【2020年をBARKSニュースで振り返る】ライブレポートTOP10 編

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2020年、最も多くのユーザーに読まれた記事をランキング形式でお届けする年末恒例<BARKSランキング>のライブレポート編だが、今年のライブシーンは新型コロナウイルスの影響をもろに受ける結果となった。政府がコンサートなどの自粛要請を行なった2月下旬以降、多くのアーティストがライブの中止もしくは延期を発表、BARKS上にはそれら中止・延期に関するニュースが溢れ、3月中旬以降、取材予定が組まれていたライブレポートも白紙状態となった。

◆ライブレポートTOP20【2020年をBARKSニュースで振り返る】

しかし、中止・延期となった公演当日、予定されていた会場にて万全な感染対策を施しながら無観客ライブを実行し、それを生配信するアーティストも散見されるなど、採算度外視、アーティスト自身の気概によって実現した公演には賞賛の声が鳴り止まなかった。ところが、緊急事態宣言発出後は、メンバーやスタッフといった複数人が同じ場所に集まることすら困難となったほか、ライブハウスやスタジオも営業自粛状態となり、ライブ活動の実施がほぼ不可能に。4月中旬のことだ。

そして感染者数や重症者数の減少による宣言解除以降、配信ライブが活発化していったのが5月下旬から。その手法はさまざまで、密を避けるために各パートが一人ずつレコーディングしたスタジオライブ映像の配信を皮切りに、ライブハウスからの生配信という圧倒的な熱量の高さを放出したもの、収録映像に編集作業が施されて作品としての完成度を求めたもの、さらには客席を巧みに利用した演出方法や、VR起用による新たな表現方法の確立など、配信ライブという未知への実験的チャレンジには、それぞれのスタイルも浮かび上がった。

有観客ライブの復活は、初秋。政府や各地自治体のガイドラインに沿って実施された公演は、観客数を定員の50%以下に抑えたものであり、客席は発声を禁止されるなどの感染予防対策が徹底されたもの。しかし、ステージと客席との生ライブならではの盛り上がりが極上の空気を会場内に育み、「黙ってても、本当の人間がいるっていい。本当に気持ちいい」とステージ上から喜びと感謝が語られる場面を何度も目撃した。

現在もライブシーンは、ガイドラインに沿った有観客ライブ、無観客ライブ配信、それらをミックスしたハイブリット型など、今年培った手段と経験をもとに、コロナ禍の新しいライブの在り方が模索されている。そしてTOP10にランクインした公演の数々には、アーティストのオリジナリティが発揮されていた。



1位を獲得したのは、B'zが10月31日から11月28日までの毎週土曜日、5週連続で開催した自身初の無観客配信ライブ<B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day1〜5>の初日レポートだ。同配信ライブは、1988年のデビューから2020年までの32年間を“5つの時代=5 ERAS”に分けて行われたもの。それぞれの時代にリリースされた楽曲で構成されたステージは、5週全ての公演で全楽曲を入れ替え、異なるセットリストが用意されるというスペシャルな内容だ。これに加えて、毎公演の演出やステージセットも総入れ替えするなど、見どころ満載の配信ライブとなった。

2位は、生配信ライブ<ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE>の速報レポート。自身初のオンラインライブにして、ZOZOマリンスタジアムという大規模会場で実施された同公演は、全世界へ向けて配信された。何度もカメラを見据えながら画面の向こう側へ語りかけるような4人の姿に、“つながりたい”というONE OK ROCKの意思が強く感じられる一夜となった。



3位は福山雅治がデビュー30年目の記念日となる3月21日、東京都内のレコーディングスタジオで実施した無観客スタジオライブのレポートだ。事前に「福山歌! はじまりの歌」のリクエストを広く募り、TOP30を歴代の映像アーカイブと共にランキング形式でトークも交え発表、TOP10に入ったナンバーをレコーディングスタジオから生演奏でお届けするというライブ構成は、ライブとテレビ/ラジオ番組をハイブリッドしたような前代未聞の大型音楽特番となった。

飛躍の2019年を経て、さらなる高みへ飛び立とうとしていたOfficial髭男dismは、自身初のアリーナツアーが延期に。しかし、一夜限りのスペシャルステージとして届けられた配信ライブは、彩り豊かな照明やフィルム調の映像加工といったオンラインライブならではの演出を交えつつ、“音楽を止めさせない”という意志に溢れたものだった。リアルタイム視聴者数12万人を記録した<Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 - Arena Travelers ->のレポートが5位にランクインした。


この年末年始もビッグネームの配信ライブが予定されている。現在のところ、新作リリースに伴うツアー開催が当たり前だったこれまでの日常がすぐに戻るとは考えづらい状況だ。しかし、もちろん可能性はゼロではない。アーティストはいつも音楽のことを考え、それを生身で表現するライブの場を何よりも大切にしている。BARKSは2021年もアーティストのライブ活動を応援していきたい。

文◎梶原靖夫 (BARKS編集長)


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