【インタビュー】大森元貴 [Mrs. GREEN APPLE]、ソロのすべてを語り尽くす「表現者として、どこまでやれて何が出来るか」

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Mrs. GREEN APPLEのフロントマン大森元貴が8月6日、ソロ2nd EPとなる『Midnight』を配信リリースした。今年2月の1st EP『French』に続くソロプロジェクト第2弾の完成だ。昨年7月のデビュー5周年記念ベストアルバム『5』リリースと共に“フェーズ1完結”を宣言し、活動を休止したMrs. GREEN APPLEは、それから約1年後の今年7月に2022年の活動再開をアナウンス。“フェーズ2”のスタートを予告している。シンプルに時系列をとらえれば、“フェーズ1”と“フェーズ2”の狭間に進行中のプロジェクトがソロであると言うこともできるだろう。しかし、注目すべきはそこではない。純粋に音楽へ求めるアート性とエンターテイメント性の高さにこそ、ソロアーティスト大森元貴の本質が現れていて興味深い。

◆大森元貴 [Mrs. GREEN APPLE] 画像 / 動画

ソロ始動の意図から語ってもらったインタビューでは “音楽家=大森元貴”の素顔が浮かび上がり、自身も「“こんな曲も作れるんだ”っていう発見がありました」と語るように、自らの未知へ自然な形で踏み込むことに成功したことがうかがい知れる。また、1st EP『French』で既に確立していた音楽性だが、2nd EP『Midnight』ではまた新たな扉を開けた。そして、「French」ミュージックビデオで見せたコンテンポラリーなダンスは、「Midnight」ミュージックビデオでヒップホップダンスへ。果たして、ソロアーティスト大森元貴とは何者か? ソロEP2作はMrs. GREEN APPLEの“フェーズ2”とどのようにリンクしていくのか? すべてを語ってもらった10,000字越えのロングインタビューをお届けしたい。

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■無意識下でたどり着く先が
■ミセスとソロとでは違うんだなって

──少しさかのぼって、ソロデビューに至った経緯から教えてください。Mrs. GREEN APPLEというバンドとは別に、ソロで何かを表現したいという構想は、いつ頃から描いていたのですか?

大森:誤解を恐れずに言えば、1人で表現をすることは、ミセス(Mrs. GREEN APPLE)結成前から自分の中では決まっていたと思うんですよ。ただ今回、ミセスの活動休止中にソロデビューしたことには、ちゃんと意味があって。その意味が分かるのは、どうしてもMrs. GREEN APPLEの“フェーズ2”始動後にはなってしまうんですけど。“活動休止”っていう言葉は、良くも悪くもとても大きく聞こえてしまうじゃないですか。でも、少なくとも僕らにとっては、“フェーズ2”という異次元なところへ行くまでの充電期間だと捉えていて。そうは言っても、その期間、今までミセスを聴いてくださっていた方たちを、ただずっと待たせてしまうことが気になっていて。みなさんを裏切るような形で待たせたくはなかったんです。だから、言葉が適切でないかもしれませんが、みなさんにとって、僕のソロが“フェーズ2”までの繋ぎという感覚で捉えてもらっても、それは別にいいかなって思っていて。そういったミセスありきの話もありつつ、僕個人としては、小さい頃から1人で何かを表現することには憧れがあったので、今回のソロデビューは、自分にとっては自然なことなのかなと思っています。

──実際にソロでの創作活動では、どんな表現をしようとイメージしていたのですか?

大森:“何を表現したらいいかな?”ということは、いい意味であまり考えてませんでした。ただこれまでのミセスの楽曲にも、“陰”の部分というか、人が感じる寂しさや、胸がギュッとなる瞬間というものが隠し味として入っていたと思うんですけど、僕のソロ、特に「French」では、そういうものが主成分となって世の中に届けられるといいのかなとは思っていました。


──確かに「French」は、孤独感であったり、人間の内面に迫る作品に仕上がっていますね。

大森:ミセスだと、若い方がたくさん聴いてくれていることもあって、“こういうことは言えないな” “ミセスでこういうことを歌っちゃダメだな” って意識し始めていたタイミングで。でもソロであれば、自分の個人名で作品を出すわけで、その分、責任はものすごく大きくなるけど、自分の創作意欲を一度フラットにするために、もうちょっと自由にやれたらいいなと思っていたんです。もちろん、ミセスが不自由だったということではないんですけど、マインドとして。そういったことは考えていましたが、音楽の方向性や表現については、まったく考えてなかったかもしれませんね。自然と「French」や「Midnight」にたどり着いた気がします。

──デビュー作「French」、そして今回の「Midnight」ともに、ミセスの楽曲以上にご自身の内面が色濃く出せたという感覚があるんですね。

大森:“出ちゃった”というほうが正しいかもしれません(笑)。意識することなく曲を書いたからこそ、出来上がったものを聴いて、自分で痛感したというか。ミセスで曲を書くのと、個人として書くのとではやっぱり違っていて、ソロだとより等身大で、より内省的になるんだなということをすごく感じました。

──制作中というよりは、曲が完成して、それを客観視した時に、改めて気が付いたという感じですか?

大森:そうですね。他のアーティストに楽曲を提供させていただくことは今までにもあったので、音楽的なカラーの違う作品を書くことには慣れていたし、変に構えることなく、いろんな曲を作れるようにはなっていました。とは言え、今回、自分の歌で届けるという点はミセスもソロも同じなわけで。それでも、無意識下でたどり着く先がミセスとソロとでは違うんだなっていうことを、曲が出来てからすごく感じました。

──では、それぞれの楽曲について聞かせてください。まずソロ第一弾の「French」は、ミセスで確立した大森さんのポップス性をアートの領域にまで拡張させた作品だと感じたんです。

大森:えーっ、嬉しい!

──先ほど、「より自由なマインドで」とおっしゃっていましたが、例えばサウンド面で、ソロだからこそのアプローチというものはありましたか?

大森:「French」には、僕も本当にビックリしていて。制作をしていく中で、“こんな曲も作れるんだ”っていう発見がありました。曲を作る時っていつも、客観的に、常に俯瞰で作品を見渡せる自分がいたりするんですけど、ソロとバンドでは、まず使う楽器がそもそも違ってきますよね。必ずしもギターがいるとは限らないし、ドラムとベースが絶対にいなきゃいけないということではなくて。ですからサウンド面では、かなり感覚的に作っていきました。思い付いたものをワーッと入れていって、それだけでも成立するのがソロの作品なんだって、それはすごく感じました。そういったサウンドの柔軟さをすごく感じたと同時に、逆説的に、ミセスが持つ音楽性もまた見つめ返すことも出来たんです。だからソロで「French」を作れたことは、僕の中で本当に大きなことでした。僕自身、この曲を聴き返して、いまだに何でこういう曲が作れたのかが不思議なんです(笑)。


──対して、ソロ第二弾となる「Midnight」は、非常に意欲的に狙いを定めた作品だと感じました。この曲へは、どのようにたどり着いたのですか?

大森:「French」という楽曲が世の中に届くと同時に、“ああ、ソロはこういう感じなのね”って思われるのが、ちょっと癪だなというか(笑)。ソロ活動では、あえてコンセプトを決めていないんです。むしろ、“僕が作るものそのものがソロ作品だ”ということがコンセプトだ、と。そういう意味で言うと “じゃあ次の作品はどんな風に作らなければいけないのか”みたいなレールを敷くことが、僕は苦手なんです。特にソロでは。だからこそ今回、カウンター精神と言っていいのか解らないですけど、前作以上に振り切った方向に楽曲が進んでいきました。

──ミュージックビデオを含め、バチバチなダンスミュージックに、ものすごく驚きました。

大森:最初からダンスがバチバチなものを作ろうとか、髪の毛を派手にしようとかっていうことは考えてなくて。もっと単純に、“みんなを驚かせたい”という、ある種の遊び心からスタートしたのかもしれないですね。

──先ほど、「ソロがこんな感じだと思われるのが癪で」といった話がありましたが、実際に「French」に対する世の中のリアクションから、何か感じたものがあったんですか?

大森:ありました。まだ言えないことも多いんですけど、ミセスの“フェーズ2”というものが、ちょっととんでもないことになるんですよ。言い方が難しいですが……日本の音楽の多様性って、誤解を恐れずに言えば、僕はすごく狭いものだと感じていて。その狭い範囲に、僕は収まってしまいたくないんです。もちろん、とどまっていればラクなんですよ。でもそれって、ワクワクしながら音楽を作っていくこととはかけ離れていくような気がしていて。だから、音楽を作り始めた頃の初心を忘れないためにも、今回、思い切ったチャレンジをしたということなんです。僕は、みんなを驚かせてナンボだと思ってますし、今後、みなさんがもっと驚くことがあると思うので、「Midnight」が、その橋渡しになればいいなと思って。

──これ以上に驚くことが“フェーズ2”で待っているっていうことですね(笑)。

大森:あははは。そもそもミセスって、“フェーズ1”でもいろんな曲を出してきたじゃないですか。その度に、「ミセスはあっちに行っちゃったのね」っていう反応があって。でも、そうしたいろんなタイプの曲を、最終的に“フェーズ1”を締め括るアリーナツアー<エデンの園>で、集大成としてまとめることが出来たと思っているんです。だから、外から見ればバンドがあっちに行ったりこっちに行ったりしているように見えたかもしれないけど、結果として、それが悪いことじゃなかったなっていう自負が僕にはあって。自分の中の可能性を探検するのが楽しくて、それでミセスをやっているんで、今回の「Midnight」も、そこにちゃんと戻っていくための探検のひとつに出来たかなって、曲を作り上げてみて、改めてそう感じました。うん、そんな気がしますね。

◆インタビュー【2】へ
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