【インタビュー】yukihiroが語る、2020年とACID ANDROID初配信ライヴ「姿と音がリンクして音楽が出来上がっていく」
■自分でやるならライヴを収録した
■映像作品がいいかなと思ってました
──yukihiroさんがプログラミング参加するという情報を聞いて、THE MAD CAPSULE MARKETSの名作『4 PLUGS』(1996年1月発表)を思い出しましたが、作業内容は当時とはかなり異なるんでしょうね?
yukihiro:あの頃とは時代が違いますからね。機材も今とは全然違いますし。
──シーケンスを手で打ち込んでいた時代からプログラミングされてますし、機材の発展に伴う変化をずっと見てきてますよね、yukihiroさんは。今回はどんな作業行程でしたか?
yukihiro:昨年末くらいにそういう話をTHE NOVEMBERSからもらって、作業は年明けにスタートしたのかな。基本的には小林(祐介 / Vo&G)くんとのやり取りで、うちのスタジオに来てもらって作業するという感じでした。
──小林さんからは具体的なオーダーもありましたか?
yukihiro:リズムマシンの指定はありましたね。あとは、このシンセでこのフレーズ鳴らしてみてくださいとか。僕のスタジオにはそういった機材があるのでそれを使いました。とりあえず作業してみようという感じで始めて、1曲一緒にやってみたんですけど、そのあとは結構任せてくれて。そこからは、僕が下準備をして、何曲かできたら僕のスタジオで聴いてもらって。違うと思うところは変えてみようかとか話しながらでしたけど、変えるというのはあまりなかった気がします。僕が作業したものは全部録って、それを小林くんが持ち帰って、セレクトしてトラックを使ったりしたんじゃないかな。
▲yukihiro |
yukihiro:こういう感じでの関わり方は、ほぼ初めてだったので面白かったです。
──自分に返ってくるものもありましたか?
yukihiro:そうですね。改めて、打ち込み楽しいなとか(笑)、シンセサイザーって素敵だなとか。
──では、<L'Arc-en-Ciel ARENA TOUR MMXX>以降、緊急事態宣言あたりはずっと制作モードが続いていた感じでしょうか?
yukihiro:THE NOVEMBERSでの作業が終わって、そのままの勢いで機材を触り続けて、ACID ANDROIDの制作に入っていきました。当初、ACID ANDROIDのツアーが5月から6月に予定されていたので、新曲があったほうがいいかなと思っていたんです。THE NOVEMBERSが終わったらすぐに制作に入ろうという心持ちではありました。
──その5月末から6月末まで開催を予定していたツアー<ACID ANDROID LIVE 2020 #1>は、コロナウイルスの影響で延期、そして中止になってしまったわけですが。ACID ANDROIDのライヴでは、楽曲にいつも新たなアレンジやアップデートがあります。そういった作業も同時に行なっていた感じですか?
yukihiro:ACID ANDROIDの音楽は常に新しいアイデアを取り入れられる状態なので、その時どきの自分の趣向を反映させる作業はしています。それをライヴで形にするのは楽しいですし。
──ツアーは10月への延期が発表されましたが、残念ながら全公演の中止が8月に決定しました。配信ライヴ<ACID ANDROID LIVE 2020>の開催は11月21日に発表されましたが、もともと配信ライヴというものには前向きな気持ちもありましたか?
yukihiro:配信はよくわからなかったですね。ただ、自分でやるならライヴを収録した映像作品がいいかなと思ってました。
▲KAZUYA [Lillies and Remains] / 山口大吾 [People In The Box] |
yukihiro:はい。
──ACID ANDROIDならではの攻撃性や鋭さがありながら、でも肉体的なバンドであるという醍醐味を改めて全角度で見せるライヴだなと思ったんです。今回は客席フロアをステージにして、メンバー3人が車座となって演奏をしていますが、配信ライヴということで、どういうものにしたいか思い描いていたものはありましたか?
yukihiro:普通にステージを使って演奏している姿を収録しても面白くないかなと思ってました。スタッフといろいろアイディアを出し合って、今回はこの形になりました。
──メンバーで向かい合っての演奏は、普段と体感が違うものですか?
yukihiro:僕はふたり (山口大吾[Dr : People In The Box] / KAZUYA [G : Lillies and Remains])の演奏を見ながら、ACID ANDROIDの歌を歌ったことがないんですよ。スタジオのリハーサルでもライヴと同じような立ち位置でやっているので。ふたりの演奏している姿と音がリンクして、そこにシーケンスが加わって、ACID ANDROIDの音楽が出来上がっていくのは新鮮でしたね。
──メンバーに触発された部分もありそうですね。ちなみに、このライヴのリハーサルはどのくらい行なったんですか?
yukihiro:全員が集まってのリハは収録前日の現地で1日でした。新曲もあったので、ふたりは大変だったと思います(笑)。「新曲があるよ」とは伝えていたんですけど、実際に音源を渡したのは開催1週間前くらいになってしまったので。
──新曲は2曲ありましたね。
yukihiro:今年制作してた中で、今の状態でバンド演奏が想像できるなと思った曲をチョイスしたんですけど、メンバーに対しての要望は高いので、それに応えるのは大変だったと思います。でも、いつも大丈夫なので心配はなかったです。
──信頼感を築き上げてきたからこそですかね。
yukihiro:そうですね。みんなACID ANDROIDのことを考えてくれてます。
──2曲の新曲については配信ライヴを観てのお楽しみということで、詳細は後日改めて聞かせてください。昨年末のライヴでも感じたことですが、ACID ANDOROIDのサウンドはよりソリッドになっているという印象を受けました。以前ほど歪ませていないギターサウンドや、カッティングを際立たせたアレンジが躍動感や生のバンド感を生み出しているのではないかと思ったのですが、yukihiroさん自身、そのあたりはどう感じていますか?
yukihiro:ACID ANDROIDのライヴがこの体制になってから、今に至る活動の流れで音に変化が出ているのは感じますし、さらに求めていきたいです。
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