【インタビュー】NOISEMAKER、新曲「APEX」にこの1年間のリアル「それでも上を見ていたい」

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ラウドロックシーンで頭角を現してきたものの、NOISEMAKERはこの数年、ステレオタイプのラウドロックからの脱却と、彼らならではと言えるユニークなサウンドを追求する挑戦を加速度的に推し進めてきた。その進化版とメンバー自ら胸を張るのが、6月30日にリリースしたデジタルシングル「APEX」だ。

◆NOISEMAKER 動画 / 画像

ヒップホップのドープな要素と1990~2000年代のラウドロックのダイナミックなサウンドが混ざりつつ、アンセミックな魅力も持つ「APEX」が印象づけるのは、まさにバンドの新境地。バンドの人気が跳ね上がるきっかけになった6thミニアルバム『RARA』(2019年1月)と7thミニアルバム『H.U.E.』(2020年7月)から一転、ぐっと内向きになったエネルギーのベクトルは、どうしたってコロナ禍の世の中の空気を思わせるが、NOSIEMAKERのメンバーたちもまた、その中でいろいろ思うことがあったようだ。

今回のインタビューではNOISEMAKERの全楽曲の作詞・作曲を手掛けるAG (Vo)とHIDE (G)の兄弟に「APEX」を作る出発点になった思いとサウンドメイキングのこだわりについて聞かせてもらった。

   ◆   ◆   ◆

■あきらめかけていた人が空を見上げたとき
■もう一回がんばってみようって思えるもの

──この間(6月6日)、<SATANIC CARNIVAL 2021>に出演した際、AGさんは「KITAKAZE!!」と叫んでいましたね?

AG:思わず叫んじゃいましたね(笑)。

──NOISEMAKERの地元である札幌で自分たちが主催する<KITAKAZE ROC FES.>が2年連続で中止に追いこまれたことに対して、相当、悔しい思いがあったんだと誰もが思ったんじゃないかと思いましたが。

AG:悔しいし、コロナ禍以降、なんだかわけがわからない世の中になっているし。でも、あの時、叫んだのはI.S.Oさん(<SATANIC CARNIVAL>プロデューサー)が見ていると思ったから敢えて叫んだんですけど(笑)、逆にチャンスと捉えて、来年、もっと大きなものに繋げようとポジティヴに考えるようにしています。

HIDE:俺たち、いつもタイミングが悪いんですよ(苦笑)。新型コロナウイルス感染防止の規制が緩和されて、開催できるフェスもあれば、感染者数がまた増えて、開催できなくなるフェスもあるじゃないですか。俺ら、いつも緊急事態宣言とか、まん延防止重点措置とかが始まる時に当たるんです。そういう意味では、ついていないと思うところもありますけど、AGが言ったように次に繋げるとしか、考えることも、言うこともできない。正直、なるようになるしかないし、なるようになったという思いしかないですね。

──おっしゃるように今後に繋がる話だと思うので、もうちょっと聞かせてもらってもいいですか? 

AG:いいですよ。暗くなっちゃうかもしれないけど(笑)、いや、それは冗談だけど。

──メジャーレーベルを離れ、2017年に自主レーベルを立ち上げてから、NOISEMAKERはどんどん自由になっていったと思うし、活動の規模もどんどん大きくなってきていたし。それを考えると、2年連続で中止せざるを得なかったのは、ほんとうに悔しかったと思うのですが、「KITAKAZE!!」と叫んだあの日、NOISEMAKERは自分たちの悔しさはもちろん、盟友と言えるバンドやその関係者、さらにはライブを観ていた観客の気持ちも代弁していたように僕には見えたのですが。

AG:あぁ、だから最後に「なめんじゃねえ!」って言って、ステージを降りたんですけど。俺らだったらバンドはもちろん、その界隈の仕事の付き合いの人たちがいるし、飲食業やっている友達も多いし。俺ら、昔、飲食で働いてたんですよ。札幌に帰った時に今の飲食の状況を聞いて、なんかすごい時代になったと言うか、“なんだろ? この殺伐とした感じは”と思っていたんです。そういう状況を騒ぎ立てるのは、ごく一部なのかもしれないけど、そういう状況もモヤモヤすると言うか、ロックバンドがもうロックバンドじゃなくなっちゃってるじゃないですか。そういうメッセージを発すること自体がダメとされているし、ロックを聴く人たちもそれを受け付けなくなっちゃっている。今回の「APEX」もそうなんですけど、みんなが幸せになるためじゃなくて、自分の手が届く範囲の人にリアルに刺さるものを歌いたい、言いたいと言う気持があったから、<SATANIC CARNVAL>は、ああいう感じになったんだと思います。


▲デジタルシングル「APEX」

──なるほど。今回の「APEX」は、「なめんじゃねえ!」という思いからスタートしているわけですね。

AG:そうです。「がんばれよ」ってきれいごとだけで終わらせず、どろどろした感情や辛いこともちゃんと言ったうえで、でも、上を見ていたいっていうものにしたかったんです。あきらめかけていた人が空を見上げたとき、もう一回がんばってみようって思えるものになったらうれしいと思いながら歌詞を書いたんですけど、曲を聴いた瞬間、ボクサーが立ち向かっていく姿が浮かんで、そこから自然にこのメッセージが出てきたんです。

──その曲を配信でリリースするっていうのは、どんなところからの発想だったんですか?

HIDE:サブスク全盛のこの時代でもCDを待っているお客さんはたくさんいるし、俺らもCDという形になるのはうれしいですけど、最近思うのは、曲を10曲作って、それをCDにしても、みんな、10曲目は忘れちゃうんですよね。でも、俺らは10曲目も1曲目も同じように作っているんですよ。そういうところに疑問が湧いてきて。だから、CDシングルでもよかったんですけど、1曲1曲を大事にしていくっていう意味で、「APEX」をまず出して、次、CDなのか、デジタルなのかわからないですけど、1曲1曲出していって、それがアルバムになってもいいのかなって考えたんです。こっちの都合ですけど、そのほうが作ってる俺らも気が楽と言うか、“あと2曲”とか、“あと5曲”とか思いながら作るのと、作りたくて作るのってやっぱり違うじゃないですか。そういう考えから配信リリースしたんですけど、あとは単純に新曲を早く聴かせたかったっていうのもあります。

──じゃあ、「APEX」を皮切りに、どういう形になるかわからないけれど、1曲1曲リリースしていこう、と?

HIDE:そういうのもありなのかな。それはチームで話し合わなきゃいけないことですけど、もちろんCD屋さんにCDが並んだり、ポップを作って出してもらったりするのもちょっとお祭り感があって、みんなうれしいと思うし、俺らもうれしいし。それも大事な文化だと思うんですけど、このままツアーをやって、フェスに出て、CDを出してっていうのをずっと繰り返していくだけじゃなくて、違うことをやってもいいのかなと思ってます。


──さて、「APEX」は歌詞を書き始める時にはすでに曲ができていたそうですが、曲作りはどんなふうに?

HIDE:基本、AGと俺が作って、YU-KI(B)とUTA(Dr)に渡すんですけど、その時には8割9割はできていて、その曲を聴いて、さっきも言ったように怒ってるのか、悲しんでるのか、曲調からAGが歌詞を考えます。まぁ、ロックなんで、歌詞から作るってことはほとんどないですね。まずはサウンド重視なのか、ビート重視なのか。曲によってはライブのことを考えて作ることもあります。

──「APEX」は何を一番に考えて作りましたか?

HIDE:うーん、ライブは重視していないかもしれないですね。

──あ、そうですか。

HIDE:そんなに盛り上がる曲じゃないじゃないですか。

AG:トラップミュージックみたいに倍テンで跳んでほしいなっていう絵は思い浮かべているんですけど、日本だとどうなのかな。

──『RARA』や『H.U.E.』は全体の印象としてはポップで、外向きでしたが、「APEX」は逆にぐっと気持ちを内に込めて、がっと発散するというイメージがありましたが。

HIDE:そうですね。『H.U.E.』のリード曲だった「Better Days」を作ったとき、ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大が始まって、それでそういうタイトルになったんですけど、その時はまだライブもやっていたから、みんなで跳ねることができたらいいなって思いながら作ったんです。でも、ここ1〜2年、思うようにライブができなかったから、ライブとはちょっと違う感覚で作ったかもしれないです。

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