【インタビュー】AI、世界標準の“HIP HOP / R&B”と今伝えたいメッセージ「心を開いて」

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■彼女のラップが本当に素晴らしくて
■今、話してるだけで泣きそう(笑)

──「Not So Different」は、<One Young World Japan> (※次世代を担う世界各国の若きリーダー育成のためのグローバルフォーラム<One Young World Committee>の東京大会 / 2022年)のテーマソングに起用されます。

AI:それもすごく嬉しくて。<One Young World>は世界中の若い人たちががんばって、手作りで運営しているフォーラムなんです。各国リーダーにインタビューした方に話を聞いたんですが、日本とはまったく違う問題が存在してるんですよね。たとえば10代の頃に無理に結婚させられる地域があったり、幼いころに銃を持たされて、人を撃たされていたり。

──紛争地域で生まれ育った子供も多いですからね……。

AI:そうなんです。もちろん日本にもいろいろな問題があるし。いいふうに変えていけたらいいなと思うし、そのためには協力していかないと。あと、決定権のある人につなげることも大事ですよね。“私なんか”と思ってる人も多いと思うけど、本当はそうじゃなくて、つながる方法はあるんです。そのことを知ればパワーも湧いてくるだろうし、まずはマインドを変えることも必要なのかなって。それを私は、音楽で届けたいと思ってるんですよね。誰かを攻撃したり、傷付けるのではなくて、“考えみようよ”というメッセージを伝えたいですね。

▲AI

──本作には女性ラッパーAwichさんをフィーチャーした「Not So Different Remix feat. Awich」も収録されています。Awichさんとは以前から交流があったんですか?

AI:はい。だいぶ前からInstagramでつながっていて、「最高!」って送り合っていて。初めて会ったのは、愛知で開催されているヒップホップフェス<NAMIMONOGATARI>だったんですけど、会った瞬間に感動して、なぜか涙が出て。それだけで十分という感じでしたね。もちろん作品も素晴らしいんです。女性としてのパワーをモロに出していて、それを全然恥ずかしがってない。彼女は若いけど、大きい子供もいるし、ダンナさんのこともあって(※Awichはアメリカ・アトランタ在中の2010年、夫と死別。銃殺だった)、本当にいろいろな経験をしていて。それも彼女の表現につながっていると思うし、全然わざとらしくなくて、すごくナチュラルなんです。私自身も彼女のファンだし、「Not So Different」のリミックスを作ることになったときも、ぜひ参加してほしいと思って。彼女が書いてくれたリリックが最高なんですよ。こういう時期なので、マスクを外して「イエーイ!」という雰囲気でなかったんだけど、彼女のラップが本当に素晴らしくて……。周りに人がいたのでガマンしましたけど、そうじゃなかったら大泣きしてたでしょうね。

──AIさんとAwichさんのメッセージが積み重なって、大きな感動につながっていて。

AI:私のことだったり、私の子どものことまで考えたうえで歌詞を書いてくれて……やばい、今、話してるだけで泣きそう(笑)。“あの日の銃の代わりに花束を” “あなたは、それならまだここに居れたのかな?”という歌詞があるんですけど、もしかしたらダンナさんに向けてるのかな……と思ったり。Awichがしっかり自分を出してくれたおかげでリアリティのある曲になったし、ありがたかったですね。改めて感じましたけど、表現に対して何も恐れないんですよ。ヘンにカッコつけたり、“こうでなくちゃいけない”というところがなくて、めちゃくちゃ自然なんです。それはすごいなって思いますね。

──フロウもカッコいいですしね。

AI:本当にそう。すごく上手いし、一回歌った瞬間に“本物だ!”って思いました。まさか一緒にテレビ(『ミュージックステーション2時間スペシャル』『CDTVライブ!ライブ!』)に出てくれたり、ミュージックビデオに出演してくれるとは思ってなかったから、すごく嬉しかったです。ますますファンになりましたね。



──「HOPE」はマット・キャブ、トーマ・ラヴ・チャイルドとの共作。ゴスペル的なコーラスワークと、まさに“希望”を表わしたリリックが溶け合う楽曲ですね。

AI:この曲はかなり前に作った曲で。2人目の子どもを妊娠してたときだから、3年くらい前ですね。そのときは1番しかなかったんですけど……こういう状況の人は、どんな時代にもたくさんいると思うんですよ。

──“大事な人を失くした” “お金もない 家もない もう何もない”という歌い出しですからね。

AI:そうなんです。去年、マネージャーが「あの曲、やっぱりいいよね」と言ってくれて。「たまたまかもしれないけど、今、すごく聴きたいメッセージだと思う」って。すごく嬉しかったんです。「HOPE」は『deleteC』(※“みんなの力で、がんを治せる病気にする”をテーマに掲げたプロジェクト)のテーマソングなんですが、プロジェクト代表理事の中島ナオさんとの出会いも大きくて。がん患者の方もそうだし、難病を抱えてる方々は、コロナ禍になって大切な人になかなか会えない時期が続いているんですね。動けない、話せないなかで、みんなで協力して、がん治療のためのスピードを上げていけたらいいなと。今はどうしてもコロナのことに関心が向きがちだけど、いろいろな病気があるし、曲を通して発信していきたいと思ってます。私にやれることあるんだったら、古い曲でも何でも使ってもらえたらなって。

▲AI

──メッセージ自体は、すごく普遍的ですよね。“どんな状況であっても、希望を失わずに生きていこう”っていう。

AI:そうですね。2番の歌詞に関しては、2020年の状況も意識してます。触れたくても触れられない、会いたくても会えない、でも、“Keep your hope alive”──希望だけは生かしておいてほしい、というメッセージを込めていて。去年は自ら死を選んでしまう人も少なくなかったし、イジメの問題もある。コロナにかかった人を責めるなんて、そんなことやってる場合じゃないよ!って。みんなのパワーを良い方向に向けるべきだし、マット・キャブもそういう私のやりたいことをわかってくれました。

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