【インタビュー】北園涼の“生き方”を伝えるニューアルバム

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北園涼が本日2月3日に2ndアルバム『Frontier』をリリースした。

◆撮りおろし画像(20枚)

ミュージカル『刀剣乱舞』小狐丸役、MANKAI STAGE『A3!』高遠 丞役など、人気舞台作品に出演している北園涼。俳優として活躍する傍ら、2019年にはアルバム『Ark』を持ってアーティストとしてもメジャーデビューを果たした。

俳優でありながらロックな楽曲で歌も歌う──そこにはどのような思いが込められているのだろう。今回BARKSでは『Frontier』のリリースをきっかけに、インタビューを実施することができた。そして本作について柔和で穏やかに語ってくれた北園涼の心底には、強い意志が潜んでいることがわかった。

   ◆   ◆   ◆

■ロックな音楽だったら言える、ライブだったら言えるって言葉がたくさんあった

──今回初めてBARKSのインタビューにご登場いただきますので、改めてアーティスト活動を始めた経緯から聞かせてください。

北園涼:僕はもともと俳優志望で、それだけでやっていくつもりだったんです。でも、小狐丸役で出演させていただいているミュージカル『刀剣乱舞』でライブを中心とした<真剣乱舞祭>という公演のステージに立ったとき、その景色に感動したことと、僕自身も音楽が好きでONE OK ROCKさんのライブを見に行って「こんな世界があるんだ」と感銘を受けると同時にパワーをもらったことがきっかけとなって、アーティスト活動をしたいと思うようになりました。

──単純に歌もやってみたいという思いや、俳優としての幅を広げるためという思いもあったのでしょうか。

北園涼:もちろんそういうのもありますけど、常々、自分の言葉を発信できてないなと感じていたんです。俳優は、あくまで役を通して作られた世界で作られた言葉を発するもの。でも僕は自分の思いをぶつけるというか、発していくためにこの芸能の世界に入ったんじゃなかったっけ……と思い返すことがあって。そこで音楽の力を借りて、もっと自らの言葉を発信していこうと思ったんです。


──「こんなアーティストになりたい」という理想像はありましたか?

北園涼:自分の言葉をストレートに伝えられるアーティストになりたいと思っていました。あとは、これは今も思っていることですが作詞作曲ができるアーティストになりたいと。僕は作詞作曲もしたことなくて、なんなら音楽に関しては無知くらいの状態でアーティスト活動を始めたので。

──北園さんが“ストレートに伝えたい”と思っているのは、どのような気持ちや言葉なのでしょうか。

北園涼:僕は鹿児島出身で、芸能の世界に入りたいと思いながらもなかなか踏み出せなくて。東京に出てきたのもハタチの頃で、それって芸能の仕事を始めるにはちょっと遅いくらいだったと思うんですけど、「それでもやれるんだぞ」っていうことを伝えたいんです。そして僕が「やれる」ということを証明して、昔の僕と同じようにくすぶっている人たちの背中を押して、引っ張り上げて、自信をつけてほしいと思ってるんです。

──前作アルバム『Ark』の時も感じたんですが、北園さんの歌う楽曲は今述べられたような思いがストレートに表現されていますよね。

北園涼:押し付けがましいですよね〜(笑)。聴く人の背中を押すには例えば悲しい歌を歌って、悲しい気持ちに寄り添ってあげる方法とかもあると思うんですが、僕自身はアーティストさんがぶつけてくる言葉に動かされてきたんですよね。

──どんな楽曲に力をもらってきたんですか?

北園涼:バンド系やHIP HOPの曲をよく聞いてきました。


──あぁなるほど、そう聞くと北園さんが真っ直ぐなスタイルを選んだのもわかります。特にHIP HOPって思いを包み隠さず伝えてくれますよね。北園さんにとって音楽とはどういうものでしょう。

北園涼:気分を上げてくれるものですね。移動中も音楽は必須で、その時の気分で本当にいろんな曲を聴きます。今日は「Frontier」を聴いてきました。

──ちなみに歌っている時は “生身の北園涼”なんですか? それとも“アーティスト・北園涼を演じている”んですか?

北園涼:歌う、ということだけで言えばリアルの僕自身ですが、ライブになるとアーティスト・北園涼を演じているのかもしれません。家ではライブの時みたいにオラついてないですし。ライブでは「テメェら!」とか言うけど、普段は「あ……すいませ〜ん、失礼致します〜」って感じだし(笑)。

──あはは。いろんな“北園涼スイッチ”があって、場面で切り替えていくタイプということでしょうか。

北園涼:そうかもしれません。プライベートの僕は家でずっとゲームしたりとか映画見たりアニメ見たりとか、インドアなんですよね。

──でも、北園さんの楽曲はそのイメージと正反対のロックですよね。『Ark』の時にちょっと意外だなと思いました。

北園涼:そう思われるのもわかります。でも自分ではすごくしっくりきていて。ロックもストレートに言葉を伝えてくれますよね。表現の仕方が音楽というだけで、伝えたいことは一貫してるんですよ。なかなかね、ストレートに思いを言える場所ってなくて。SNSで「諦めなければ夢は叶えられる」とか発信しても響かないし、トークイベントとかで言ったってそういうのは求められてない気もするし。どうしたら一番響くのかなって考えた時に、ロックな音楽だったら言える、ライブだったら言えるって言葉がたくさんあったんです。

──なるほど。ロックな楽曲にストレートなメッセージを込めている意味がわかりました。俳優とアーティスト、それぞれ影響を受ける部分はありますか。

北園涼:よくも悪くも、歌い方や表現が影響しますね。その時やっている役に引っ張られたりすることもあって。本番中や稽古中にレコーディングしていると、その曲の気分じゃないなって時もあります(笑)。だからその時やっている役によっては声とか違ったりするかもしれないですね。できるだけそういうのがないように心がけていますけど、スイッチの切り替えが上手にできないとな、と思います。俳優としては、音に対して敏感になりました。ミュージカルの舞台に立っていても、昔より聞こえる音が増えた気がするんです。歌の大事さも実感しましたし、音楽に触れている時間が長ければ長いほど成長するんだと身にしみました。


──2019年に『Ark』でデビューしてから1年半ほどたちましたが、思い描いていたアーティスト像に近付いてきた実感はありますか?

北園涼:『Ark』は初めての音楽作品だったので、「これが受け入れられないんだったらもうしょうがない」という思いでやったところもあるんです。音楽で自分の言葉を発するということが、これまでの自分とは全然違うことだったので。その時から比べると、まだ思い描いていたアーティストになれたとは言えないですけど、近付いているとは思います。こうして2枚目のアルバムを出せるということは、ファンの方々にも僕の思いが多少なりとも伝わったのではないかと。個人的には全ての楽曲で作詞作曲ができていないのが悔しいですが……。俳優の仕事と並行して作曲は難しいと実感しましたが、作詞は今も続けていますし、最近はいろんな曲を歌って自分の声を磨いています。

──アーティスト・北園涼にしかない魅力を教えてください。

北園涼:ライブ力です。どれだけストレートに伝えられるかというところを一番大事にしているので、そこが魅力になっていればいいと思いますね。小道具とか必要なくて、体でぶつかり合うみたいなライブ感。

──なんというか、思っていた以上に北園さんには芯の通った男らしさを感じます。

北園涼:これからもそうありたいと思います。人間誰しもブレることはあるし、悩むことも落ち込むこともある。そういう時に「一番自分が大事にしてるものって何かな」と思い返したりすると立ち直れたりするんです。悩んで立ち止まる時間も逆に大事になるというか。無駄と思うんじゃなくて、糧にしていきたいですね。それこそその経験が歌詞になったりするかもしれないですし。自分を成長させてくれるんだな、と考えられるようになりましたね。

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