepp DiverCity TOKYO
【バンドメンバー】ギター西川 進・ベースFIRE・ドラム水野 雅昭・キーボード鶴谷 崇
1.いつまでも続くブルー
2.I'm here saying nothing
3.Buzzstyle
4.Dizzy Dive
5.ネオンの朝
6.未完成のメロディ
7.MOON
8.Chapter02
9.My Sweet Darlin'
10.Over The Distance
11.fast car
12.かまってちゃん。
13.It's too late?
14.B'coz I Love You
15.アンダンテ
16.ママとテディ
17.あなたのSTORY
EN1.きっとJust fine
EN2.Look Back Again
EN3.はだしのダイアリー

【配信】Thumva:https://thumva.com/events/cU0HpLcu4wMx8iP
【アーカイブ配信】2020年11月1日(日)10:00~2020年11月9日(月)23:59
【視聴チケット】3,500円(税込)
【視聴チケット販売期間】2020年11月8日(日)21:00まで
〈販売プレイガイド〉
TICKET DELI http://ticket.deli-a.jp/
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