【インタビュー】Eins:Vier、21年ぶり新曲に変わらぬ本質と覚悟「今でありたい」

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Eins:Vierが11月25日(水)、ミニアルバム『five sights』をリリースした。30周年を記念したプロジェクト『Eins:Vier 30th Anniversary Project』の一環であり、自身21年ぶりの新曲が詰め込まれた同作品には、先行配信された「three stories」「100年の幻想」を含む新曲全5曲が収録された。その初回盤には名曲「Staying and walking」のセルフカバーがボーナストラックとして収められるほか、新曲5曲の撮り下ろしミュージックビデオ集『five sights [moved]』も付属するという濃厚な作品の完成だ。

◆Eins:Vier 画像 / 動画

Eins:Vierは2011年の再結成以降、断続的な活動を挟みつつ、2018年にセルフカバーアルバムのリリースと、それに伴う全国ツアーを実施。そして、2020年1月1日に結成30周年を記念して『Eins:Vier 30th Anniversary Project』始動を発表した。新型コロナウイルスの影響によって、イベントの中止やワンマン公演の延期を余儀なくされたものの、ついにリリースされる『five sights』はEins:Vierの変わらぬ本質も新たな側面も凝縮された仕上がりだ。

前述した「100年の幻想」「three stories」に加え、「I mean what I say」は昨年3人がスタジオに入って作り上げたものであり、「touch or don't touch you know」と「Come on loser」はYoshitsuguの自宅にてLunaと二人でサウンドを作り上げたという。ボーナストラックを含む全6曲に込められた熱量は高く、2018年の全国ツアーで培ったバンド感はどこまでも躍動的で、サウンドは果てしなく突き抜ける。そしてHirofumiによるリリックは、バンドのリアルを物語って感動的ですらある。収録された1曲1曲についてじっくりと話を訊いたロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■Eins:Vierらしさを意識したのが
■「three stories」だった

──最新ミニアルバム『five sights』が完成しました。前回の取材ではリズム録りを終えた段階でしたが、その後のレコーディング進行状況はどんな感じでした?

Luna:リズム録りのときはコロナ渦だったけど、まだ外出が許されてた時期で、リズムを録り終えるところまで無事に間に合ったんです。ギター録りはもともと自宅でレコーディングする予定でしたし。

Hirofumi:でも歌録りのときは、もう世間が騒いでいて、緊急事態宣言の直前でしたね。不要不急の外出は避けてくださいという状況で。ただ、これは必要な外出だという理由で、コソーッと外出して、スタジオで歌ってというのを繰り返したり。エンジニアと二人で、完全にブースも分けて、レコーディングを進めましたね。

Luna:ところが当初予定していた発売日を延期することになって。時間に余裕ができたんで、ミックスとかに時間を掛けることが可能になりました。あと全曲のミュージックビデオを撮ったのも、その時間に生まれたアイデアだったんです。もともとのプランにはミュージックビデオの撮影は予定していなかったので。だから結果的に充実した作品に仕上げることができたという。

▲Hirofumi (Vo)

──メンバーで曲作りに入ったとき、最初に生まれたのが3曲だったということでした。どの曲ですか?

Hirofumi:「100年の幻想」と「three stories」と「I mean what I say」です。その3曲が、去年スタジオで生まれた曲です。

──今のEins:Vierに向けて、どういったものを創造しようと作曲に取り組んでいました?

Luna:本当に何もなかったんですよ。でもスタジオに入るから、最低限、何かネタを持って行かないと(笑)。実は「I mean what I say」のアイデアは、ずっと温めていたもので、それをちょっと広げて持っていったんですよ。

Yoshitsugu:僕は、わりとEins:Vierらしさを意識して考えたのが「three stories」だったんです。

──そのあたりの詳細は、曲作りについての細かいことまで話しているパーソナルインタビューが掲載された『five sights』オンライン限定盤のブックレットで楽しめるという。

Luna:あの文章ボリュームは恐ろしい(笑)。

──書きも書いたり、一人につき12,000字以上ですから(笑)。

Hirofumi:おかげで文字サイズが小さくなって、全部読める人がいるのか?ってぐらいで(笑)。

Luna:今までしゃべってないことも、いっぱいしゃべってるし。原稿チェックのとき、「他のメンバーのもおもしろいから」っていうんで、3人とも全員のを読んだんですよ。おもしろかった。同じ出来事でもこんなにも違うふうに解釈してるのかって。

Hirofumi:捉え方がそれぞれでね。

──しかもYoshitsuguは名言を吐いてますからね。原曲が生まれたときの状況を。

Yoshitsugu:それはインタビューの流れで、敢えて言わされたやつでしょ(笑)。あれは完全に俺が率先して言ってたみたいに書いてありますけど、そうではない。

Hirofumi:編集されたんや(笑)?

Yoshitsugu:おもしろいからいいんすけど(笑)。

▲Yoshitsugu (G)

──危ない内容もあったりしてお薦めのパーソナルインタビューですし、今日の全員インタビューはその答え合わせでもあります。ともかく3曲が最初に生まれて、レコーディングに向けて転がり始めたわけですね。BARKSでは完成した1曲1曲についての解説をお願いしたいんですが、まず1曲目の「touch or don't touch you know」は、Yoshitsuguの自宅にてLunaと二人、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)を使った曲作りで生まれたものということでしたよね?

Luna:大元のイメージをYoshitsuguが作っていたんで、それを二人で広げていった感じですね。DAWを使った曲作りでは、先に4曲目「Come on loser」をやったんです。もともと自分が考えていたベースリフがあって、でも原型がないぐらい解体と構築をしたんですけどね。そうやって「Come on loser」を仕上げたところで、僕は飲みに行きたかったんです(笑)。もう曲はできたし、いいやろって。

Yoshitsugu:Lunaは飲みがメイン。ついでに曲作ろうかっていう感じ(笑)。

Luna:ところが、飲みに行こうとしたらYoshitsuguが「もう1曲あるから」って。まだやんのか、と思いました(笑)。

Yoshitsugu:一応、自分もアイデアは作っておいたから。自宅作業で「touch or don't touch you know」はだいたいできあがってて。

Hirofumi:そのデータが送られてきて、本当にほとんど出来上がっていたんですよ。その後も曲の構成は変わっていないし、リズムの感じもそのまま。オケに対するメロディと歌詞は、デモを聴いた時点で浮かんだんです。みんなでスタジオに入る前に、イメージを伝えなきゃって、浮かんだメロディで歌を録って、家の音楽制作ソフトでミックスして、歌入りでデモを返したんです。今までのEins:Vierでは、ほとんどそんなことやったことないのに。ところがそれに対して二人から何の反応もない。“あれっ?”と思ったんで、スタジオで会ったときに「どうして反応がなかったのか」って聞いたら、「今日会うのは分かってたから返事はいいかな」と思ってたみたいで。

Luna:こっちからしたら、そもそも最初にデモを送った後に、“ええやん”とか何か反応あるかなと思っていたら、何のレスポンスもなかったし(笑)。

Hirofumi:いやいや。聴いた瞬間にメロディと歌詞を創作するモードに入っちゃったくらい“ええやん”と思ってて。返事するレベルを超えていたっていう。

Luna:こっちはそれ知らないから、この曲は気に入らんかったのかな……と(苦笑)。

Hirofumi:そういうすれ違いも起こったけど、どっちも“最高だ”と思ってた、という話ですね(笑)。

──歌詞は、物語を書くように綴ったんですよね。どういったストーリーを?

Hirofumi:読んでもらって、その人が抱いたイメージが正解という感覚で、自分は常に書いているんですよ。何かを狙ってということでもないんです。浮かんだまま。詞を読んで浮かんだそれぞれのストーリーこそが、この歌詞の正しい解釈です。

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