【対談】Psycho le Cému × lynch.、コロナ禍の現状と支援活動を語る「約束の日を作り続けて、その希望に向かっていく」

ポスト

■中止によるマイナス部分以上に
■大事にすべきものを守るということ

──そして、Psycho le Cémuは5月3日に振替公演<理想郷旅行Z 二十年後の僕たちへ・・・>開催(※4月27日に開催見送りを発表)、lynch.も5月10日から<TOUR’21 -ULTIMA->が始まりますね。4月21日現在、緊急事態宣言の発出という話もありますが、今のお気持ちとしてはいかがですか?

seek:正直なことを言うと、1日ごとに状況が変わるなかで生きてるので、まだわからないところもあるんです。でも、僕らは約束の日を作っていくことが大事なのかなと思ってます。2月に有観客公演を実施した時、みんなのサイリウムを見て“会えて嬉しい!”っていう気持ちはもちろんあったんですけど、“会えてない人数のほうが圧倒的に多いんやな”とも思って。そうしたら、嬉しいだけじゃないっていうのが正直な気持ちだったんですよ。だから、本当に今日がどうなるかすらわからないですけど、一歩ずつ進むって決めた以上、次の約束の日をみなさんと作って、その希望に向かっていこうと思ってます。

DAISHI: 20周年の節目ということで、本来は昨年5月3日に姫路市文化センター大ホールでの地元公演で、20周年企画の最終章を迎えようとしていたんですね。そこでみなさんとお祝いしたかったですし、さっきlynch.さんが仰ってたような気持ちも、僕個人のなかにはあるんです。やっぱり生でオーディエンスと一緒に作るのがライブだと思ってますから、イヤモニの話もまったく同感なんです。でも、Psycho le Cémuとしては、お客さんが100%入れられない状況でも進んでいくっていう選択をしたので、それをひとつずつ継続していくという気持ちですね。

seek:今年5月3日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行う結成記念ライブでは、めちゃくちゃおもしろいことを考えてるんですね。オンライン上では伝わりにくいお芝居的なところもエンターテイメントとしてがっつりやってみようとか、いろんなことを考えてて。今、一通りすべてのことが仕上がっているので、その精度を高めつつ、当日を待つばかりなんです。でも、その繰り返しでしたね、この一年は。常に準備しては、それが世には出なかったり。そして、またシナリオを書き換えて準備するっていうことの繰り返しやったから。

DAISHI:そういう意味では、普通のミュージシャンって同じ曲を何回歌ってもファンの方々は喜んでくれるじゃないですか。それって素晴らしいですよね。でも僕ら、半分お芝居もするでしょ。お芝居って一回やったらもう二回目には飽られますからね。常に新作が必要なんです(笑)。

seek:ははははは!

▲玲央 [G / lynch.]

──Psycho le Cémuならではすぎる悩みですね(笑)。lynch.のほうはいかがですか。

葉月:僕は、通常のツアーに臨む気持ちと全然変わらないですね。まあ、いろんな人がいるじゃないですか。待ってました!っていう人もいれば、行きたくても行けないっていう人もいるし、やるなっていう人もいるわけで。でも、いちばん気がかりなのは、行きたくても行けない人たちのことで。それが武道館公演を中止にしたいちばんの理由なんですよ。だから、ツアーに関しては、やれるのであれば場所は残しておこうというか。僕らは動いてるから、また来られるようになったらいつでも来なよっていう状態にしておきたかったんです。内容に関してはいつもどおりがっつりやりますよ。

──seekさんが仰ってた、次の約束をしていくってことですよね。

葉月:それがあるとないとでは、ファンの方々のモチベーションも違うだろうし。行けなくてもやってるっていうのがわかれば、それが心の支えになるかもしれないですよね。

seek:そうやって積み重ねていくことで、安全な場所なんだとか、安心できる場所なんだっていう結果が残せる。それを繋げていけば、ファンの方々が来やすくなる理由のひとつにもなるでしょうし。

玲央:うんうん。

seek:いや、でもlynch.の武道館をやらないっていう選択肢はすごいなと思いましたね、マジで。去年、ヴィジュアル系シーンには解散や脱退のニュースが続いて、どんどん閉塞的な空気になっていったと思うんです。そんななかで、lynch.の武道館公演中止の発表があった。この英断は、シーンにとって大きいなと思ったんですよ。イヤらしいな言い方をすると、コロナが終息した時、lynch.めちゃくちゃ売れるんちゃう?って正直思ったんですよね。

葉月:はははは!

▲lynch.<TOUR’21 -ULTIMA- >

seek:頭ひとつ抜けるどころか、シーンを引っ張っていく存在感を示したというか。そもそも僕、Psycho le Cémuより先に武道館ライブをやるバンドはすげえ嫌いで……MUCCとかほんまにイヤやったから、絶対応援したくないって思ってたけど(笑)。でも、lynch.の場合は初めて「武道館、おめでとうございます!」って素直にツイッターに書けましたから(笑)。でも、そんななかで、今の状況を冷静に判断して、みんなのことを第一に考えて、中止するっていう選択肢に、lynch.っていうバンドの懐の深さが表れましたよね。舞い上がってないというか。その裏側で本当に大変な部分は山ほどあっただろうけど。

玲央:コロナ禍になって、自分や自分たちが大切にしなきゃいけないことのプライオリティって、すごくはっきりしたと思うんですよ。何がいちばん大事なのか? そうなった時に、やっぱりファンの方々の安全なんですよ。中止によるマイナス部分以上に、自分たちが大事にすべきもの、優先すべきものを守るということ。それが明確なほうが強いと思いますし、僕自身も強くなりたい。だからそこに迷いはなかったです。そして葉月がさっき言ったとおり、5月からのツアーは、全国各地からあの武道館に来ようとしてくれてたファンの方々に対して、今度はこちらから行きますよっていう気持ちの表れでもあるんです。そうやって、その制限の上限をちょっとずつ延ばしていければ、seekくんが仰ってたように、安全性を世にアピールする場にもなり得ると思います。僕は、時間はかかっても元のライブハウスに戻れるような気がしてるんです。だけど、その上限を延ばす行動をしないと緊縮していくだけだから。たぶん気持ちはPsycho le Cémuさんと一緒ですよ。

──こういうところに玲央イズムを感じますね!

seek:いや、ほんまですよ。このインタビュー、各バンドマンは読まなきゃダメですよ。

玲央:いやいやいや、またそうやって茶化して(笑)。もう、コロナが落ち着いたら、名古屋の純喫茶でアイスコーヒーごちそうしてもらいますよ。

seek:もちろんです、ぜひ(笑)!

取材・文◎後藤寛子



■Psycho le Cému生配信『The Birthday』

配信日程:2021年5月3日(月祝)
open17:45 / start18:00
※アーカイブ:5月6日 (木) 23:59まで視聴可能
▼配信チケット
¥2,000
販売期間:4月30日(金)18:00〜2021年5月6日(木) 21:00
https://cb-agent.zaiko.io/e/PLC-TheBirthday
※Psycho le Cému結成記念日ライブ実施見送りを受けて、メンバー5人から視聴者の皆様への想いを語る番組。開催に向けて準備してきた想いや、現在の心境などを生放送でお伝えします。そして2020年6月から2021年3月まで行われた10本の配信ライブからメンバーが1曲ずつピックアップ。視聴者の皆様もこの一年を振り返りつつ、結成記念日をお祝いしましょう。

■lynch. <TOUR'21 -ULTIMA->

■ライブハウス公演■
5月10日(月) KT Zepp Yokohama 17:00/18:00
6月02日(水) Zepp Fukuoka 17:00/18:00
6月03日(木) Zepp Fukuoka 17:00/18:00
6月05日(土) BLUE LIVE HIROSHIMA 16:00/17:00
6月11日(金) SENDAI GIGS 17:00/18:00
6月12日(土) SENDAI GIGS 16:00/17:00
6月15日(火) Zepp Sapporo 17:00/18:00
6月16日(水) Zepp Sapporo 17:00/18:00
▼Ticket
全席指定7,500円(税込/D別)
※未就学児童入場不可

■ホール公演■
7月14日(水) LINE CUBE SHIBUYA 17:00/18:00
7月17日(土) 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール 16:00/17:00
7月23日(金祝)  フェニーチェ堺 大ホール 16:00/17:00
▼Ticket
全席指定8,000円(税込)
※未就学児童入場不可

■<[XV]:act5 TOUR’20 –ULTIMA-> ※振替公演■
5月29日(土) Zepp Nagoya 16:00/17:00
5月21日(金) Zepp Osaka Bayside 17:00/18:00
7月04日(日) TACHIKAWA STAGE GARDEN 16:00/17:00
(問)サイレン・エンタープライズ 03-3447-8822



◆対談【3】へ戻る
◆対談【1】へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報