【インタビュー】Eins:Vier、21年ぶり新曲に変わらぬ本質と覚悟「今でありたい」
■2018年にセルフカバー盤を作ったことも
■いい意味で影響しているんやろうな
──2曲目「100年の幻想」は?
Luna:これは自分の中の“UKロック”という感じなんです。コード進行も特に難しくないんですけど、こういう淡々とした感じが好きなんで。
Hirofumi:全員の共通項としてすぐに理解できるものだから、最初にスタジオで音を出したときから、曲のムードは掴んでいたんですよ。最初適当にメロディを乗せて歌った時から、“One Hundred Years”って歌っていたんです。これ、キュアーやんって思いながら。もちろん後に変えるつもりでね。ところがそれ以外の言葉が見つからなくて、むしろオマージュとして残して、そこから自分の中で詞の世界を発展させていこうと考え方を変えたんです。問題はAメロとサビの違い。サビはラウドでキャッチーだし、Aメロもあの時代のUK的なサウンドが広がっていて。どっちもいいけど、両方をつなぐことに難航したんです。
Luna:この曲はBメロがないんですね。敢えてそうしたかったから、Bメロなしでも形になればいいなと思ってたんです。「サビのメロディはこんな感じで歌って」と提案して、Aメロは“The Hirofumi”という感じ。それがうまくつながるといいなと思って。サビのリズムパターンはYoshitsuguが出したアイデアで。2番サビにいかずに間奏に入る流れも、Hirofumi節でカッコいい。
──30年前にバンドを始めた原点を、改めて露わにした曲とも言えそうですね。
Hirofumi:自分らを育ててくれた音楽や曲への感謝もあります。
▲Luna (B) |
Hirofumi:Yoshitsuguが「Eins:Vierらしさを意識しながら作った」と言うように、原曲を聴いたときから自分もそれを感じ取ってて。自分たちと、自分たちをこれまでずっと見続けてくれた人たちとの、時代ごとの歌。過去、現在、未来じゃないけど、そういうことを書くんやろうなと、スタジオで軽くみんなで合わせていたときから思ってましたね。それがそのまま歌詞になっていって。一番見えていた曲でもありました。
──そうした歌詞で曲が仕上がったとき、メンバー自身もウルッと来たんじゃないですか?
Luna:はははは……すいません、歌詞は全然読んでなかった(笑)。
Hirofumi:君たちは、どういうところに感動すんの? 曲を聴いたとき、このコード感がいいとか思って感動すんの(笑)? 俺にはそういう感動の仕方はないから、お互い様ってことなんやろうけど(笑)。
Yoshitsugu:曲のタイトルだけで、語ってきますよね、これは。
Hirofumi:分かりやすいから。誰しもが“あっ、これは……”と思うだろうし。
Luna:言い訳じゃないですけど、本当は歌録りに行きたかったんですよ。歌録りに立ち会えば自ずと歌詞を読むじゃないですか。
Hirofumi:あっ、つまり、今回はさらに歌詞を見てないパターンやね(笑)。
Luna:そうそう(笑)。完成した歌詞を送ってくれるわけでもないし。
Hirofumi:あげへんし。「書いたで」って歌詞を配らへんしね。
Luna:でも、取材してくれる媒体さんは資料として歌詞ももらうじゃないですか?
Hirofumi:だから、今、ここにいる誰よりもLunaとYoshitsuguは歌詞を知らんっていうパターンやね(笑)。
──ブックレットを読みながら聴いてほしいもんですね……なんだろうな、メンバーに言う言葉でもないな(笑)。歌詞に目を通して曲を聴いたとき、新たな感動がLunaを包み込むということで。
Luna:はい(笑)。
Luna:なかなかの新境地かな。Eins:Vierっぽさは全くないかもと思いながら、最初はやってたんですよ。
Hirofumi:さっき話があったように、早く飲みに行きたいって思いで仕上げていたはずやから(笑)。その適当感が、最初に送られてきたデモを聴いたときに伝わってきた。
Luna:考えてんで、いろいろと。
Hirofumi:いや、すごくあっさりしてたデモだったんですよ。
Luna:もっと短い曲だったんですけど、Hiroちゃんが勝手に長く編集したデモを作っていて(笑)。
Hirofumi:とりあえずこんなイメージ、というデモだと思ってたから。そのデモを聴いたとき、この曲はこう展開してとか、自分の中ですごくアイデアやメロディが浮かんで広がっていったんですよ。それでサビをくっ付けてデモを返したんです(笑)。
Luna:知らない間に曲が長くなってて(笑)。
Hirofumi:最後の展開としてサビを繰り返していたんですけど、Lunaがそのサビに「違うメロディを考え付いた」と言い始めて。それで完成形に落ち着いたんです。サビがきて、最後にまたくるぞってところで、違うサビが出てくる。それが良かった。飽きないっていうか。
Luna:イントロやAメロはルーズな感じなんですけど、サビの展開感はEins:Vierっぽく綺麗に広がる感じで、泥臭いまま曲が終わらないんです。
──「three stories」を受け継ぐようなドラマが「Come on loser」で広がります。
Hirofumi:うん。5曲なのに、場面展開がすごくあって。
Luna:アルバム全体のバランスがいいなと思う。似た感じの曲がないし、でもバラバラな感じもしないし、すごくバランスがいい。それで全曲分のミュージックビデオを撮影したいと思ったんですよ。
▲Hirofumi (Vo) |
Luna:最初はこれが1曲目という意見もあったけど、結果的に「touch or don't touch you know」になって。「touch or don't touch you know」が1曲目に残れたのは、曲作りのとき、俺がそのまま飲みに行かなかったのが良かったんだと思う(笑)。
Hirofumi:そういう理由か(笑)。そもそも曲作りのために会って作業していたはずやのに。
Luna:作品の導入部分で「touch or don't touch you know」があるのとないのとでは、アルバムの感じも違っていたと思う。
Hirofumi:美しい流れが生まれたからね。
Luna:最後にこのタイプの曲もあってくれたんか、と昔からEins:Vierを応援してくれる人たちは思ってくれると思う。Hiroちゃんの叫びで終わるのがいいなと思って。何て叫んでいるかは知らないけど(笑)。
Hirofumi:後で歌詞を読んでほしいもんです(笑)。何回かセッションしているんですけど、レコーディング前の最後のセッションのとき、サビはもっとキャッチーだったんですよ。もともとLunaが提示したものだったけど、Yoshitsuguが「これはもったいない」と。「激しいのに、最後にキャッチーな展開で終わるのはもったいない気がする」って。より激しくなる展開をYoshitsuguが考えてきて、それを合わせてみたら、なるほどなって。
Luna:スリリングなキメもいっぱいあって。
Hirofumi:さらに激しくなって終わるっていうのが、攻めてる。
──その呼吸感は、2018年にライブや全国ツアーをちゃんとやってきたからこそ。
Luna:2018年にセルフカバー『Searching Red Light』を作ったことも、多分、いい意味で影響しているんやろうなと思う。Eins:Vierを自分たちで噛みしめることが、あのセルフカバーでできたから。
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