【インタビュー】AI、世界標準の“HIP HOP / R&B”と今伝えたいメッセージ「心を開いて」

■20周年をそんなに意識してなくて
■自分としてはどんどん先に向かってる感じ

──そして「JUMP」はLAのプロデューサーJulian Leとのセッションによる楽曲。もともとは東京オリンピックを意識して制作されたということですが、力強くてエモーショナルなメロディ、美しいコーラスのバランスが素晴らしいなと。

AI：ありがとうございます。最初のイメージはバスケットボールだったんですよ。ちょうど八村塁選手がNBAデビューした時期で、“いけいけ！”みたいな気持ちもあって（笑）。彼の姿にインスパイアされたところから始まって、アスリートのみなさんはもちろん、何かに挑んでいるすべての人に向けた曲になりましたね。やっぱり“頑張ってる人には敵わないな”って思うんです。どんなことがあっても、何を言われても、それを超える原動力になってくれたらいいなって。あと、久しぶりにラップしたんですよ、この曲で。ライブで歌えないと困るから、“どういう感じで歌に戻ろうか”とかバランスを考えながら、違和感がないようにアレンジして。

──“ライブでどう歌うか？”は、いつも意識してるんですか？

AI：はい。前は全然考えてなくて、ライブのリハで「こんなの歌えない！」ってこともあったので（笑）。音楽番組でも、できるだけそのまま歌いたいですからね。

▲AI

──そして「Off You」は、クリス・ブラウンやオマリオンなどの楽曲プロデューサーユニット“ブラック・タキシード”との共作。“もうアナタじゃ物足りないの”という女性の本音をテーマにした楽曲ですね。

AI：「Off You」と「Expectations」は、「Not So Different」と同じタイミングで、LAで作った曲なんです。どちらもトップライナーやビートメイカーと一緒に「こんな感じどう？」って話しながら作ったんですけど、すごく勉強になりましたね。自分のメロディはどうしても似た感じになりがちだし、他の人と一緒にやることで、違った雰囲気になるので。歌詞もそう。自分一人で書くとメッセージが強くなるんだけど、みんなで話しながら作ると「Off You」みたいな歌詞もできますからね。

──アトランタ出身のR&Bグループ“チェリッシュ”の双子のメンバーを迎え入れた「Expectations」は、浮遊感のあるトラック、ゆったりしたグルーヴのメロディを含め、最新のR&Bの潮流を感じさせる楽曲だなと。

AI：うん、そうですね。チェリッシュのメンバーのほかに男性のプロデューサーもいたんですけど、歌の内容については、女性同士で「どういうことを歌いたい？」っていうガールズトークで決めました（笑）。こういうテイストの曲が好きな人もいるだろうし、収録できて良かったです。

▲AI

──2月からは去年延期になった＜AI 20周年記念TOUR＞がスタートする予定ですが、いまの状況を見ながら、振替する公演、残念ながら中止になった公演、実施に向けて調整している公演と、まだまだ大変な時期が続きますね。

AI：そうなんです。ファンの方々の安全がいちばん大事ですけど、「待ってます」と言ってくれる人たちには、やっぱり“見せたい”と思うし。実際にライブをやるときは、本当にいろんな対策が必要なんですよ。他のアーティストもそうだけど、PCR検査を何度もやって、全身を除菌して。移動中も気を遣うし、打ち上げもできない。会場の感染防止対策もある。2月以降もいろんなことを考えながらやっていくしかないですね。

──ライブの内容はどうなりそうですか？

AI：ベスト的な内容になる予定です。みなさんが聴きたいだろうなと思う曲は全部やりたいな。もちろん2つのミニアルバム『IT'S ALL ME』収録新曲もやりたいですし。

──20周年を超えて、新しいタームに入っていくことにもなりそうですね。

AI：そうですね。自分としてはどんどん先に向かってる感じなので、20周年をそんなに意識してなくて。ライブもあるし、新しい曲の制作も控えてるし、子育てもあるし、全部を上手くやるのは難しいですけどね。いちばん大事なのは、やっぱり健康ですよ。家族を守りたいし、スタッフにも元気でいてほしい。とりあえず、今は除菌ばっかりしてます（笑）。

取材・文◎森 朋之
撮影◎野村雄治











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