【対談】Psycho le Cému × Waive、同期バンドの歯に衣着せぬ本音「今日は発破を掛けに来た」

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■俺とAYAくんはWaiveのオンラインを観ながら
■深読みをいっぱいしてたな(笑)

──<MUD FRIENDS>のMCで杉本さんは、Psycho le CémuとMUCCを「同期に近いバンドで、一番好きな2バンド」と語っておられました。

杉本:それはそうですね。今もそう思ってます。

DAISHI:でも、善徳くんはもっといっぱいバンドを知ってそうなイメージなんですよ。

杉本:いや、知ってはいますよ? でも大体のバンドは興味ないんでね。

seek:その言い方(笑)。

DAISHI:若い時にこれを楽屋で言ってたんですよ。だから僕らは困ってましたよ(笑)。

杉本:俺、マジで目の前にいても興味ない人には興味ないから。

田澤:ずっとこんな調子や(笑)。

seek:みんなが怖がってるんですよ、杉本さんを!

杉本:いやいや、怖いとかじゃなくて。だって仲良くして何の意味があるんですか? 好きでもないヤツと(笑)。興味ないもん、マジで。

DAISHI:俺はseekみたいにバンドマンの友だちがいっぱいいるタイプじゃないので、善徳くんしか知らんかったし。他にはMUCCチームぐらいしか仲良くなかったんです。でも、善徳くんはいろんなバンドと交流があって、その中のひとつが僕らなのかな?と当時勝手に思ってたんですよ。

杉本:だって僕、連絡先を訊かれても交換する振りして登録しませんでしたからね。当時、携帯のメモリー数って少なかったじゃないですか? 300件とか500件なんてすぐ埋まってしまうから、「コイツの番号入れても、どうせ一回も電話してけーへんわ」と思って。こっちから連絡することは絶対ないし。どうせその場だけで、埋まっていく無駄なメモリーを消す動作も無駄やし。

田澤:あはは!

seek:ひょっとしたら俺らの番号も、まだ登録されてないかもな(一同笑)。

杉本:いやいや、入ってる(笑)。


▲田澤孝介 (Vo / Waive)

──田澤さんは記憶喪失気味ということですが(笑)、2018年の<MUD FRIENDS>はどうでした?

田澤:そこは覚えてます(笑)。2階のキャットウォークや舞台袖から他のバンドのライブを観て、“おぉ、何かええなぁ!”と思ったのとか、久々でしたね。誰かとイベントやっても、直に観ようとまでは思わないから。

──MUCCは昨年末にSATOち(Dr)さんの脱退が発表されましたし、あのタイミングで戦友3バンドが揃ったのはすごく大きなことでしたよね。

田澤:そうや、ほんまやな。

seek:うん、そう思います。

──かつ、今はコロナ禍というのもあり、みなさんの20周年アニバーサリー企画にも影響を及ぼしていますし、思うように活動ができない状況が続いていると思います。そことどう折り合いを付けながら活動されているのかな?と。

seek:この1年間はツアーができない、ライブができないからどうする?みたいな受け身になることが、どちらかと言うと多かったんですよね。逆に、こういう状況だからこそチャレンジできるものもあって、バンドとしてはそれに取り組んでいるほうだとは思うんです。配信もそうですけど、初めての挑戦が多かった。ただ実際、一番コロナの影響が酷かった1回目の緊急事態宣言の時って、“Psycho le Cémuはエンターテインメントだと言っているけど、バンドとして何か活動ができるか?”といったら、メイクさんと会うことすらままならない時期があって。これはlynch.との対談の時にも話したんですけど、“Psycho le Cémuにすらなれないんだな、俺らは”と思ってた時期もありましたね。

DAISHI:他のバンドさんとかはヘッドフォンしながら配信で音を合わせて、その動画を流して、とかやってたけど、僕らはそれも難しいから。

seek:その頃と比べると、去年夏以降はいろいろな取り組みができるようになったし、今年2月にはその結果として有観客ライブが実施できた。その時は、それがひとつのゴールみたいな感覚でいたんですけど、実際にライブの幕が開いてみると……。Psycho le Cémuのライブってお客さんがサイリウムをいっぱい点けてくれていて、それがすごく光っている客席が見えた時に、「あぁ、Psycho le Cémuのライブだ!」と実感することができていたんです。だけど、その時のライブでは嬉しさよりも圧倒的に、“ここにいる人たち以上に、今ここに会いに来られない人がいっぱいいる”ということを感じたんです。これはコロナの収束や、生活の平常化までにやっぱり相当時間が掛かるし、今自分たちが表現したいエンターテインメント以上に、ファンの方々の環境の問題が大きいっていうことをすごく感じたライブではありましたね。

──なるほど……有観客ライブができて嬉しいという喜びばかりではなかったわけですね。DAISHIさんは、表現の場が制限される中で、ボーカリストとしてのクオリティーをどのようにキープされていたんですか?

DAISHI:とりあえず、去年6月にオンラインでの5DAYS<勇者物語 外伝~未来をあきらめない日々~>(2020年6月24日から7月21日の5週にわたる全5公演)開催を決めたんですけど、毎回コンセプトが異なる形でやらせてもらったんですね。アーカイブで何度でも観られる/聴かれるということが僕らの意識に入ることで、“この歳になっても、歌とか演奏がまだまだ良くなるんだな”と感じました。あの5DAYSはかなり修行になったと思いますね。

seek:Waiveってライブが終わってから、自分でアーカイブとか観るんですか? 

田澤:渋公の生配信はアーカイブを1回観たかな。観た?

杉本:えっ? いや。

DAISHI:それホンマに言ってんの? 俺は頭から終わりまで2回観たで?

杉本:フルは観てない。音のチェックのために3曲ぐらい観たかな?

DAISHI:じゃあ俺のほうが観とるやん、Waiveのアーカイブを(笑)。

田澤:うん、もう圧倒的に観てる(笑)。

杉本:興味無いんですよね、僕。たとえば「Blu-rayを出すよ」となったら、「編集でこう見せたほうがいいんちゃう?」という物語を作るわけやから、創作として観るんですよ。でも、出来上がったものを観ることって、まずない。5年とか10年経ったら見るかもな?ぐらいのレベル。とにかく自分に全く興味がないから。

DAISHI:seekは実際、渋公に観に行ったし、俺とAYAくんはアーカイブで観て、「Waiveのあそこが良かった」とかって話をずっとしてたけどな。

田澤:ありがとうございます。

seek:この間の渋公が配信ライブとしては初だったんですよね? 

杉本:そう。だから、「次の配信のために勉強しときや」という意見があったら、“なるほどな。たしかに”と思うけど、そうじゃない限りはもう過ぎたことで、しんどいって思うだけやから。とにかく過去に振り回されたくないので。

seek:ははは。カッコええな~。


▲Waive

──アーカイブはともかく、ライブそのものを振り返ってみていかがでしたか?

杉本:もう、本当に“無”なんですよね(一同笑)。

DAISHI:でも珍しく、“みんな感極まってるのかな?”という表情が後半は見えたと思う。

杉本:Psycho le Cémuにはそう言われるんですけど、少なくとも感極まっているという感じではなかったです。

DAISHI:いや、そんなことないやろ!

杉本:“尺が……尺が足りない”と思ってただけです(笑)。

──時間が押した原因は、「Lost in MUSIC.」の曲間MCで25分という脱線があったからですよね(笑)。

seek:コール&レスポンスでしょ? あそこは僕、ダメ出ししましたよ(笑)。渋公ライブ後に会った時「あのコーナー要ります?!」って話をしました。

田澤:あはは!

杉本:ライブに対して“感極まった”とかは本当になくて。来てる人や来られなかった人、その両方の……とにかくお客さんへの同調みたいなものはあったんですよ。でも、それって“何だ、この時代は?”っていう疑問みたいな感じかな。

田澤:それそれ! 言葉にすると「何やねんこれ?」っていう絶望とか。せっかくライブに来たのに我慢してる感じとか。

──怒り、みたいな?

田澤:やり場のない感情ですね。

杉本:さっきのPsycho le Cémuの話と、限りなく一緒だなって思う。Psycho le Cémuとは全く方法は違っても、どんな形であれ僕らもエンタメで。あらゆるエンタメが今までと表現の仕方を変えざるを得ない中で、我々は解散しているバンドだから、変え過ぎてしまうとWaiveじゃなくなってしまう。だから“いかにWaiveらしいことをやるか?”というライブに執着したんですよ。“音の鳴るグッズを用意して、みんなに音を出してもらうか?”とかっていう意見も出たんですけど、いきなりそれをやってしまうとね。1回配信ライブを経験した後に変えていくんだったらそれもいいけど、“前回から今回までの間”がない解散中のバンドが、突然時代に左右されてしまって、“これが2021年のWaiveなんだ”みたいになってしまうと、そもそも解散中っていうコンセプトがブレるじゃん?というのがあって。一方で、“同じことをやる”と決めて、それを貫けば貫くほど時代とマッチしなくなるっていう(笑)、そういう疑問が当然湧いてきて。“無力だな、エンタメ”と感じたのは事実なんです。“このライブ空間のこの空気、俺が求めてるステージはここにある!”みたいな感覚は、やっぱり全くなくて、むしろ逆でしたね。

DAISHI:あぁ、あれはその表情やったんや。

杉本:そう。“何もできない”って感じましたから。

田澤:無力で、悲しかった。だから、嬉しいとか久々に有観客ライブができた!とかじゃなかった。なんかもう悲しかった、とにかく。

seek:でも、俺は実際に会場で観ていて、ライブの最後に2022年の渋公公演開催を発表した時は、メンバーさんのテンション感みたいなものにお客さんが引っ張られていったことも感じたし。さっきの話じゃないですけど、本来、ライブはなにも考えずとも楽しいもののはずやのに、今のライブハウスの空間って圧倒的に全員が“楽しまなきゃ”って気持ちになってるんだけど……。

田澤:たしかに。

seek:その中で、誰かが本当に興奮しているものには、やっぱり引っ張られる気がするんですよ。俺はアンコールで、メンバーの空気がお客さんに確実に伝わってるなと思ってました。

DAISHI:「Waiveのあの顔って、あんまり観たことのない表情かもな」ってAYAくんと言ってた。俺とAYAくんはオンラインを観ながら深読みをいっぱいしてたな(笑)。

田澤:ファンの方々がやるヤツやん、それ(笑)。

DAISHI:あと、「ここで「spanner」? 意外やわ」みたいなこととかAYAくんはよう言う(笑)。

seek:セットリストに口出すのが好きですからね(笑)。ここ数年のWaiveは、Psycho le Cémuと同じ照明さんが担当されていて、いいシーンを観るとジェラシーを感じるみたいな、ちょっと変な感覚もあって。それは、Zepp Tokyo(<Waive 「サヨナラ?」愛しい平成よ>2019年4月30日)の時も、“この曲のこの照明、めっちゃカッコええなぁ”とか思ったし。今回も「そっと…」のラストの照明がすごく良くて。

杉本:いつもは僕、照明は任せてるのに、今回の「そっと…」は珍しく言いましたからね。「そっと…」は、たぶんもっとポテンシャルが高い曲なのに、僕らが表現しきれてない気がするので、「ちょっと、照明で助けて」っていう話をした。

seek:へ~! でも、そのポテンシャルは俺、Waiveにすごく感じていて。まぁ、解散中やからバンド感というものは他のバンドに比べたらないのかもしれないですけど、年々バンドが曲に追い付いていってる感じがするんですよ。これはずっと節目節目のライブを観に行かせていただいて感じたことで、リズム隊が回を重ねるたびにすごく上手くなっていってて、曲がドッシリしてきているところに、曲の良さとタカくんの歌があって、佇まいも変わってきている。すごく上からの言い方になってしまいますけど、Zepp Yokyoのライブ後の中打ちでも話させてもらったことで、「Waiveが昔よりすごく良くなってるな」というのは感じてるんです。

DAISHI:観ながら俺は、「もう進化すんなよ!」って思ったわ(笑)。

seek:各々がここに至るまでにいろいろなバンドで、いろいろな経験をされてきてるんだろうな、というのはすごく感じました。

DAISHI:この前の渋公ライブをオンラインで観た時に、俺も“コスプレして、お芝居やって、踊ってるバンドや、とは思わずにステージに立たないとダメやな。それぐらいの気持ちで歌わないと”と思いましたね。僕らはいろんな武器を使えているんですけど、もうそこだけじゃなく、やっぱり芯みたいなところが大事。もう裸一貫で、音とか表情とか歌に対して、もっとしっかりやらないとヤバいなと感じましたね。

田澤:おぉ~。

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