【インタビュー】Crystal Kay、キャリア初カバー作を語る「挑戦であり、セレブレーションの意味も込められる」

■5年くらい前かな。人のために歌う
■というスタンスにスイッチしたので

──この先の活動についても聞かせてください。20周年を経て、次のビジョンだったり、やってみたいことは？

Crystal Kay：2021年はまだどうなるかわからないですけど、まずカバーアルバムをたくさんの方々に聴いてほしいですね。その後はオリジナルアルバムに取り組みたいと思ってます。私、今も1stアルバム『C.L.L〜CRYSTAL LOVER LIGHT〜』(2000年発表)が大好きで。あのアルバムをキーにしたCrsytal Kayサウンドをもう一度確立したいと思っていて。

──1stアルバムのどんなところに惹かれているんですか？

Crystal Kay：すごく独特だし、自分にしか出来ないことをやれてるなって。R&Bテイストが強かったデビュー当初は、スタッフがすごくこだわってくれて、プロダクションもすごく良いし、音もめちゃくちゃリッチ。サウンドは洋楽っぽいんだけど、メロディと歌詞に“和”の感じがあって、ノスタルジックで。

▲Crystal Kay

──いろいろな要素が融合している。

Crystal Kay：ハイブリッドですね。タイムレスなアルバムでまったく古くなってない。いつ聴いても“カッコいいな”って。当時私は12〜13歳くらいで、「洋楽っぽい感じでやりたい」っていうだけだったんですよ（笑）。歌詞のこととかまったくわかってなかった。だけど、今も最初のアルバムを好きでいられることが誇らしいです。歌もめちゃくちゃピュアなんですよ。何も考えずに歌ってるんだけど、それがいいんじゃないかなって。あのアルバムのテイストを今の自分で表現するのは、すごく意味があることだと思います。「恋におちたら」(2005年5月発表)でポップスのイメージが強くなって、それ以降デビュー当初の色がちょっと薄まった気がしていたので。

──「恋におちたら」も間違いなく、Crystal Kayさんのキャリアを象徴する楽曲ですよね。

Crystal Kay：もちろんそうなんですけど、当時は自分を象徴する楽曲だとは思えなかったんですよ。

──めちゃくちゃいい曲じゃないですか?

Crystal Kay：美紗子 (「恋におちたら」の作曲を手がけた坂詰美紗子)は本当にすごいし、その後に書いてもらった「Lovin' You」や「幸せって。」も“さすが！”って思う曲なので。ただ当時の私にとって、「恋におちたら」はキラキラし過ぎていて、どう歌えばいいかわからなかったんです。“恋おち”が人気になったことで、あのイメージを求められることが増えて、葛藤はありましたね。

▲Crystal Kay

──「恋におちたら」を受け入れられるようになったのはいつ頃なんですか？

Crystal Kay：5年くらい前かな。“J-POPをCrystal Kayが歌えば、こういう雰囲気になる。しかもそれは自分にしか出来ないことなんだな”と理解できるようになって。ニューヨークにしばらく滞在した(2013年〜2015年)のもきっかけですね。それまでは自分のために歌っていたんだけど、そのときから人のために歌うというスタンスにスイッチしたので。

──なるほど。ここ数年はミュージカルの舞台に立つことも増えてきて、表現の場が広がってますよね。

Crystal Kay：いい経験になっていますね。特に『ピピン』はサーカスの団長役で、歌はもちろん、マジック、アクロバットもあって、“魅せる！”という感じ。いつもより大きく歌わないとお客さんに伝わらないし、ボーカルもパフォーマンスもすごく変わったと思います。女優にもチャレンジしたいんですよ。これまでも映画『アースクエイクバード』や『Seoul Searching」に出演してるんですが、いまは多様性が求められるし、私にもチャンスがあると思っていて。韓国映画やスペイン語のドラマが世界中で観られている時代だから、どんどん挑戦したいです。

取材・文◎森朋之
撮影◎佐藤哲郎






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